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今こそスポーツチーム経営を考えよう

新型コロナで影響で多くのスポーツチームが大変な状況です。経営が苦しい今だからこそスポーツチームは変革しなければ生き残れないと思っています。スポーツに限らず”生き延びる”為の延命措置は各企業必死にやるしかありません。しかし”生き残る”には変化が必要だと思っています。

スポーツチームを経営するとしたらどうやってやるのか、今だからこそ何をするのか「お前にチーム経営の難しさを知ってんのか」などの意見はほぼ無視して、単純なロジックと自分ならこうやって経営するという、いちスポーツベンチャーの起業家として書いていきます。

今のやり方を評論する気もないし、じゃあやってみろと言われても自分の会社があるのとチームの経営に携わってるわけでがないのでやりませんが、チームのお手伝いは会社としても個人としても引き続きしたいと思います。ただ私なりのチーム経営論は今まさにそのタイミングなのかなと思っています。

この図は、アディダスやリーボックでCEOを務め、元ブラジル代表のカカ選手やNBAのガリナリ選手など数多くの世界的プレイヤーのエージェントも務めるウンベルト氏にNBAのビジネスや代理人業務、マーケティングをテーマに若手の社会人や学生向けの講演と食事会で3時間ほど事業相談をした時に教わったことです。実は、弊社の経営スタイルにも大きな影響を与えていて、素直にすごいと思った経営者の1人です。

先ほどの図を簡単に説明すると、特定のスポーツにおいて成功するには『①地域がそのスポーツを普及させようとしてる②ビジネス(エンタメ)の基盤がある③スター選手がいる』が必須であることを表しています。この3つの条件が揃わずして特定のスポーツが成功した事例は歴史上1つもありません。つまりどんなにビジョンが素晴らしくても、熱い想いがあっても3つの条件が揃わないと成功しないという現実を受け入れてください。

①地域がそのスポーツを普及させようとしているか
地域というのは市町村〜国までそのサイズは対象によって変わります。例えば、Jクラブだったら本拠地である浦和市や横浜市になります。浦和市がレッズを応援している、普及させているという話ではなく、浦和市がサッカー(競技そのもの)を普及させてようとしているかです。リーグを盛り上げたければ、国家政策でサッカーを普及させようとしている中国や4大スポーツから5大スポーツにしようとしているアメリカが本格的になれば、この2ヶ国の成長に圧倒的に遅れます。日本はサッカービジネスでは勝てないと思っています。代表強化といった文脈はここではそれほど重要ではありません。

①の状態の上で②(エンタメ)ビジネスとしての基盤をつくることが大事です。ここに関しては詳しく書くと膨大な量になりそうなので省いて、先に③について話すと①②の基盤の上にスター選手の存在が絶対に必要です。

「スターはつくるんですか?出てくるんですか?」という質問したところ「スターは作れない。メッシやマイケル・ジョーダンを作れるかい?ある日突然現れる(スターになる)もんだよ」と言われました。これは正にその通りだと思いました。その時代のスターは意図せず現れます。

ウンベルトさん曰くスター選手はいつの時代、どの時代にもいるわけではないので、現れた時に①②が整っていることが大事です。日本をほとんど知らないウンベルトさんにも「日本でもスターがいるのに①②がなくてブームで終わった事例はない?」と聞かれました。みなさん思い当たりますよね...

「日本で野球が普及した理由を知りたい」と言われたので、野球はアメリカ、GHQが力を入れた占領政策のひとつであり、プロ野球についても復興政策が急がれた背景、インフラとメディアの企業がバックアップしたこと、王貞治、長島茂雄といったスターがいたことを伝えたら、すごく納得していました。イタリアでもサッカーは重要な国策の一つとしていたと言っていました。

①②③が揃わない場合、普及した実例がないのであれば、あなたの選択肢は①②③を揃えるか、揃わずとも努力をして史上初になるかのどちらかです。私なら①②を揃え、③が現れるのを待ちます。

※成功の定義はそれぞれですが永続的に成長し続けその成長の幅が大きく国際的に成功を収めたリーグです。ただ目指してないとかの言い訳はしないでください。視座は高くしましょう。


スポーツチームの経営

スポーツチームを経営するとしたらどうやってやるのか、大事なのは明確なプランをもってやり切れるかです。私の偏見でいうとスポーツチームは特に曖昧なビジョンとフワッとしたプランが多く明確な判断基準と目的がありません。あったとしても経営体制の変化だったり、属人性や大人の事情で複雑性がまして、継続が難しかったりします。(某チーム関係者の声)

先ずはホームタウンになる都市の行政に働きかけ、チームとしてもできるだけその競技を普及させるために投資をします。都市からはじめ、県まで広げていきます。これはいきなりできるわけではないので時間がかかりますが、絶対にやります。どのチームも自分のチームの認知度をあげようとしますが上げるべきはその競技の普及度です。

ただ自分たちのスクールを展開するとかだけではなく、子供から社会人まで、その競技をする機会をつくり、大会運営などもいいと思います。とにかくする機会を増やし、競技人口を増やし、目にする機会を多くします。年齢層をわけて競技をする機会を増やす取り組みが良いと思います。季節を分けて、複数競技をシーズン制で実施するルールを県や市町村単位で取り組むのもいいかもしれません。

その都市がバスケの街、サッカー王国といったブランディングをしていきます。一番わかりやすい方法は、環境と強化に力を入れ、強いイメージをつけることです。特に高校スポーツを強くするのが一番早いと思いますが、コツは強豪校を2つ作ることです。1校だと"その高校が強い"になるのでその県が強いとはならないからです。具体例もありますが、自分で考えてみて下さい。身に覚えがあると思います(笑)

ちなみに国がその競技を普及させようとやってくれるのが一番いいのですが、そうではない場合は局地的に熱狂を作り、ブランディングしていくしかありません。もし「地元に作りたい!」という想いがあるなら、地元がその競技を普及させようとしてるかを確認してください。してないなら説得するか、啓蒙活動を10年計画で地道にやるか、諦めてください。

経営の話に入る前に前提として以下を読んでください。サイバーエージェント藤田社長の「シゴトの極意」は私も同じ考えで、スポーツチームの経営するとしてもタイミングが全てです。スポーツチームを創った人、創ろうとしてる人たちは自分たちのタイミングで始めていませんか?

「自分のタイミング」で動こうとする人がいます。同僚が活躍しているのを聞いた、友人の話に刺激を受けてこれまでとは違う働き方をしたくなった、日曜日の夜にたまたまテレビ番組「情熱大陸」を見て感動した、等々、状況的に勝負のタイミングがきたわけでもないのに、勝手な主観で勝負に打って出ようとするのです。要するに冷静な状況判断ができていないのですが、こういう「功を焦る」人は結局、自滅していきます。社会人1年めのスタートダッシュなど、誰にでも共通して勝負所といえる時期はありますが、それ以外は自分の勝負所がくるのを待つしかありません。耐えている時間は長く感じますが、世の中の風はいつかは必ずこちらに吹いてきます。“そのとき”を見極め、タイミングを外さず勝負できるように、常日頃から準備を怠らないようにしておかなければいけないのです。しのぎにしのいで、やってきたチャンスを逃さず、勝負をして勝った。それをもって人は「あいつは運がいい」と評したりするのですが、これは別に幸運がたまたまきたわけではありません。ですから僕には「自分のタイミングで勝負せず、“そのとき”を見極め、運に合わせている」といったほうがしっくりくるのです。

おそらく、自分たちのタイミングで物事を考えて動いてたチームは、今まさに苦しい境地に立たされていると思います。では来るべきタイミングに備えてどんなことをやっておくべきなのか、今だからこそやるべきことは何か、私なりの経営戦略を書いていきます。

利益=売上ー経費
売上=クライアント数×単価×リピート
経費=固定費+変動費

例えば、利益1億を出したいとして、前年度「経費5億」あったとすれば、単純に「売上6億」稼げばいいわけです。利益2億を出したいとして「経費10億」であれば「売上12億」稼げばいいわけです。チームの収益構造で大きく占めるのは⑴スポンサー、⑵チケット、⑶グッズ、⑷スクール、⑸その他です。

⑴スポンサー売上 = クライアント数×単価×リピート
⑵チケット売上 = クライアント数×単価×リピート
⑶グッズ売上 = クライアント数×単価×リピート
⑷スクール売上 = クライアント数×単価×リピート

と考えればいいわけです。ここで最初に決めるのはクライアント数です。これは限界売上を考えた時、単価はいくらでもあげれますが顧客の数は箱のサイズ、マーケットのキャパ、ターゲットの対象人数で決めやすいので、ここを先に決めます。

次にリピートを決めます。月払いなら12回、年払いなら1回、年間30試合なら30回、平均3回購入なら3回とリピートが決まります。最後に単価を決めます。単価はシンプルなベースを決めてアップセル、クロスセルをする考えをします。⑴〜⑷に色んな金額設定があるのではなく、全て同じ単価で考えます。

⑴スポンサーの単価=100万円×1回
⑵チケットの単価=5,000円×3回
⑶グッズの単価=4,000円×2回
⑷スクールの単価=1万円×12回

色んな金額プランがあるのはこれに様々なアップセルとクロスセルがあるからややこしくなるので、もし私が経営陣ならとにかく単純化します。ここは、後ほど説明します=お客を徹底的に絞ることにあると思います。

つまりチーム経営で売上には一定の金額が入る売上と、成果状況によって大きく変わる売上があるのです。

α売上=計算できる売上、β売上=変数がある売上

そして⑴〜⑷それぞれのフロントエンド(集客)とバックエンド(収益)をはっきりさせます。フロントエンドでお客さんとの信頼を確実に得て、その後は本当に売りたい商品を売るだけです。

新型コロナの影響で苦しい状況となり、この一般的なスポーツの収益モデルでの限界が露呈してきました。さらに計算できる売上がビジネスの視点で作られておらず、給与的な考え、もらえるものになってしまっている状況か、もしくはお願いして依存してしまっているので、そもそも計算できる売上になっていない事実があります。

変数がある売上に関しては危機管理として0の想定がなされていなく、今回実際に試合がなく、0になってしまい多くのチームが危機に陥っています。他に方法がないかを探っていると思いますが、ベースがあって対応できているチームはいいですが、試合がなくなる状況を想定して準備していたチームは正直、皆無だったと思います。

無観客やリーグ中止は想像していなかった。つまりそれは勝てない経営戦略を綱渡りでやっていたことになります。

橋本流のチーム経営論

前提として競技問わずですが、地方と都心部では少し手段を変えたいので、今回は地方プランでいきたいと思います。都心プランはこのnoteで書きませんが、東京以外のチームには基本参考にはなると思います。

3年で基盤をつくり、5年プランで結果を出します。まずはコンセプトを決めるにあたって「エンタメ・娯楽」になるのか「生活・インフラ」になるのかは大きく違うので私の場合は思想的にも経営戦略としても後者の「生活・インフラ」で考えます。

例)私がもし前年比、平均観客数3000人、年間10億ほどの経費がかかるバスケチームを経営した場合で考えます。

⑴ スポンサー
⑵ IP(知的財産)
⑶ 会員
⑷ 他事業

チームの収益構造としてこの4つを柱の収益モデルにします。柱とは全体の80%の売上を占めるものとします。

⑴ スポンサー
スポンサーは徹底して数を絞ります。「スポンサー金額+アクティベーション費用<会社の利益」にするためには数社が限界です。100社も実現するのは不可能です。企業にとっては費用<利益の間はほぼ確実に継続するし、その利益が大きいほどより資金を投資するのが経営者の判断です。10社前後が理想でありかつ限界だと思います。スポンサー種類別にすると以下のイメージです。

主催(1~2社)
チームの看板となるメインのスポンサー。それぞれの会社が地域にも世の中にも結びつく(錦織圭選手=ユニクロ、日清のイメージ)レベルまで定着させます。経済性と社会性で2社までが限界です。ユニフォームや看板のメインとなる=になる会社です。
協賛(2~5社)
会場やイベントなど様々な催しに対して一緒に開催するスポンサー。演出、制作会社や広告などをメインに扱う領域の会社で、スポーツのエンタメのクオリティを上げてくれるパートナーです。
協力(3~5社)
金銭よりも目的はヒトやモノ、知見、技術などリソースを提供してくれるスポンサー。メーカーやテック企業、エンタメ企業などがイメージしやすいかと思います。看板ではなく、ソフトとハードそのものが宣伝になります。
後援(n社)
地場の企業(地域に根付いた企業)を中心にチームを応援してくれるスポンサー。明確な数字のリターンではなく、感情や地域貢献などを中心に実施します。

複数年契約が条件のうえ、スポンサー企業の要望を叶えるためのフルカスタムでスポンサー金額に見合った明確なリターン、企業の定性的・定量的な満足を保証しながら長期的な取り組みをしていきます。専任の担当者がつきながらプランニングサポート、アクティベーションサポートをしていきます。会場の装飾や演出、イベントなどのアクティベーション費用は全てスポンサー企業がアクティベーションとして負担してもらいます。

専任の担当をつけて一緒に価値を最大化する取り組みをしていくので、10社前後が理想です。1人で2社くらいが限度だと思っています。何をするのかは私はイメージありますが、会社としてスポンサーした経験もあるので、こんくらいやってくれたらスポンサーするなって思ったことがあるので業務量はかなりあります。なので最低5人の担当が必要です。

スポンサー売上:平均単価5000万円 × 11社 = 5億5000万

⑵ IP(知的財産)
ではこれまで100社以上いたスポンサー様を見捨てるのかという声もあると思います。ここは完全に切り離します。10社以外はIP(Intellectual Property )権利の方に当てはめます。つまり権利を買ってもらうことでチームのもつ様々な権利を使えるライセンスを得ることができます。ロゴ、選手の肖像権など分かりやすいものから様々作れると思います。

企業がチームのIP(知財)の使用し、積極的に企業に活用してもらい、アイディアも企業側から提供してもらいます。3万/月と5万/月と10万/月(20社限定)の3つのプランから選択して、それぞれのライセンスを発行し、自由に権利を使ってもらいます。ここは営業と新規対応などの労力が発生しますが、ライセンス発行と不正利用のチェックだけなので1人で50~60社くらい見れます。2.3人の担当がいれば十分です。

オンライン完結でできる仕組みがあればPC、スマホ、タブレット端末から契約、選択、利用、ダウンロードまでできるのが理想です。紙の資料やデータの移動などめんどくさい無駄は省きます。

売上がライセンス料に依存している場合、経営上のリスクがあります。当然、更新月には契約解除によるリスクは認識しておいた方がいいでしょう。なので時期の分散や、解約理由の明確化、ライセンスの有効な活用方法の事例など、PDCAを回して金額がお得と思えるものを作り上げましょう。

 IP(知財)売上:9480万
3万円/月 × 30社 = 90万円/月 × 12ヶ月 = 1080万
5万円/月 × 100社 = 500万円/月 × 12ヶ月 = 6000万
10万円/月 × 20社 = 200万円/月 × 12ヶ月 = 2400万

徹底することは、企業のやることに合わせて単価を変えるのではなく、ここで売買するのは権利であり、チームの価値であるということです。その分パートナー同士を繋いだり、フロントと現場スタッフとの調整に集中します。重要なのは権利利用のハードルを下げ、地元企業の活用を活性化します。


⑶ 会員
これは地域のサブスクとして、地元のライフスタイルの溶けこむインフラとして作り上げます。先ず第一にチケットの販売をやめます。チケットを売りません。一般のチケットは売りません。会員をとにかく増やすだけです。

チケット売上の上限はキャパ5000人の場合×年間30試合で=15万枚のチケットになります。単価4,000円としたら6億円が上限になります。チケットの売上だけで10億円にいきたい場合は単価6,700円にあげないといけません。私なら、ファン、ブースター、全て、コミュニティ化します。

3000人のお客さんを5,000円/月のサブスクにします。試合を売るのではなく、試合という特別な体験を含むチーム会員の1ヶ月のUXを売ります。

会員には当然、特典があります。毎月、1枚のチケットとチケットを買う権利と届くボックス(箱)が特典です。チケットを買う権利はアプリで予約し選択できます。毎月登録した住所にボックスが届きます。ボックスの中身はチームのグッズや地元の季節の特産物、スポンサーの商品など順にランダムで届きます。ニーズに合わせて会員プランを3つ用意します。

ライトプラン:5000円
Bランクの席のチケット1枚・Bランクの席の「3回/月」購入権利
ボックス・オンラインコンテンツ視聴
ベーシックプラン:10000円
Aランクの席のチケット1枚・Aランクの席の「3回/月」購入権利
ボックス・オンラインコンテンツ視聴
プレミアムプラン:50000円
Sランクの席のチケット1枚・Sランクの席の「3回/月」購入権利
ボックス・オンラインコンテンツ視聴

人数比率を、アリーナの客席で決めてもいいですが私なら、78:20:2と仮定すると5000人の会員の場合

売上=3900人(78%)× 5,000円×12ヶ月=2億3,400万円
売上=1000人(20%)× 1万円×12ヶ月=1億2,000万円
売上=100人(2%)× 5万円×12ヶ月=6,000万円
合計売上=4億1,400万円

あとはこれに、アップセル(UXアップ)とクロスセル(グッズや飲食)を加わります。エンゲージメントに関わる部分ですが、UIUXをあげることでより5億以上の売上が見込めます。

例えば現在の平均観客数が3000人で5000人の会場を埋めたいのであれば、単純に先ずは会員を5000人に以上に増やすことを目標にします。

毎試合100人の新規のお客さんを集めることに集中すれば、30試合で年間3000人です。そして契約率が10%なら年間300人純顧客が増えます。2年目の新規のお客さんの契約率を20%にすれば600人増えます、3年目は1試合の新規150人、契約率を20%とすれば900人増え、4年目には契約率を25%にあげることで1125人増えます。そして、4年間の解約率が15%→12%→10%→8%だったとして

1年目:3300人ー450人(15%)= 2850人
2年目:3450人ー342人(12%)= 3108人
3年目:4008人ー345人(10%)= 3663人
4年目:4788人ー320人(8%)= 4468人

となり、これを徹底するだけで、5年で5000人以上の純顧客になります。

スポーツチームの話を聞いていると「新規だ!若い層を狙え!女性だ!」と何年同じことを言っているんだというチームがたまにありますが、私ならターゲットを絞り、その人数も絞ります。ペルソナをしっかり定めて、会員以外は1試合100名限定とし、招待なのか割引なのか特別な体験なのか、とにかく初回の体験対象を限定にし、把握し全集中します。

大事なのは、契約率と継続率をあげ、解約率(流出)を下げることです。そのために、徹底してコンテンツ力を高めること、UXの満足度を上げることです。これに全力集中します。

なによりコミュニティ化していれば、データ収集ができ、満足度の高い施策を行うことに集中できます。それぞれの3つのプランの対象となるペルソナをしっかりと定めて、ペルソナにとって無くてはならないものを作ればいいのです。

10000人のコミュニティとなって、20%が毎度会場に来て、50%が月に1回、不定期にくるのが20%と考え、戦略を練ることで5000人が満杯となります。

そこまでファンが付いてきたら、ベースの単価を1000円値上げするのも手ですが、どちらかといえば、アップセルさせる施策を考えます。仮に、もし5000円のプランから1000人が1万円プランになれば1000人×1万円×12ヶ月=1億2,000万円となり+6000万になります。

試合が万が一なくてもこのモデルなら月額支払う金額に対してリターンで得れるUXの満足度なので試合がない分は別のもので補うことでユーザー獲得ができます。

⑷他事業
これは試合の興行と直接関係ないビジネスです。スクールもここに入ります。治療院やジムなどのフランチャイズ経営でもいですし、基本的に競技と関係のないビジネスがメインになります。

オフラインの事業:スクール、治療院、ジム、塾、レストラン etc
オンラインの事業:EC、メディア、web広告 etc

なんでもいいですが、最小で始めれたり、リソースを共有できるジャンルから始めたり、ターゲットにリーチできて確実に実行できるビジネスから順番にやることです。

売上を作る時に大事のは収益のポートフォリオです。幾つかの事業を考える時に、特定の人の生活が豊かになることを考えたほうが圧倒的に言いわけです。おいおい、スポーツ関係なくなってんじゃんと言いますが、大事なのは経営戦略です。

ここは様々なアイディアがつくれます。例えば私ならスクールも参加権利は会員のみにしてしまいます。治療院やジムも会員のみが使う権利をもっていて、その利用料がとにかく安価でうけれたり特典がもらえるようにします。

人的リソースをどこまでさけれるかですが、人材リクルートはチームという誰しもが関わりたいと思う中で、稼げてビジネスが多様であれば、給与をしっかり払えることで多くの人材を確保できる”業界”であることを認識すべきです。

実際に弊社のコミュニティも4年運営していて、10年以内で上記の会員だけが使えるサービスの仕組みはできると思っています。BリーグやJリーグの看板もなく、プロチームでもなく(社員数はそんなに変わりませんが)小さなベンチャー企業で、有名な人もいませんがコストをかけなくとも、10年足らずでできるのです。目的とプランがあって継続できるからです。

チームは10年、20年以上の歴史がありますが、現場レベルの対応に終われ稼ぐ手段にも縛られています。私は3年前から、チケットを売らない会員制のチームを提唱してきましたが、その方針に移行するチームは現れません。しかし突発的な思想ではなく、年間シートを買う人が会場のキャパの8割であるかどうかのようなものです。試合の価値や非日常体験がどうこう話す人はビジネスモデルの変化まで考えているのでしょうか。

起業家は生き残るために必死です。ピボットを繰り返したり、市場の変化に対応するために、新しい手段を考え、ビジネスモデルを大きく変えることは悩みに悩みに決断します。決断したら圧倒的なスピード感で動き、PDCAを回し、最適化していきます。

上記を踏まえて、「お前に何がわかるんだとか」「うちはできない」「こんな状況では無理」みたいなネガティブな意見は聞きたくないです。今こそ収益構造を変えないとこの先、生き残ることもできないし、一生同じ課題を抱えるだけです。むしろタイミング的には今しかないと思っています。何かを変えようとしている一部の方にとって参考になれば嬉しいです。

より具体的な実行プランもありますが、さすがに細部までは書ききれませんでしたので大枠だけをまとめました。細部に関して知りたい場合はWPPビシネスに入るか、チームの人は雇ってください(笑)報酬は求めていないので、ぜひトライさせていただければ嬉しいです。

⑴ スポンサー
⑵ IP(知的財産)
⑶ 会員
⑷ 他事業

指標チェック

⑴⑷であれば下記のような能力と実績が必要になっていきます。

企業上層部とのコネクション
販売している商材に対する深い専門知識
導入事例の紹介
顧客の課題や状況の理解力
解決手法を見つけ出すアイデア
そのアイデアを実現するネットワーク
それを判りやすく整理する提案力
提案を通すための説得力と提案を実現する推進力
契約した企業をアクセルさせる実行力

⑵⑶に関して大事なのはユニットエコノミクスになると思います。月額課金のモデルになるので下記の指標をしっかりKPIに落としてこんで愚直に取り組みましょう。

月の解約率(チャーンレート)
ユーザー平均単価(ARPU)
粗利率(GMR)
LTV(顧客生涯価値)
CAC(顧客獲得コスト)
ユニットエコノミクス

月の解約率(チャーンレート)
顧客が1か月の間にサービスを解約した率を表すチャーンレート。ユニットエコノミクスを割り出す場合には、カスタマーチャーンレートを求めます。

カスタマーチャーンレート = 今月失った顧客数 ÷ 前月の顧客数

ユーザー平均単価(ARPU)
ARPU(Average Revenue Per User)はユーザー1人当たりがもたらす収益を意味する数値。1か月間の収益であれば、月次ARPU、年間であれば年次ARPUと言います。月次ARPUは次の式で求めることができます。

月次ARPU=月次収益 ÷ ユーザー数

粗利率(GMR)
売上高のうちの粗利益の割合です。

粗利率 = (売上高 - 売上原価)÷ 売上高 × 100

LTV(顧客生涯価値)
顧客が生涯に渡って会社にもたらしてくれる収益。ここで押さえておきたいのは、平均単価や粗利率が同じでも、解約率が変わると、LTVは大きく変化するということです。

LTV=ユーザー平均単価 × 粗利率 ÷ カスタマーチャーンレート

CAC(顧客獲得コスト)
新しい顧客を引きつけ、成長を続けるだけにどれだけコストをかけられるかどうかを知るために重要な数値。CACを求めるためには、顧客獲得のためにかかった広告やキャンペーンなどのマーケティング費用だけでなく、営業担当者の給与や手数料、間接費など、すべてを含みます。この指標を通じて、ビジネスがより効率的に顧客を獲得しているかどうかを知ることができます。またOrganic CAC(紹介や口コミ、検索からの流入など自然増の顧客獲得コスト)とPaid CAC(お金を支払って獲得した顧客獲得コスト)の2つがありどのチャネルが効率的なのかを把握するよう務める必要があります。

CAC = 顧客獲得に関わる総コスト ÷ 獲得した顧客数

ユニットエコノミクス
顧客が生涯に渡って会社にもたらしてくれる収益を表すLTV(Life Time Value = 顧客生涯価値)÷ 1人あたりの顧客を獲得するためのコストCAC(Customer Acquisition Cost = 顧客獲得コスト)で算出される顧客1人当たりの採算性を表す指標。

ユニットエコノミクス=LTV ÷ CAC


LTVが重要

気をつけなくてはならないのは、CACは環境に大きく依存するということです。つまり市場への普及率や競合他社の存在に大きな影響を受けることです。コストをかけずにユーザー獲得し、解約率(チャーン)を下げることが利益を大きくします。まずは体験をしてもらって、顧客との関係を継続し続けることがゴールです。

このようなビジネスモデルの思考であれば、PDCA回せる人はそれこそスポーツ業界や競技に精通してなくてもできる人、優秀な人は沢山います。特に⑵ ⑶ は数字に直結する要素をKPIとして落とし込みエクスペリエンス高めることで成長がわかりやすくなります。スポーツチームには、様々な課題やそれに対する意見やアイデアがあるかもしれません。しかし、伸ばさなければいけない数字がはっきりすれば、向き合うべき課題に選択と集中ができます。

⑴ は業界理解が多少必要かもしれません。⑷はその業種(ビジネス)や業務の経験が必要かもしれません。何が必要なのか、どのくらい利益が出せるのかをはっきり描ける人が必要です。つまり、実現するには人材が必要で、チームが必要です。

カレー屋しかできないチームが、廃業寸前でカレー屋以外できないでは意味がありません。市場の変化を受けて、せめてラーメン屋に変えるか、もしくはテイクアウトにかえる、カレールーのD2Cに変えるのか、状況によってはWebサービスの会社に変わらなければいけません。

戦後最大の危機を迎えたスポーツチームは今こそ”変化”しなければ生き残れない状況を迎えました。『この世に生き残るチームは、激しい変化にいち早く対応できたチーム』になると思います。

スポーツチームだろうと我々はお客様(ファン)によって支えられています。回り道でも、チームを支えるファンが増えることをやっていくしかありません。afterコロナで再び土地を耕すことから始めなければならないと思います。


もっと細かいとこまで書きたい気持ちは山々ですが、2万字超えそうなのでこの辺で終わります。読んでいただきありがとうございました。


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橋本 貴智
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