プロチームでどのように選手をマネージメント??
アトランタホークスでメディカル・パフォーマンスチームの一員とし働かせてもらい始めてはや三ヶ月が経つところです。
いろいろ学びのある毎日で充実してます。
今日はどのように、選手一人一人の育成・マネージメントを行なっているかを書きたいと思います。自分でも参加して”なるほどな”と勉強になることばかりなので、残してまとめておきたいと思います。
Tight Teamの存在
うちのチームでは、この
”Tight Team”
というものが存在します。Tight (硬い)?Team(チーム)?
なんでこの名前なのかわかりませんが、おそらくイメージでは
Tight Team=団結のある、みんなが全ての情報を共有してるチーム
といったようなものだと思います。
このTight Team の構成は以下のようになってます。
1. メディカルチーム
これはPT(理学療法士)ATC(アスレチックトレーナー )から構成されます。
2. パフォーマンス・SC
これは、SCのコーチたちで構成。(うちのSCは理学療法士の資格も持っているため、メディカルの知識もあります)
3. コーチ
選手個人それぞれに育成担当のコーチが振り分けられており、各々のコーチもTight Teamに含まれます。
そしてその真ん中にいるのが、選手です。
このTightTeamがどのように機能するかは後ほどに。
Individualized Performance Plan "IPP"
IPPとはその名の通り
選手個人個人のパフォーマンス向上プラン
です。
選手個人個人に担当のPT/ATC(メディカル)SC(パフォーマンス)そしてコーチがそれぞれ、その選手のWork-ons(向上しないといけない点)について考えます。
そしてこのWork-onsは客観的で測れるものにしようと心がけています。
例えば、選手Aのメディカル担当のATCが、
テーブル上での計測とビデオでの動作分析、既往歴などなどのアセスメントの結果、
選手AのWork-onは股関節の内旋能力と肩関節の内旋可動域
などなど、何個か見つけ出します。
その選手の担当SCは、
Force Plate分析、動作分析、パフォーマンステストの結果、などの情報をもとに、
選手A のWork-ons は、ForcePlate上での両足スクワットジャンプ (counter-movement jump)でのスムーズなローディングと素早いローディングからプッシュオフへの切り替え。
などなど(あくまでもこれは例です)見つけ出します。
コーチも、それぞれコート上で練習を共にする中で、その選手の弱点だったり、癖を見抜いてWork-onsを見つけ出します。
僕らメディカル・パフォーマンスチーム(ATC/PT/SC)はそれぞれ選手のIPPとして、6つの項目にフォーカスして、それぞれの項目に対して目標を決めます。
以下が6つの項目です。
①バイオメカニック(動作分析)
これはPT/ATCがビデオ分析などをもとに選手の癖だったり向上しないといけない目標を定めます。(例:着地の際の、骨盤の左右傾きの癖の向上・股関節の進展の向上などなど。)
②パフォーマンス
これは担当のSCがそれぞれの選手のWork-onsを定める。(例:スクワットの深さの向上・ジャンプ動作のメカニックの向上などなど)
③Nutrition 栄養管理
これは2週間に1回、選手はDexaScanで体の脂肪率、筋肉量などを測ります。シーズンを通して、選手の食事の習慣なども栄養士の方の協力のもと、選手それぞれコンサルティングしてらってます。
④リカバリー
選手それぞれ、何かしら毎日のリカバリーの方法を決めています。これはそれぞれの好みによって変わりますが、(マグネシウム浴、マッサージ、Normatec、水風呂交代浴などなど)ここではちゃんと何かしらのリカバリー方法を確立してちゃんと行なっていることを目標にします。睡眠の習慣チェックも行なっています。
⑤既存の怪我の処置
現在ある怪我の処置に対しての目標。リハビリの計画などがここに入ります。
⑥メンタルヘルス
恵まれている環境で、スポーツ心理学の専門家が選手のカウンセリングを行なっています。ここでは僕らメディカル・パフォーマンスチームが選手がちゃんと定期的にカウンセリングを受けていることの確認を目標にしています。
以上6つの点からIPPは主に構成されています。
これにより選手ひとりひとりの包括的なマネージメントができます。
Tight Teamの機能
僕らメディカル・パフォーマンスチームが選手それぞれのIPPを作り上げたのち、ここでTight Teamの出番です。
先ほど述べた
Tight Team (メディカル、SC、コーチ、選手)が2−4週間に一回は必ずミーティングをひらき、僕らが作り上げたプラン(IPP)とコーチの見つけだしたWork-onsを選手に提案します。
ここで大事なのが、提案!あくまでも、Tight Teamのメンバーそれぞれ専門家の専門的に知識をもとにした提案。強制ではありません。
これも選手の意見を大事にするためです!
このミーティングでは選手の主体性をとても大事にします。
Tight Teamがそれぞれ責任を持って合同ミーティングを定期的に開くことで、ちゃんと選手がそのプランに沿って成長できているかを確認することができます。Work-onsを客観的に測れるものにするのも、毎ミーティングごとに明確に成長や後退を確認できるからです。
それぞれ専門家が、どれだけ知識があって技術があっても、こういったPlanを遂行できるシステムがないと、選手の成長と成功には繋がらない
という信念でうちではTight Teamを用いているのです。
選手の主体性
このTight Teamでのミーティングでは、先ほど述べたように、選手の意見やフィーリングを大切にします。
僕らは、ただただ専門的な意見を提案するだけで、それを選手がどのように受け取り、どのように自分のものにするかは選手次第です。
ここで、選手が向上したい点や、きになる点をちゃんとコミュニケーションできる機会もあたえます。
こうやって、選手は自分の行動に責任感と主体性を持たせることで、選手の長期間での成長を促せるようにします。(キャリアは長いので、他のチームに行っても、自分の行動と体に関して意識をたかく持たせるようにするため)
日本バスケットボール協会によるウェビナーでも、主体性についてお話ししている場面もあり、とても勉強になりました。
まとめ
サクッとですが、最近こういったTight Teamでのミーティングがあり、どのように選手の成長を確認できるかと考えることがありました。
とてもいいシステムだなとおもい、ここにまとめさせていただきました。
いいなと思うのは、やはり選手がとても積極的に参加してくれること。選手の主体性があるだけで、僕らの専門的なアドバイスは何倍も大きな効果をもたらせる気がします。
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