自給自足チャレンジ:ニワトリをしめて、さばいて、鶏白湯ラーメンを作る。// 移住STORY5
東京から群馬県高山村に移住した私・山中麻葉の連載にようこそ。5話目の今日は、ニワトリを締めて鶏白湯ラーメンを作った話しです。(ご安心を。ショッキングな画像は掲載しません)
移住の目的の一つに、「衣食住の自給自足"率"を上げる」ということを挙げている私たち家族。服を作ったり、田んぼを耕したり、DIYで庭づくりをしたり、少しずつ自給率が上がってきています。
そして先日、ついに生きた鶏をしめて、さばいて、料理をすることにチャレンジしました。作ったのは、鶏白湯ラーメン。
こちらの写真は、みんなでラーメンを食べた後の宴の様子。
みんな笑顔です。そう、鶏白湯ラーメン、とっても美味しかったのです。そして、みんなでダシをとるところから作ったので、満足感と達成感も違います。私は鶏をしめるのは初めてでした。この日の体験はとても貴重だったので、どうやったのか、何を感じたのか、各工程のポイントなどを書き残しておきたいと思います。
1、将来的に廃棄になってしまう鶏を選択する。
まずはダシにするための鶏を獲得しました。近所に平飼いの養鶏農家さんがおり、それはそれは大切に、鶏を育てています。その中の雄(オス)で、将来的には廃棄になってしまう鶏を一羽、頂きました。
段ボールを開けた瞬間、鶏は何かを察知したのか、庭に飛び出してしまいます。
軒下に逃げ込む鶏。
このあと、大人4人がかりで追いかけ回して、30分後に捕獲しました。興奮した鶏を捕まえるのはとても難しいです!最初に捕まえたら、くれぐれも逃さないように……。
2、なるべく早くしめてあげる。
鶏のしめ方は色々とあるようですが、今回は吊し上げて頭を切断し、血を出してからさばくという方法にしました。どうやら、「しめる→さばく」という工程で、結構匂いが出るとのこと。これはやり過ぎかもしれませんが、匂いや血がついても良い服装に着替えました。
そして、鶏ができるだけ苦しまないように、スパっと首をナイフで落とします。実際には綺麗にスパっと切れません。鶏はあばれるし、ナイフはうまく入らないし……。少し苦しませてしまったかもしれません。申し訳ないです。
3、「鶏」から「チキン」の姿にする。
鶏はお湯につけると毛が取れやすくなるそうです。その通りで、手で引っ張るとプチプチと抜けていきました。あっという間に「鶏」から「チキン」の姿に様変わりしました。
裸になったチキンを持って、台所に移動します。
4、残さず食べるために、心を込めて美味しく料理する。
さっそく、さばいていきます。鶏一羽、まるごと、残さず食べるために、丁寧に包丁を入れていきます。
想像していたよりグロい感じはなかったです。生きた鶏がこのような姿になって、肉の部位になっていく様子を見るのは複雑な気持ちでしたが、これは特別なことではなく「日常の延長なのだ」とも感じました。だって毎日のように私達、鶏肉を食べているのですもの。ほら、一瞬にして、見覚えのある砂肝料理になりました。
お次はササミ。
さばいてみて驚いたのは、一羽の鶏からとれる肉の量の少なさです。砂肝は2つ、ササミも少量です。いつもスーパーに売ってるパックだと、砂肝4-5個とか入っていますよね。あのパックを用意するのには、たくさんの鶏が必要なのです。そして、食肉加工の方々が、苦労してさばいているのですね。私達は鶏さんにはもちろん感謝しましたが、同時に食肉加工業者の方々への感謝の念でいっぱいになりました。鶏をさばくの、大変です。代わりにやってくれて、本当にありがとうございます。
5、みんなで経験をシェアする。料理もシェアする。
残りの部位と、骨も含めてすべてずんどう鍋に入れて煮込みます。2-3時間は煮込んだと思います。そうすると、肉も骨もホロホロになるので、ハンドミキサーで骨ごと砕いて濃厚スープにします。味付けをしたら、ちゃんとしたラーメンのスープになりました!
チャーシューやメンマなどのトッピングもつけて、みんなで「いただきまーす」と手を合わせます。
食べながら、ラーメン一杯をいちから作る苦労を噛み締め、鶏や食肉加工業者さんへの感謝を噛み締め、いつもとちょっと違う食事の時間を過ごしました。
6、田舎暮らしの醍醐味は、なんでも自分でやってみること。
東京で暮らしていたら、鶏をしめてさばいて料理することなんてなかったと思います。近所に養鶏農家さんはいないし、鶏をしめる場所もないし、さばける友達もいないし、ラーメンを作れる広いキッチンもありません。都会って、なんでもあると思ってたんですが、驚きました。「自給自足」という観点からみたら、何もないところなんですね……。「都会は便利・田舎は不便」とはいうけれど、どんな暮らしをしたいかによって、便利なのか、不便なのかは異なるということが分かりました。そうすると、今の私たちにとって、この高山村はとっても便利なところです。自給自足のチャレンジをするための場所もある、資源もある、人もいる、技術もある。この恵まれた環境の中で、また色々と、トライしていきたいと思います。
自給自足チャレンジ「マコモダケ栽培」もスタート
自給自足チャレンジの一環で、家から徒歩2分のところにある耕作放棄地でマコモダケ栽培をはじめました。その様子はYoutubeのチャンネルでレポートしていきます。vol.1がスタートしたので、良かったら見てみて下さい。