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仕事紹介 その4 耳つけ、端縫い(はぬい)編

畳の部屋での検品が終わると、いよいよ工房に移動します。
まずは、耳つけをします。

生地を張り手で挟むと穴があくので、あらかじめ穴があいてもいい生地を付けます。
また、色を付けて確認出来る場所を確保する意味合いもあります。

耳は何回も使うので色がついているのですが、染める色と合わせておくと確認の意味でも間違いがなくなります。

使用後の耳は、ハイドロで抜いて再利用します。色を抜くと生地がだんだんと弱ってくるので、カサカサになったら耳としては使えません。

※張り手…反物を引っ張る時に生地を挟む道具のこと。針には、いろいろタイプがあります。私の好きなタイプは、針が長め、間隔が開いているタイプです。張り手は、昔から使っていたり、他の工房から譲り受けたりしていますので、買ったことはありません。

つぎに、端縫い(はぬい)について話します。
着尺や帯は耳を付けるだけで引っ張れますが、絵羽物だと反物の形に戻してから引っ張ります。バラバラのパーツを反物の形に縫って戻す事を端縫いと言います。袖、袖、身頃、身頃、衽、衽、本衿、掛け衿 このパーツが必要です。
平仮名で書くと、そで、そで、みごろ、みごろ、おくみ、おくみ、ほんえり、かけえり です。
祖母や曾祖母の時代は手縫いで端縫っていたので、夜なべ仕事だったそうです。

母の代からは、ロックミシンで縫ってます。
生地と生地とが重ならないように縫ってくれるのがロックミシンです。これも使いようで、慣れないと重なるので注意が必要です。けっこう難しいです。
生地が重なると色が溜まるのでよくないです。
染め分けやぼかしになると違う色が隣り合わせになるので生地が離れてないとダメです。縫い目が飛んだりしてもほつれの原因になります。縫込みが浅過ぎても引っ張った時にズッコケちゃうのでダメです。

引き染めに耐えられる端縫いは奥が深いのです。

次はいよいよ工房に引っ張って、伸子をかいます。



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