KANSAS「Leftoverture」 はプログレのマスターピース

皆さんはカンサスというバンドをご存知でしょうか。
よくプログレハードの雄と紹介されることの多いバンドですが、そのプログレハード勢の中でも一番プログレしているバンドでもあります。
今回はそんなカンサスの「Leftoverture」を取り上げていきます。


 メロディアス×プログレ

今まで様々なバンドがプログレとハードロックの融合を図ってきましたが、その中で一番成功した例の一つがこのアルバムではないでしょうか。
シングルカットされヒットした「Carry On Wayward Son」にもプログレの片鱗が垣間見えますし、更には長尺の曲を3曲も収録するというなかなか確信犯的なこともやってのけています。
それに加え、万人受けしやすいメロディと美しい旋律、そしてアグレッシブなパッセージを兼ね備えており、まさにオールラウンドなプログレアルバムと言えるでしょう。 
(注)私はこのアルバムをプログレの最高傑作の一つだと思ってます。

全曲ひとくち解説

1 Carry On Wayward Son

大ヒット曲。
非常に親しみやすいメロディだがその中にもプログレッシブな瞬間を魅せており、まさにプログレハードを代表する一曲。

2 The WALL

旋律が非常に美しい。
たぶん哀しいときに聞くと高確率で涙を流してしまう逸品。泣きのギターが痺れる名曲。

3 What's On My Mind

非常にコンパクトなロックチューン。
少しソロが挟まれるが、基本的には結構万人受けしそうなハードロックである。
少しだけ挟まれるギターソロは必聴。

4 Miracles Out Of Nowhere

カンサス式プログレの代表作。
6分長という少しだけ長尺な曲で、前半はキャッチーなロック、後半は激しいプログレパートと、カンサスが得意とする構成のプログレが展開されている。
更にカンサスの一番の売りであるヴァイオリンソロが非常に堪能できるチューンであり、全体的に非常に満足できる一曲。

5 Opus Insurt

キーボードが冴えるポップ・ロックに見せかけたプログレ小品。
やっぱキーボードソロが素晴らしいですよ。聴いてて飽きを感じない。

6 Question Of My Childhood

前の曲の流れをそのままに更に盛り上がるポップ曲。どちらかと言うと歌パートが多い曲。
トラック5〜7曲目はどちらかと言うとキーボードがフューチャーされたゾーンであり、カンサス的キーボードプログレを見せてくれる。

7 Cheyenne Anthem

カンサス式プログレ第2の大作であり、これまたキーボードがフューチャーされた作品。
前半は非常にメロディアスなバラード調の曲で、先程の2曲の流れを引き継ぎつつしんみりと終わるのかと思わせておいてからのアグレッシブなプログレ的展開はもはや圧巻。
こういう瞬間があるから私はカンサスが好き。

8 Magnum Opus

このアルバムのトリを飾る作品は、カンサス随一のプログレ大作。
カンサスが得意とする壮大な展開や、アグレッシブなヴァイオリンやギター、キーボードの演奏を十二分に楽しむことができる。
この曲は主に6つのパートで構成されており、パートごとに叙情的な演奏とアグレッシブな演奏が繰り返される、非常にメリハリのあるプログレ大作に仕上がっている。
特にラストの部分はイヤホンで聴いて貰いたい。鉄琴の印象的な響きとその後のバッキングのキーボードのかっこよさと言ったらもう言葉では言い表せないほど。
組曲の内容としては、「Gnat」と人間との戦いを描いた物らしい。

【結論】プログレ入門はこれだ!

プログレってある意味ジャンルレスなところがあると思うんですよね。キング・クリムゾンのような複雑なリフと変拍子、インプロヴィゼーションを得意とするバンドもいれば、ピンク・フロイドやキャメルのように叙情的かつ哲学的な世界観を展開するバンドもあり、あるいはイエスやELPのような超絶技巧、ジェスロ・タルやジェントル・ジャイアントのような古典的な作風もあれば、ソフト・マシーンのようなジャズ・ロック、ラッシュやドリーム・シアターのようなプログレハードともう上げればきりがないんですよね。(長文失礼しました)
その中でもカンサスはどちらかと言うとポップ寄りではあるんですが、ハードな瞬間もあるし、またメロディアスな超絶技巧も見せてくれる。
いわばすごいいいとこ取りなバンドなんですよね。
そんなカンサスの中でも、ポップ寄りではありつつプログレしまくっているこの作品は、プログレに興味のない人も、はたまたプログレマニアにも、どちらにもピッタリハマるアルバムだと思ってます。
プログレハードだと言わずに一回聞いてみましょう。僕みたいに沼にハマるかもしれませんよ…?

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