以前、肩関節のアウターマッスルとして三角筋を解説しました。
上記の記事内でも解説していますが、肩関節には腱板と呼ばれるインナーマッスルと三角筋などに代表されるアウターマッスルが共同して働くことで安定して大きな可動域を動かすことができます。
腱板筋はこれまでも解説してきましたが、今回は最後の腱板筋となる、肩甲下筋について解説していきます。
肩甲下筋は肩関節の回旋筋として唯一の内旋筋ですが、非常に多くの筋束を持ち、機能的にも重要な役割を果たしています。
しっかりと整理していきましょう!
肩甲下筋の起始停止
(Visible bodyから引用)
起始:肩甲下窩
停止:上腕骨小結節
支配神経:肩甲下神経C5-7
作用:肩関節の内旋・内転
(基礎運動学第6版)
起始:肩甲下窩(肩甲骨肋骨面)
停止:上腕骨小結節、小結節稜上端
支配神経:肩甲下神経C5-6
作用:肩関節の内旋・内転
(分担解剖学1総説・骨学・靱帯学・筋学)
起始:肩甲下窩、肩甲骨の腹外側縁、腹側を覆う腱膜
停止:上腕骨小結節、肩甲上腕関節関節包の上面
支配神経:肩甲下(・上)神経C5-6、ときとしてC7
作用:肩関節の内旋・内転・外転
(オーチスのキネシオロジー第2版)
広い肩甲下窩から扇状に上腕骨に付着します。
筋束も多く、肩関節の角度に関わらず内旋作用を発揮することができる走行となっています。
筋機能
唯一の内旋筋である肩甲下筋ですが、腱板筋の中で最も大きく、その内旋作用も一致した見解として知られています。
また、肩関節の角度によって内転や外転作用も報告されています。
これらの報告の不一致は、肩甲下筋が肩甲上腕関節を運動させている間、角度に関わらず活動が起こっていることに由来します。
つまり、唯一の内旋筋であるがゆえに上腕骨の安定化機構としての筋活動が常に起こっているということです。
モーメントアームの解析では、肩関節が内旋する際に内転し、
中間位または外旋する際に外転すると報告されています。
肩甲下筋の筋力低下は、肩関節の前方不安定性に関係すると言われています。
特に亜脱臼や脱臼後の患者さんでは適切な筋緊張を保つこと、筋力低下を防止することが重要となりますね。
ただし、大胸筋や広背筋・大円筋といったいわゆるアウターマッスルも肩関節の内旋筋として大きな力を発揮します。
これらの筋の代償に注意して内旋exを行う必要があり、特にセルフエクササイズとして行ってもらう場合には、トレーニング自体の注意点や運動感覚を覚えてもらってから行いましょう。
筋膜のつながり
肩甲下筋はディープ・バック・アーム・ライン(DBAL)に含まれます。
小指球筋⇒尺骨骨膜にそった筋膜⇒上腕三頭筋⇒肩回旋腱板⇒菱形筋、肩甲挙筋
小指や尺側のラインに硬さがあると腱板は収縮しにくい状態になります。
腱板の収縮は感覚がわかりにくいので、収縮しやすい環境を設定することと身体環境を整えることは事前に行っておくと良いと思います。
また、立甲などのトレーニングもアウターマッスルの緊張をおさえて腱板筋を収縮させるために有効です。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回で腱板筋4つの解説が終わりました。
肩関節の安定性を考えると、どうしても無視できない腱板筋ですがそのトレーニングは少し難しいのが事実です。
今後、筋の解剖だけでなく、種々のトレーニングについても紹介していければと思います。
今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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