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会社設立5期目を迎えた社長の贖罪

創業した会社が5期目を迎えました。2020年はスポーツ企業にとって、いやスポーツ界全体にとって期待と希望に満ち溢れた1年になるはずでした。しかし、2020年になって世界に溢れたのは新型のウィルスによるニュースでした。未曾有の状況に当然スポーツ界は大打撃を受け、期待と希望は不安と絶望に変わろうとしています。

2013年9月7日東京五輪開催決定のニュースが世界中に流れました。当時大学2年生だった私はこの決定に何かやろうとも関わろうとも思っていませんでした。この時はある大規模なバスケイベントを開催することに必死だったからです。コンビニで夜勤やら複数のバイトををしながら、10ヶ月かけ準備し、開催3日前から72時間寝ずにやってたら、人生で初めて気絶をして迎えた当日、2014年2月8日その日は43年ぶりの大雪でした。イベントは中止になりました。900万の借金を背負いました。

このイベントは私の人生でも忘れられない経験で、今の自分の思想や性格に大きな影響を受けたと思っています。この頃から目の奥が笑ってないとか他人に興味がないとか熱を感じないとか言われる頻度が増えました。このイベント前後の経験は正直辛かった記憶しかありません。楽しいと感じた日はなかったと思います。ただやると言ってしまった以上、やらないといけないそんな感じだったと思います。

そして応援してくれる人、自分のことしか考えてない人、他人を罵倒する人、よくわからない人、これまでのコンフォートゾーンを超えたことで色んな人に出会いました。裏切りも経験しましたし、嬉しいより嫌な思いをすることのが圧倒的に多くなりました。

正直未来に希望なんてなかったし、2浪してまで入った大学に行く意味も感じれませんでした。親に「大学を辞めたい、お金がもったいない」と言ったら「お金の心配はしなくていいから卒業しなさい」と言われました。背負った借金も今自分が生きているのも全ては親、家族のおかげです。

このイベントで人生が大きく変わりました。イベントがきっかけで繋がったのが創業メンバーの宮代でした。彼と出会ってから2年後に創業したのがAscenders株式会社です。正直、宮代がいなかったら今のスポーツの会社も立ち上げてなかったです。宮代にスポーツの夢の国と一兆円のスポーツ企業の話をしたら「それみんなに話して欲しい」と言われ、宮代が代表を務める関西トレーナー界のイベントで100人の前でプレゼンすることになりました。ここで初めて『スポーツの夢の国を創る』『一兆円のスポーツ企業をつくる』を大勢の前で掲げてしまったのです。

実は起業する気もスポーツで何かをしたいとも思っていませんでした。社長なんて興味もないし、小中高とキャプテンをやってきましたが、全て言われたからやっただけで本当はやりたくなかったです。責任を追うのが嫌いでした。有名になりたいみたいな承認欲求もお金持ちになりたいとも思いません。熱い想いは全くありませんでした。

人生は選択の連続だと言いますが、私はその選択において自分の意思で選んだことはほとんどありません。その時最も感情を動かされたものに影響されるか周囲に流されるかで意思決定をしてきました。そうやって夢も進学も周囲によって決めてきました。Ascenders株式会社を創業したのもその流れた先にあったのではないかと今になって思います。

『スポーツの夢の国を創る』ビジョンに掲げていますがおそらくAscendersに限らず日本で一番冷めた目でスポーツの夢の国を描いているのは自分なんじゃないかと思っています。でも1番ワクワクする画を描いているのは自分じゃないかとも思ってます。冷めた思想で考えてもワクワクする時がたまにあるからです。

スポーツはほとんど見ないですしスポーツもあまりしません。仕事だから関わってるのが8割、2割は交友関係からが本音です。業界にいればその競技やリーグに熱い想いを持った方がに多く出会います。私が興味を持ったのはこんなにも熱い人たちがいる業界で、この熱狂する世界です。

スポーツ界をどれだけ冷めた目でみているかは感情のボラティリティを考えた時、至極当然な姿勢だと思っています。熱い人たちの幸せの価値観はマイノリティですし、自己犠牲や感情的な判断は業界を停滞させると思っています。

私はスポーツの価値を言語化しようともしません。なぜなら分かんないからです。言語化すべきはあなたの存在価値であり、あなたの信じる物や者の価値を証明することではないのでしょうか。スポーツという素晴らしいと感じながらも曖昧な価値感を言語化したり、全ての人に当てはまる共通価値、すでにあるスポーツ漫画や本、ライブコンテンツ、個人のリアルな体験から得た何かを言語化したところで世の中の人たちの行動が変わるとは思えないです。

起業して会社の代表になってから責任を追うこと、自分で決断すること、何度も失敗し、罪悪感をもち、時間やお金を失う経験を沢山しました。本やネットで情報を集め、考えては何度も悩みました。寝れない日もありました。しかし、必死に死ぬ気で頑張って、無理してやろうとは思いませんでした。そうやってスポーツで結果でない人を多く見てきました。

私が仲間に求めること、応援してる人にも求めることは頑張らなくても最高の結果を出す状態を追い続けることです。スポーツ業界には努力してる人たちが沢山いますが、結果が出るプロセスの構築を追い求めて欲しいと思っています。

スポーツ産業の構造が変わるゲームチェンジが起きるとしたら今です。多くの会社や個人が極地に立たされていると思います。元の世界が戻ってくるのかはわかりませんし、今生き延びたとしても、スポーツをエンタメと捉えた時、その競争にどれだけの会社や個人が生き残るのかはわかりません。私たちは生き残る道と産業を発展させる存在になる為にゲームチェンジにのっかり進み続けます。

「スポーツの夢の国を創る」と一見キラキラしたビジョンを持っている会社の代表のスポーツへの想いがこんなもので申し訳ないです。スタートアップのくせに死ぬ気でやってない、会社の成長も遅くてごめんなさい。理想論だとか好感が持てないとか思われるかもしれません。理解を強要はしませんが私は元からこのスタイルが1番結果が出せて継続できると思ってやってきました。

会社は5期目を迎えて、自分自身の力不足を感じる日々です。実際の会社の成長も想像していたより1/100くらいのスピード感です。私たちが目指す世界に死ぬまでに辿り着けるのか、その先の世界を次の人に託せる組織体制やシステムを構築できるのかわかりませんが上げていくしかありません。

今の会社の達成率は1%くらいです。4期が終わってやっと1%が見えました。4期が終わるまで、0.001%くらいでした。やっと1%が見えてきました。その最大の要因は皮肉にも新型コロナの影響だったかもしれません。


1%が見えるまで

1%が見えるまでの道のりは大変でしたが、結局は内的要因と外的要因が組み合わさった瞬間に見えたものでした。世の中の変化と数字の変動によって1%が見えました。まさに大事なのは努力の量ではなくタイミングだったと思います。

信用を得るには実績が必要で、実績を上げるには資金が必要で、資金を得るには素晴らしいプロダクトが必要で、素晴らしいプロダクトを作るには素晴らしい仲間が必要です。

そこで仲間を集めるために始めたのがWPPというスポーツ専門職のコミュニティの事業を立ち上げるのですか、宮代は大阪にいたのと関西トレーナー会の仲間もいたので、東京で登記して事業は大阪で始めるという不思議な状況になりました。

私と宮代のリソースを使って集め、プロダクトを作っていきましたが、当然、お客はゼロ、信用もなく、実績もなかったので、そうしても信用を得るための実績作りとして2016年の8月にリオ五輪に行きました。リオに行けば、行ったという実績だけでなく、現地に来てる人はスポーツ界のお偉いさんたち、地球の反対側でメディアも危険と報道しまくっていたので、きっと同年代のライバルもいないし、現地で会えば日本よりも確実に相手も覚えてくれるだろうと考えました。そして2020年の東京のヒントになると思っていました。1000万以上の費用がかかり、いきなり会社は潰れそうになり、窮地に追い込まれましたが、その行動と覚悟、実績のおかげで多くの人とつながることができ、少しばかりの仲間も増えました。

創業してから何度も資金が底をつき、会社の口座に6万しかない、自分の口座に3万しかないなんて時が何度もありました。宮代に「やばい。潰れるかも」って毎年電話してました。資金を集め、売上を上げて、コストを下げて、熱い想いがあれば自己犠牲はできるが自分にはそれがないので、正直いつでも辞めれる用意をしてました。損切り撤退のルールを毎度のようにつくっていました。

潰れそうな日々を資金調達や売上を上げて乗り切る度、100%の確率で翌日に発熱し体調を崩していました。デットで集めれば借金は増え続け、エクイティで集めればそれだけ責任が生まれます。

熱い想いもないなぜスポーツビジネスをやるのか?なぜわざわざリスクや責任を負うのか?スポーツ大好きで熱い想いがある人が責任とリスクを負ってやればいいのではと日々思います。私がやる理由は、成長できて、自分にしかできない、その世界にいる特に熱狂してる人たちが好きだからといった理由もありますが、1番の理由はムカつくからです。

理不尽なルールやク○みたいな思想の人たち、偏った価値観、理解不能な文化、この世界にいると怒りが湧いてきます。衝動的な怒りではなく、フツフツと湧いてくる怒りです。それをねじ伏せる事、現実を突きつけて、ムカつく理由を無くしていく事です。スポーツでもねじ伏せる事ほど楽しいことはないと思っていたタイプです。汚い手を使ってもとかではなく楽しみながらねじ伏せるのが最高です。

お前の我儘だと言われたらそうかもしれません。それは結果と賛同者の数によってその意見は変わっていくと思っています。だからこそ感情的な怒りではなくフツフツと沸いてくる怒りを冷静に課題とその原因を見極め解決策を考え、実行していきます。その解決策がクリティカルなのかを仮説検証しながらやっていきます。

スポーツにおける課題は現場の問題や組織体制など、一方では稼げないとか資金の問題だったりとかスポーツビジネスを大きく枠をくくると課題も多様化し、結果何もできなくなっているパターンがいくつもあります。1%にも満たないのは選択と集中をしなかったからだと思います。どれを選択し集中すべきかがわからなかったとうのが事実です。それは課題ではなく解決策、手段において悩んでいたからです。

何度も仮説をたて、壁打ちし、検証し、キャッシュカウになる事業モデルはなにか。継続的に稼げてレバレッジがきくのか。マーケットはどれくらいなのか。根本的な課題解決なのか。人は何にペインを感じているのか。現場の声は?スポーツを「する」「みる」「支える」それぞれのスポーツへの関わり方も直面している課題も違います。

Ascendersは創業からずっと「支える」にフォーカスしてきましたし、今後のことを考えて集中すべき点を明確にしました。そして今期リブランディングをします。2016年6月9日がAscendersの誕生日ですのでその日に発表し、noteも公開します。

可処分時間は増えても可処分所得の水準は落ちます。さらにグローバルで経済ダメージがあるため経済余波がジワジワときます。現状は自粛によりリアルな活動を止められ、実体経済が止まっている状況です。これからスポーツはどうあるべきなのか。どうワークが成り立ち、ライフスタイルに溶け込むかを考えていかなければいけません。

政府や金融機関のコロナ対策の"つなぎ"の融資が増えていますが、これらに頼った企業が仮に生き延びたとしても事業を正常化し返済できる可能性は低く、不良債権化のリスクが高まる可能性があります。大量失業者問題、そして実体経済のダメージが金融システムに波及し、スポーツ界のみならず経済恐慌による混乱が起きるかもしれません。

スポーツ界はこの訪れる危機をどう対処し、産業を大きくしていくかを考えないと生き残れません。これからスポーツ領域はディスラプトされます。弊社はデジタルやテクノロジーを取り入れながらこのディスラプトに拍車をかけ、最適化していきます。弊社のコアコンピタンス(企業の絶対的な強み)とアセット(経営資源・資産)を活かして、スポーツのワークとライフスタイルをつくっていきます。

1%が見えるまで度重なる挑戦と失敗をしてきました。時間を使い、お金を失い、結果を出せず、精神的に辛い日々がありましたが、これからまだまだ失敗すると思います。努力もしないし、スポーツに対する熱い想いもありませんが365日会社の事を考え、働くことも厭わないですし、冷静に客観的に考え、怒りをエネルギーに変えてねじ伏せていきます。戦略を考え、戦術に対応し、仲間たちとミッションにコミットし、実績と信頼を積み上げて結果をだすことに集中します。

私はこんな人間です(贖罪)

最後に、スポーツ界を変えたいとか誰かのためになりたいとか、そうゆう想いのある方が多いと思います。その人たちがどう思われてるかわかりませんが、自らを犠牲にする行為は偽りに過ぎません。偽善者と思われるかもしれません。ある英雄がこんな事を言ってました。

「おまえは正しい。俺の想いは偽物だ。けど、美しいと感じたんだ。自分のことより他人が大切なんてのは偽善だってわかってる。それでも、それでもそう生きられたのなら、どんなにいいだろうと憧れた。俺の人生が紛い物でも、誰もが幸せであってほしいという願いは美しいもののはずだ」

自分の為でも、他人の為でも、己の信条を曲げずに生きるという決意は素晴らしいものだと思っています。もしあなたが夢を語った時、それを無理だと否定されたのであれば、なんとなくや情熱とかではなく理論と行動で示して、相手の主張をねじ伏せ、結果として夢を叶えましょう。

自分でも何言ってるかわかんなくなりましたが、ポエムを書きたくなったGWでした。みなさん、5期目もよろしくお願い致します。

「主体性をもつ」

「仲間を勝たせる」

「当たり前を世界基準に」

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橋本 貴智
自分にしか発信できない、スポーツに関わる全ての方にとって役立つ情報をGiveし続けたいと思います。