「バズれ」とは言いますが

私は「作家になりたい」。一括りに作家といっても、できれば文章を用いたお仕事がいい。脚本、シナリオ、小説といった類だ。


それを聞いた大人たちは、めいめいに「なんでもいいからSNSでバズれ」と言う。


なんでもいい?文章じゃなくてもいいのか?というか今ってどういうコンテンツがバズるんだ?万人に分かりやすい魅力を備え、かつインパクトを残せるものとは?回りくどくなく、野性的な荒々しさで感性を刺激する何か……私の貧相な頭に思い浮かんだものは「見目の良さ」だった。しかし残念なことに私は特段美人ではない。ならば某かの技術で勝負すべきだろう。

youtube,tiktok等動画投稿サイトが覇権を握る時代だ。純粋な文章を、狙ってバズらせるのは難しいかもしれない。私も以前、物は試しと手描きMADの類を投稿してみた事もあるが、ソフトや手持ちのPCのスペックを考えるとコストパフォーマンスが結構悪いので停滞気味だ。しかしHな二次創作や、既存の作家が無料公開する文章に需要がある事もまた間違いない(怪しげなサロン?の情報も然り)。初期のターゲット層は偏るが、バズれば界隈外にも評判が広がる可能性を考慮すれば、そこはあまり問題ではないだろう。


あとは漫画だろうか。しかし私は絵があまり得意な方ではない。となると作画の拙さをカバーできるだけの物語性が求められるが、生憎漫画を沢山読むタイプでもないので、そもそものモチベーションの低さから続かない事が予想される。やはり私には文章が合っているのだ。


前々から脚本家に憧れていた。小学生の頃からアニメ、漫画、映画の考察が大好きで、そのうち自らも創造する側に回りたいと考えたのが発端だった。

しかし脚本家のお仕事とは中々難しいもので、学校教育のように「次」が明確に示されているわけではない。スクールやセミナーはあるが、そこの先生が仕事を紹介してくれるとは限らないのだ。となると自分で仕事を取って来いという話になるが、公募されている脚本の仕事はほとんど無い。あったとして、応募の必須条件に「業界の経験が〇年」と提示されている事が大半だ。どこで経験できるんですかーーーー!?


とまぁ、生意気にもボヤいてしまったが、そこで「バズり」の概念が出てくる。投稿はポートフォリオとしての機能を果たすため、より多くの雇用主(視聴者)に届くことで、仕事を得ることができる。今の時代、まずは手を動かし自分から発信していくことが重要なのだ。しかし冒頭にも述べたように、文章という回りくどい仕事を望む人間が、バズる手段とはなんぞや……?終わらない問答である。


正直、「発信」という言葉が嫌いになりそうだ。耳に胼胝ができるほど聞いたものだから。分かってるよ、分かってる。注目されるための努力を怠る人間が作家なぞやっていけるわけがない。でもどうしたら注目してもらえるのか分からない。文章を生業にしたい人間が文章以外でバズろうなど本末転倒やもしれないが、バズる文章など何処にあるというのだ。

こうしてグダグダ文句を垂れているだけの自分も大嫌いだ。せめてもの慰めとして文学や新書等を読み耽ってはいるが、インプットばかりで肝心のアウトプットの機会が少ない。このnoteも申し訳程度のアウトプットにはなっているが、こんな文章はバズらないし誰も仕事をさせたいとは思わないだろう。


バズってる友達がうらやましい。勿論、それは彼らの努力の結果だから、私のような怠惰人が追い付こうなど考えるのは烏滸がましいと言えるだろう。それでも考えてしまうのだ。見目がいい子とただ単に文章を書きたい私とでは、注目される度合いは変わるのではなかろうか、と。嗚呼、そうやって言い訳ばかりして努力を怠る自分も大嫌いだ。なんて醜い人間なのだろう。脳内にジョーカーの高笑いが響き、極彩色のその指が私の心臓をプニプニと押す。


今は、とにかく文章を書いてネットにアップしていくしかないのだろう。それが実を結ぶかは、自分の実力と、時の運次第だ。それしかないのだから、それ以外やるべきではない。大丈夫…大丈夫……

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