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【空気の力】ジャニーズの支配・戦争

世間を騒がせているジャニーズ問題。
ジャニー氏から性的被害を受けた多くの被害者の方々は本当に気の毒に思う。

被害の規模が大きすぎることの裏には、井ノ原氏がジャニーズ事務所謝罪会見で話した「そういう空気だった」と語った『空気』こそ恐ろしい力。それが長期に渡り野放しにしてきたことが被害拡大に繋がっている。
もちろんジャニー氏の青少年性的虐待がそもそもの原因であり、歴史上類を見ない卑劣この上なく決して許されることのない極悪非道の所業であることは他ならない。
それを巨大化させたのは時間の長さにもあり、見て見ぬ振りが蔓延し、今さら手を挙げたところで、と告白や訴えも留まらせてきた。それが当たり前にとして受け入れるようになり、自分の考え無くして状況を受け入れざるを得ない。
それこそがジャニー氏メリー氏が作った支配による『空気』なのだ。

ジャニーズの問題に触れてはいけない。逆らってはいけない。敵にしてはいけない。僕が俳優デビューした2000年にもこの空気は当然の如く存在していた。
どこの事務所かも分からない小さな事務所の新人の端くれの耳に入るほどの話。業界の人間でそのことを知らない人はいない。

このまま見過ごすことは日本の芸能どころか日本自体良くならない。

なぜならば、

今回のジャニーズ騒動はジャニーズだけに収まらないからだ。
もしこの事態を見過ごすような国民性なら、この先の大事も見過ごすようになり、取り返しのつかない現実が待っている。

それはすでに国がらみで経験している。

それは、

戦争。


大げさに聞こえるが、今が単に平和な気がしているだけで近隣諸国からそういう空気は近づいてきている。

国がらみで経験していることについてはこうだ。

第二次世界大戦から太平洋戦争へ拡大するきっかけとなったマレー作戦、次いで真珠湾攻撃。ただでさえ日中戦争の最中であるにも拘わらずなぜ戦争を続けたのか。

民間人に召集令状が届き、天皇万歳と叫び、お母さんと叫び、家族を想いながら死にに行く。
終戦までに多くの人が犠牲となり、日本は軍人、民間人を含め300万人以上が亡くなった。

戦争は国を守るために止むを得ず抵抗して始まったのなら、防衛のためなのだから理解できる。

しかし軍部の空気により引き起こした戦争なのだ。

これは実際に陸軍幹部が答えた戦争を続けてきた理由というのが、

戦争をやり続ける、そういう空気だった。

それが原爆まで落とされることになり、空気だったで誰が納得するだろうか。

過去の戦争ドキュメンタリーで、戦争に行かなきゃいけない空気だったと答えた民間人の映像を見たことがあった。
なぜ戦争が起きて、なぜ自分たちが駆り出されていくのか、少なからずその時に太平洋戦争の理由を知るべきであり、本当の事を知りながら戦死した人は一人としていなかっただろう。

このことが記された著書があります。
この本は山本七平さんが日本人独自の空気を研究してきた本です。とてもおススメです。

※紹介文引用
「空気を読む」ことが誰にも求められる現代の必読書!
社会を覆う「空気」の正体を正面から考察し、1983年の初版以来読み継がれ、日本の針路が云々されるたびにクローズアップされる古典的名著。
〈以前から私は、この「空気」という言葉が少々気にはなっていた。そして気になり出すと、この言葉は一つの〝絶対の権威〟の如くに至る所に顔を出して、驚くべき力を振っているのに気づく。(中略)至る所で人びとは、何かの最終的決定者は「人ではなく空気」である、と言っている〉
昭和期以前の人びとには「その場の空気に左右される」ことを「恥」と考える一面があった。しかし、現代の日本では〝空気〟はある種の〝絶対権威〟のように驚くべき力をふるっている。あらゆる論理や主張を超えて、人びとを拘束することの怪物の正体を解明し、日本人に独特の伝統的発想、心的秩序、体制を探る、山本七平流日本学の白眉。


日本のどこの世界にも『空気』は存在する。
100万都市にも田舎の集落にも、空気はある。

空気を読む。

空気を察しろ。

そういう空気感。

KY(空気読まない人に対し)。

日本人特有の性質。

この空気というものは右へ倣え精神で洗脳に近いかもしれない。

理屈はない。ただそういう空気だった。

自分の考えは違うけど、そういう空気だった。

ジャニーズ問題の会見で井ノ原氏が話していた「そういう空気だった」

調べてはいけない、聞いてはいけない、触れてはいけない。
黙って見過ごさなければいけない空気だった。ということなのだろう。

どんなに自分の意思や考えが違ってもそれを飲み込み、得体の知れない空気に従う。

なぜなのだろうか。

なぜ、自分が正しいと思った考えを捨ててでも、理屈の通らない得体のしれない空気に従うのか。

コロナ感染の時も同じで、マスクをする空気、マスクをつけない空気、ワクチンを打つ空気…
この時期の日本は本当に正直気味が悪かった。

流され空気の流れはもう止められないのか。

冒頭で書きましたが、ジャニーズ問題の空気は社会的影響も大きく大問題であり、このことすら見過ごす空気が勝るなら、そう遠くない未来で日本は他国の空気に負け他国の空気に飲み込まれるだろう。

そうならないよう、自分たちの考えやアイデンティティを尊重しあえる世の中になることを期待したい。





これまで、業界どころか世の中の空気まで作ってきたジャニーズ事務所。

故ジャニー喜多川氏から性的被害を受けた人たちの声も届かないまま年月が過ぎ、昨今の被害者団体の訴えでさえも躱したかに思えたが、遂に袖を掴まえた格好だ。

それが2023年9月7日、300人を超える記者に囲まれ、日本中が注目する謝罪記者会見に至った。

会見が始まり暫くの間、質疑応答は相変わらずメディアの忖度で湿気感の強い滑っとした気持ち悪いものばかりだった。
それを見ていてじれったい時間が流れていた。

やっぱりメディアとジャニーズの関係性はこれでも変わらないかと失望しかけた時、自己紹介から言葉に力が乗った記者がいた。東京新聞の望月衣塑子さんという記者だった。
質問はこれまでの忖度時間をぶち破るように北公次さんが88年に発表した暴露本の事実確認をする。東山氏はさらっと躱すもまた正面で立ちはだかり逃がさない望月記者。執拗に迫られる東山氏は業を煮やし苛立った口調になった。

人はそれぞれに、それ以上は言うなよ、とういう圧を与える動物的力を持っている。東山氏は瞬間的にその苛立ちラインで入るスイッチを無自覚で使用し空気を作ろうとした。業界全体に対し暗黙の圧を見せる為でもあると察する。会場中に緊張が走った。そしてそれはこれまでのどんなジャニーズタレントの不祥事ももみ消してきた力ともいえる。

そしてピリッと張り詰めた空気を壊したのも望月記者だった。被害者への思い、嘘に負けない正義感、記者としての矜持。望月記者のジャーナリズムの信念は東山氏の鎧に傷をつけた。
絶対に敵わないと諦めムードの記者たちだったが、千載一遇のチャンスを見逃さず一斉に火が付き、その後の記者たちの質問は勢いをつけジャニーズ事務所を裸にしていった。
追い詰められていく東山氏と藤島ジュリー氏。

そこに待ったをかけたのが井ノ原氏だった。全てジャニーズの責任と言い切った上で、メディアにも空気を作る人間がいて、一緒に改善していきましょうと。肉を切らせて骨を断つ返答にメディア側は動けなくなってしまった。なぜならば、自分たちの会社にその空気を作る上司がいるかもしれないと頭に過ったに違いない。若しくは顔が浮かんだか。

NHKの朝の顔になり、国民的に愛されキャラでありながらジャニーズ問題に関わってこなかった井ノ原氏の登壇は気の毒さえ思え心理的にも攻めきれない。そこに井ノ原氏の尚も正直に誠実に答える人柄に対して切っ先を喉元に突きつける人はいない。それを想定していたとジャニーズ側の狙い的中とも感じざるを得ない。

一人の記者が、全てを知っている副社長の白波氏はなぜ欠席なんですかと怒気を強めて聞いていたが、白波氏を欠席させ井ノ原氏を登壇させたのはジャニーズ事務所が致命傷にならない為の大博打なのだと推測する。

つまり、逃げ道は常に用意されている。

こんなことで本当の意味での変革はあるのだろうか。



視聴率が取れる、雑誌が売れる、CM起用で物が売れる。
ジャニーズのタレントで新人起用になれば注目されているという空気になる。

ジャニーズタレントの売れ方はブランディングやマーケティングが成功した芸能界のパイオニア的に思えるが、その裏には「空気」の圧力を利用した独占が繰り広げられてきたことが先日行われた記者会見で露呈した。

そしてその独占は脚本家の巨匠倉本聰さんさえもキャスティングを考えていた俳優がジャニーズタレントと一騒動あったことでジャニーズが局に圧力をかけキャスティングを変えさせられたと発表した。

ジャニーズ事務所の独占や圧力でタレント潰しは有名な話。
独占禁止法違反に引っかからなかったのが不思議なくらい。
とはいえ、2019年に元SMAPメンバー、草彅さん、稲垣さん、香取さんに対し局関係各所に圧力をかけたとして公正取引委員会から注意を受けている。


利益のために権力を使って牛耳りコントロールすることは社会的にアウト。
そしてジャニー氏の魔の手からファンの力で彼らを守れたはずと思うし、ジャニーズタレントがジャニー氏に犯されていたことをファンが知らなというのも考えずらい。目を瞑ってきたことで一番の被害者はジャニーズ所属のタレントたちであり、ファンがそこまで応援するのであれば、ファンで起業し彼らの受け皿になるのも良い案と思う。それが出来る時代。

全てを隠蔽し、癒着や独占、権力を振り翳し、ここまで膿みが酷い状態で急に体質は変えられない。事務所叩きだ、タレント叩きだ、と言っても問題解決にはならず、現在所属しているタレントに火の粉が飛んでこないようタレント生命を守るにはどうすればいいか、今一度考える時である。

個人的意見としては、宝塚劇団であるように、ファンが身の回りのことやマネジメントに関わるのもいい形ではないかと思う。
これは良い形だなと思っていてぜひ参考にしてほしい。

明日10月2日にジャニーズ事務所2回目の会見が行われる予定。

ジャニーズ事務所に注目するというより、その後芸能界や世の中がどんな空気になるのか周りの動向に注目していく。


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高杉 瑞穂 | 俳優
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