マイナーな理論にこそ僕達が求める答えはある
心理学を勉強しているという方や、自身でビジネスをしているという方が高確率で話題に出してくる1つに、『マズローの欲求段階説』があります。
心理学者のアブラハム・マズローという人物が提唱した理論で、いわく人間の欲求というのは5段階の階層となっているというもの。
元々は心理学の理論ですが、現在は経営やマーケティングでも使われていて、日本では割かし有名なようです。
そのためか、人づてに聞いたことがある、という方が結構多いです。
言い方は悪いのですが、なぜかこれを知っていると「自分は(心理学・経営についての)知識がある」という雰囲気があり、若干得意気に話す方もいます(理由は分かりませんが・・・)。
さて、そんなマズローの欲求段階説ですが、実はこの他にもうひとつ、人間の欲求について説明した理論があります。
それが心理学者クレイトン・アルダーファが提唱したERG理論というもの。これはマズローの欲求段階説をベースにしつつ、いくつか異なる部分もあります。
まず、ERG理論では人間の欲求は以下の3つとなっているとのこと。
・存在の欲求
・関係性の欲求
・成長の欲求
そして、欲求段階説では人間の欲求は下の階層から順に満たされていくし、満たすように行動していくという考えでしたが、ERG理論では下から順にということはなく、それぞれの欲求は同時並行で存在することもある、と考えられています。
個人的には、マズローの欲求段階説よりアルダーファのERG理論の方が、今の人間の欲求に対する考え方として近しいのではないかなと思います。
例えば関係性の欲求は他人と親密な関係を持ちたいというものですが、その関係性を通じて自己を成長させたいという成長の欲求も、人間は意識・無意識関係なく持っているはずです。
欲求を1つずつ順番に丁寧に満たしていけるほど、人間の思考や感情はお利口さんではないと思うんです。むしろ、「あれもこれも!」という風になるべくいっぺんに欲求を満たしたいという方が、人間らしいです。
しかしこれも何故か分かりませんが、このERG理論は欲求段階説に比べて圧倒的にマイナーです。
少なくとも僕はこれまでに、ERG理論について話してくる方とは会ったことがありません。
そしてちなみにですが、マズローの欲求段階説は5段階となっていましたが、実はマズローは後にもう1段階上の階層があると発表もしています。これも同様にあまり知られていないように思います。
ここまでのお話で何が言いたいかというと、世の中にはマイナーでほとんどの人に知られていないけど、僕達が生活や仕事をしていく上で役立つ理論がまだまだたくさんあるということです。
現に、今回のERG理論の他にも、人間の欲求について説明している理論はあります。
誰かから中途半端に聞きかじったものだけを認識しているのはとても勿体ないと思うので、ぜひこの機会にご自身で色々と調べてみてください。
今まで知らなかったものがたくさん見えてくるので、とっても面白いですよ(僕だけかもしれませんが 笑)。