思考のつまみ食いは危険
人の考えを分かるには、その人の常識を理解することから始まります。
人の考えに同意できないときは、往々にして、背景にある常識やそう思うようになった経験が、自分とは違うことがあります。
そこを理解すれば、あぁ分かる気もするとなります。
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ただし、その人の考えの良いとこ取りは禁物です。
その人の考えの全体を理解して、取り入れなければ、間違った勉強をすることになります。
例えば、私はIndependent & Interdependentという言葉が好きです。自主独立と相互扶助です。一見矛盾することを同居させる考え方です。そして、自主独立の方にまずは重きを置きます。ですから、相互扶助をする大前提として、自主独立を徹底して追求したかを問います。そこを飛ばして、相互扶助の部分だけを取り上げられても私は困ってしまいます。
親鸞の説く、浄土真宗の本願他力も全体の理解が大切と私は思っています。何でもかんでも阿弥陀仏がやってくれると理解しては間違います。上流階級でお金も時間もあった人だけが浄土に行けるのではなく、お金がなくて毎日が生きていくだけで手一杯、修行をする時間がない人でも助けてもらえますよと仏教の民主化を行った文脈の中で理解することが大切と私は考えています。
人の考えは、つまみ食いはできないのです。理解しようとしたら、毒を食らわば皿までの気持ちで、一旦全部を飲み込むことです。その後にどう取り上げるかを自分なりに考えることでしょう。