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キャリアに関する理論8 - ナンシィ・シュロスバーグ

人生上の転機(トランジション)とその対処


理論的背景

成人の発達を捉える4つの視点

  • 「中年の危機」=中年期に誰しもが同じような危機を経験すること

  • 人生の途中で共通して経験する発達的課題や転機がある

  • 個人を取り巻く環境が、成人の発達の決定的要因である

 ↓
これらの視点を整理し、4つの視点として表した。
 ↓

  • コンテクチュアル(文脈的)/カルチュアル(文化的)

  • ディベロップメンタル(発達的)

  • ライフ・スパン

  • トランジション(転機)

転機への対処

職業的発達は転勤の連続であると考え、職業的発達の課題の1つとして転機の対処スキルに注目した。

出来事そのものではなく、それをどう受取るか(=認知)、それにどう対処していくかが重要であると考えた。

クライエントが問題に対処する方策としては情動中心の対処と問題中心の対処があるとした。

どんな転機でもそれを見定め、点検し、受け止めるプロセスを通じて乗り越えていくことができるとした。

理論上の主要概念

トランジションへのアプローチ

>>転機の識別

転機には次の3つの種類がある。

  • 予期していた転機(出来事)

  • 予期していなかった転機(出来事)

  • 期待していものが起こらなかった転機(ノンイベント)

>>転機が影響与える4つのもの

転機に遭遇すると、次のうち、1つまたは2つ以上の変化を伴う。

  • 個々人の役割:人生の役割んおうち、何かがなくなる、もしくは大きく変化する

  • 人間関係:大切な人とんお関係に厚みが出る、もしくは、薄くなる

  • 日常生活:物事をいつ、どのように行うかが変化する

  • 考え方:自己概念や自分らしさに影響を受ける、変化する

>>転機の影響度を決める3つの要因

  • 転機の種類・大きさ

  • 体験能力(対処するスキルや知識)、経験値、方策立案力

  • リソース(本人が活用可能なサポートシステム)の有無

>>転機のプロセス

「転機は、最初の段階は、始まりか終わりである」という考え方。

個人が転機のどの位置にいるかを見極めることが重要である。

シュロスバーグは、転機(トランジション)に焦点を当てている理論をまとめ、トランジション・プロセスの統合モデルを示した。

対処のための資源を活用する

転機の対応、転機のプロセスに関係なく4つのSが個人の転機を乗り越える能力に影響を与えている。

  1. Situation(状況):転機がもたらしている状況を評価する。

  2. Self(自己):自己の特性や価値観を評価(理解)する。

  3. Support(周囲の支援):考えられる資源と支援。

  4. Strategies(戦略):状況・自己・支援など多面的に転機を乗り越えていく方法を具体的に検討する。

  • Situation(状況)

    • きっかけ:現在の状況が生じた原因は?誰が選択したこと?

    • 時期:社会的に予測できたこと?突然?

    • 期間:永続的なこと?一時的なこと?

    • 以前の経験:同様の転機を乗り越えた経験は?その時の様子や感情は?

    • 他のストレス:現在の問題以外で抱えているストレスは?

    • 受け止め方:現在の状況をどう受け止めている?

  • Self(自己)

    • 仕事の重要性:自分にとって仕事はどの程度重要か?

    • 仕事と他の興味のバランス:仕事の何に興味があるのか?(内容、給与、名誉等)。仕事、家族、趣味等生活全般の中でのバランスは?

    • 変化への対応:どのように変化に対応していこうとしているのか?積極的に再訓練を受ける?考え方を変える?

    • 信念:自分自身に自信を持っているか?新しいことに挑戦しようとしているか?

    • 人生の意味:人生についてどのような意味(意義)を持っているか?何らかの使命感を感じているか?

  • Support(周囲の援助)

    • 肯定的感情:自分の理解者から、どんな人と言われているか?どんなことができると言われているか?

    • 激励:自分の成功を期待する人は誰か?公的的な指導を与えてくれている人は何と言うだろうか?周囲の楽観的な見通しを持っている人は何と言うだろうか?

    • 情報:何についての情報が欲しいのか?星いい情報を得るには、どんな手段、方法があるか?

    • 照会:支援を受ける専門機関や特定のグループがあるか?(医療機関、財政支援、失業者への援助機関、それらを知っている人や機関)

    • キーポイント:進んで連絡をとってくれる人はどんなことを支援してくれそうか?

    • 実質的援助:行動を起こす際、どんな援助が必要か?(子守、資金貸付、交通手段、職務経歴書等の添削を誰がしてくれるか、支援者がいるか?)

  • Strategies(戦略)

    • 状況を変える対応:求人情報を探し応募する。職業トレーニングを受ける。

    • 問題の意味を変える対応:失業したことを、より満足がいく仕事に就くチャンスだと考える等。

    • 問題が起こった後の対応:たとえば、ストレス解消のリラックス法、運動、旅行、その他(今後のために、何をしているのか、理解するための投げかけ)

転機に対処する

資源を強化すること。新しい戦略を立て、天気をどのように扱い、向き合っていくのかの方法をコントロールし、自身の資源の4Sを強化していく。

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