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仕事紹介 その5 引っ張って伸子をかう編

お待たせいたしました(笑)ようやく、工房に反物を引っ張れます。

工房に持ち込む前に気付けることは気付いておきたいのでどうしても時間がかかります。
まず、手と腕に汚れがないかを確認します。服も汚れてないかも確認します。
そして反物を手繰ります。反物に張り手をつけてロープで柱に縛ります。そこから反物を引っ張っていきます。反対側も同様に張り手をつけてロープで縛ります。
3丈6尺の反物を引っ張ると結構なチカラが必要です。伏せ糊やワックスがあるともっと重くなりチカラがいります。生地の一点にチカラが入らないように引っ張っていきます。

☆実は染屋の手はキレイな件
皆さまの中には染屋の手と言えば、色がついた手を想像される人もいるかと思います。
ふじや染工房は、お客様の反物を染めるのが仕事ですから毎日、色々な色を染めます。基本的に1日の中で薄い色から濃い色へと順に染めていきます。計画的に染めないとシミの原因になります。

また、手を洗う回数も増えるので手荒れの原因になります。手が荒れると知らない間に血が出ていたりするので危険です。
爪が伸びてると生地に引っ掛けて糸引きしてしまいます。
ささくれや手荒れで知らない間に血が出てるなんて事の無いように仕事後は、保湿をしっかりしてケアしています。仕事中は、反物に保湿クリームがつくので手を洗ってから工房に入ります。

染屋の手が汚いのは染め終わった時だけです。それも追加で伸子をかった時だけです。それ以外はあまり汚れません。

同じ色をたくさん染める場合は手を洗わずに連続して染めるので手に色が重なって汚い手になりがちです。そういう時は、最後に薬剤で落とします。


話を戻しますと、引っ張った後は、ミシンで縫ったところが大丈夫かどうかを確認します。ぬかがすごい場合は一度ほうきで掃きます。ここでもう一度、パーツの確認をします。伏せ糊が硬めの場合は、ほうきで掃いだ後に霧をかけて糊を戻します。
全て良ければ、伸子(しんし)をかいます。

伸子(しんし)は、生地の耳にかいます。ここでいう耳とは、反物幅の両端の事です。この耳に伸子の針を刺して生地のシワをとります。伸子の数を少なくしたいので、シワが取れるぎりぎりの間隔で伸子をかいます。伸子は少ない方が楽だし、反物も重くならなりません。また、蒸しの後に再度染める時にも効率が良いです。手間はかけますが、無駄は嫌います。
生地が弱い時には、短くて細い伸子を使います。そうする事で生地にかかるテンションを下げられます。

ぼかし染めの場合は、裏刷毛の時にぼかしやすい様に伸子の位置を考えてかっておきます。
最後に糊の上の糠(ぬか)をよく掃きます。
ぼかしや染め分けの場合は、藍花で当たりをつけます。また、耳の裏にに鉛筆当たりを付けます。藍花は地入れで消えるので当たりの位置を紙に描いて設計図を作っておきます。そして、染めのイメージを作り上げていきます。

全部できたら伏せ糊を乾かすために工房の上に上げておきます。工房は天井が高くしてあり、反物を上にあげておくと暖かい空気が糊の乾燥を早めてくれます。また、上にあげておくと、下にスペースが出来るので、別の反物を引っ張れます。

伏せ糊の乾燥を待って、次は地入れです。


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