【FX】その波が持つ真の値幅について
そうして生まれたその波は、その両端に高値と安値を備えている。その両端の値を差引した時、そこから「表面的な値幅」を得る事が出来るだろう。
ではその「表面的な値幅」に意味はあるのだろうか?
フレームという面においては意味がない訳ではない。それが「正しい波」であるなら重要な変数の一つとなる。だがそれは情報の一つであって全てではない。
トゥルー・レンジ(真の値幅)という言葉がある。その名の通り真の値幅或いは潜在的な値幅という意味だがこの言葉はボラリティ(変動率)と値幅の境界が曖昧なまま使われてい事が多い。
代表的なアプローチとしてはATR等のインディケーターを用いてその幅・変動率を算出しようとするもの。まずこのアプローチの問題点は「期間ベース」でチャートは動いているという前提である。
残念ながらチャートは、波は、
期間ベースでは動いてはいない
意味のある時間足は一つだけ(※1)だが、その足であってもその足の期間ベースで動いている訳ではない。なぜ断言出来るのかは過去の投稿等からどうぞ。
▼ ※1 ▼
仮に期間ベースでチャートが動いていると仮定してみてもインディケーターによるアプローチは次の問題が生じる。
なぜその期間設定なのか?
どのタイムフレームでも同じなの?
どの波に対しても同じ期間設定なの?
そもそもどの波、どの範囲に対して
「それ」を見るかを定義出来ているの?
問題についてまだまだ上げれる事だろう。何にせよ、インディケーターを利用して何か測定したい場合にはその計算式、期間設定、その他のパラメーター設定等について予め言及し、定義、再現性を担保した上で検証しまとめておく必要がある。
ただ私から言えるのは意味のある時間足は一つであり、その足であっても期間ベースで動いている訳ではないという事だけ。話を進めましょう。
◆ 表面的な値幅と真の値幅 ◆
冒頭に触れた二つの値幅についてが本日の本題。表面的な値幅とはチャートに描かれた波の両端の値・高値安値を差し引きして得られる値。
とてもシンプル。例えば多くの罫線ツールを利用する場合にも対象となるのはこのような表面的な値幅である事が多いだろう。表面的な値幅とは「その波」が形成されていた期間における単純な上昇幅、下降幅を指している。
対して潜在的な値幅とは何か?潜在的な値幅とは「その波が形成されていた期間のうち最高値・最安値間内におけるすべての値動き」を指している。より端的に言えば「その波における総運動量」となる。
表面的な値幅に比べてかなり大きな数値になっている。
1本目 表面:124.56 → 潜在:378.56
2本目 表面:113.37 → 潜在:209.35
当たり前ですがもちろんこれは適当に主観で大きな波を描き、また主観で恣意的にその中に小さな波を描いて算出した訳ではない。
ちなみに表面的な値幅より潜在的な値幅が小さくなる事は無いが同じという事はある。多くの場合は大きくなり、稀に同じ場合がある。
まずここで知っておくべきは表面的な値幅と潜在的な値幅には多くの場合かなり大きなギャップがあるという事。そしてもう一つ重要な事、これは
チャート上に確かに存在し抽出可能なデータであり、
取り出す人によって差異が生じる事の無い情報だという事
昔から言い続けていますが私達が利用できる物はその世界に存在する物だけです。チャートを世界とした時、そのチャート内で使える物はそのチャートに存在する物だけです。
なぜか投資界隈の住人はこの絶対原則を簡単に無視する
無い物を有るかのようにチャートに見ようとする。例えば私達がどんなにエクスペクト・パトローナム!!と唱えても、或いはカメハメ波と叫んでも杖や手からは何も出現しません。この世界の資源と物理法則を超えた現象は起きないし干渉も出来ない。
チャートも同じです。存在する物しか使えない。
そして存在する物は誰が見ても観測結果に違いは無い。
◆ 潜在的な波から抽出した値幅の用途 ◆
まず潜在的な波の値幅がわかった、からといってそれがそのまま役に立つわけではありません。なぜか?
これは情報の一つに過ぎないからです。何かを描写する最、計算する際、予測する際の変数に組み入れるべき情報の一つであるという事です。
そしてデータとは確定された情報を指します。現行の波の情報を現行の波に対して使う事はありません。情報や資源は未来における「何か」に変化していきます。それは建築資材そのものだったり、形成における基準であったり。
◆ 一本の波から抽出できる情報 ◆
チャートで利用できる物はチャートに存在する物だけ。さて、ではそのチャート内に存在する意味のあるタイムフレーム(※1)における厳密な波一本から得られる情報というのはどのくらいあるのでしょうか?過去にローソク足の話で触れましたがここでも少し。
まずその波の両端内におけるすべての波の角、つまり点からは上記のようなX軸:時間、Y軸:値からなる座標情報を抽出する事が出来ます。これが「点」から得られる情報のすべてですね。
次に「線」から得られる情報はといえば二つの座標間からX軸・Y軸の移動距離を抽出する事が出来ます。その情報を基にして観測基準に準じた形で必要な情報をさらに抽出する事が出来る訳ですね。
例えば波、という単位を基準に今回のような潜在的な値幅を測定する事が出来るのも上記点・線の情報を基にして算出している訳です。
加えて波の定義に利用している始点、発生点、終点。いつから波が生まれていつ終わったのか定義があれば厳密に位置を観測できるし指もさせる。指したその点は座標情報としても出力する事も出来る。無論、誰もが。
◆ 一例を出しましょう ◆
※生徒さん向け※
では先程取得した情報の中で今回のテーマである値幅「だけ」の情報を使ってちょっと遊んでみましょう。私も今、これを書きながら何か思いつきで仮説を立て新たに簡単な罫線ツールを作ってみようと思います。
どうでしょうか?これは簡単な仮説に計算式、計算式に対応した厳密な情報を抽出し出力させて10分程で作成した物です。
これは小学生でも計算可能な非常にシンプルな形で罫線に展開して一つ前の情報を現行スイングの行先に反映させた物。こんなにもシンプルなアプローチでありながらこのような事が観察出来る。基になる情報の質がいかに大切かわかるかと思います。
チャートは常に楽しい
基点の曖昧なメジャー理論、フィボナッチや酒田五法等ロウソク足の形などを持ってチャートに空想・幻想を抱かずともチャートは十分に楽しさが詰まっている。
楽しいという感情は探求心につながり、どこかで満足する事がなくなります。まだいける。もっと行ける。際限なく上を求める。そうできる様により学び、より考える。
差異無く観測出来、差異無く出力可能な方法でアプローチは取る必要がある。基点となる情報が原理に触れた物であるならば偏った現象をそこに観測する事が出来る。そしてそれが「楽しみ」につながる。
◆ 今回の投稿の目的とは何か ◆
私はチャート上で何かをしたい、作りたいと考える際はまず仮説を立て、その仮説の出力に必要な情報を方法を作製し、再現性を担保してから検証に入ります。次点トレード理論然り、次点トレード理論を基に始めた私自身の試みであった予測トレード、その他研究から生まれたすべての物はすべて同じアプローチから生まれています。
その際、絶対に頭の中心に置いて置かなければならない事があります。チャートで使える物はチャートにある物だけ。それは誰もが観測出来る物でなければならないし、恣意的に切り出した物ではならない。
フィボナッチやダウ理論等のメジャー理論はある種の宗教であり、その中にある問題点について言及している人間は少ない。言及した事のある人であればそこにある問題点に早々に気づけるはずであり、その問題点が致命的な物である事にも気づく事が出来るはず。
そしてその問題を起点に自身で理論構築に努めたり有効な理論を探す事が出来るはずだ。そしてそこには論理的な判断能力が伴い、論理的判断能力は投資における唯一絶対的必要資質であると考える。
チャートの構造に目を向ける。確かにそこにある情報だけを利用する。恣意的な要素を極力排除する。そうしたアプローチを行っているとチャートに顕著な偏り傾きが観測出来始める。それを足がかかりに仮説や研究を推し進める。そこにあるワクワク。
お金に余裕があるなら誰かに学ぶ事は効率の良い選択であるが、誰かに学びたいが学ぶお金がない。自力でなんとかするしかない。そんな無料読者の方へに向けてワクワクに出会える可能性を上げる種を蒔く、それが今回の投稿の目的。今回は以上となります。最後までお読み頂きありがとうございました。高 山
▼ K2次点トレード理論概要 ▼
☝ 理論概要は上記をCLICK ☝
▼ 良く読まれている投稿 ▼
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?