【労務論点④】固定残業時間を超えた場合の残業代計算方法
こんにちは、社会保険労務士の川住です。
「労務論点」シリーズの第4弾は、「固定残業時間を超えた場合の残業代計算方法」を取り上げます。
固定残業制度については、判例で「通常の労働時間の賃金に当たる部分と割増賃金に当たる部分とを判別すること」等を要求しており、例えば、基本給240,000円、月平均所定労働時間160時間、固定残業代20時間分の場合では、以下のような記載方法が一般的です。
上記の例では、25%の割増賃金を含めて固定残業代を計算しています。しかし、すべての残業に割増賃金の計算が必要とは限りません。例えば、所定労働時間が7時間/日、35時間/週の場合で、ある日に2時間残業すれば、労働基準法上は1時間分は割増賃金不要ですが、もう1時間分は割増賃金が必要になります。所定労働時間が8時間/日の場合でも、法定外休日以外の休日出勤等で同様のことが起こります。
このような割増賃金不要の残業は、勤怠管理システムでは、「法定内時間外労働」等として扱われます。では、固定残業代が20時間分の場合に、割増賃金が不要な残業(法定内時間外労働)が10時間、割増賃金が必要な残業(法定外時間外労働)が20時間発生したとすると、どのように給与計算をすれば良いのでしょうか?
この場合は、法定外時間外労働20時間を固定残業時間に充当すれば安全と思われます。では、法定内時間外労働が15時間、法定外時間外労働が15時間ではどうでしょうか?
法定外時間外労働15時間と法定内時間外労働5時間を充当するのが安全寄りですが、固定残業代37,500円という数字と相違することになります。
重箱の隅をつつくような話ではありますが、実際問題として勤怠管理と給与計算のシステム連携において致命的な問題が生じてしまうことがあります。
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