バトルグラウンドをやり始めたら、世界が変わって見えた話
ハースストーンというカードゲーム内の「バトルグラウンド」というモードが、異様におもしろいです。
ちょっと前まで「仕事やることイッパイ、まじキツイ...」だった自分が、このゲームをやり始めてから「仕事って最高に楽しい、ほんとエキサイティング」と感じるまでになっています。
今日は、何がそんなにおもしろいかと、なぜ仕事の見え方すら変わってしまったのか、を書いてみます💪
きっかけ
ゲームの存在を知ったのは、深津さんのnoteでした。
バトルグラウンドとは何ぞややおもしろポイントはすべて上記に詰まっていて、いま見返しても「いやーほんとソレだわ...」と頷くばかりです。(たぶんあと10回くらい見返します笑)
そしてこの記事も、深津さん記事の中から実体験として「大事だな、意識したい...!」と思ったところに呼応する形になっているので、まず上記を読んで頂けるとイメージしやすいかなと。
ちなみに自分のレートは5,500を超えたところ。トッププレイヤーは10,000を超えているので、まだ遠く及ばず...。
【注目ポイント①】 スケールする仕組みを作れているか
<ゲーム内での例>
・毎ターン、自動的に仲間のミニオン(カード)の攻撃力や体力に+1する
・仲間のミニオンが死亡する度、別のミニオンの攻撃力や体力に+nする
・カードAがある状態でカード種Bを手札から使用すると、仲間のミニオンの攻撃力や体力に+nする
上記のように、一度仕組みを作ってしまえばあとは(ある程度)自動的に盤面が成長する・強くなる形があります。上手な人はえげつない仕組みを早期に見出し、ターンを経る毎に他プレイヤーを蹂躙していきます笑
この仕組みづくりを意識しながらプレイできるかどうかが、終盤の勝敗に大きく影響するのです。
自分のリアルな仕事に当てはめてみると、例えば・・・
例1) グロースサイクルが描けているか?
https://codezine.jp/article/detail/12097 より
例えば上記のような図のことですね。
僕はプロダクトマネジメントに取り組んでいることもあり、目の前の開発は何に寄与するか? 全体の中でなぜ重要と言えるのか?をよく問います(問われます)。
全体像を描けず目の前の課題に終止してしまうと、足元は状況が良くなっても、次の課題ではまたゼロベースで考えなければなりません。
全体像が描けていれば、なぜこの課題をクリアすることが大事なのか、他にどんな好影響があるかを立体的に理解でき、自分としてもやる意義や自信が持てます。
例2) ビジョンを描けているか?
組織は大きくなればなるほど求心力を保つのが難しくなります。人が増えても、個々人のパワーがバラバラの方向に向かっていたのでは弱い。
このとき信じられるビジョンがあり、目指す方向が明確でベクトルを同じ方向に合わせられるかどうかで、同じパワーを発揮するにしても明らかに勢いや推進力が変わってきます。
昔の自分は「そりゃあるに越したことはないんだろうけどーー」くらいにしか思っていませんでしたが、今ではスケールするときにこそ助けになるし、その重要さ・偉大さが分かる気がします。
例3) 採用は進んでいるか、育成の仕組みは作れているか
事業がスケールするには人が必要。またスキル的に新しいことにチャレンジしたいと思ったとき、両手いっぱいにタスクを抱えていたのではきっとチャレンジも難しいでしょう。
つまり採用が重要になり、同時に育成の仕組みも必要になります。ただ採用も育成もかなり時間を要するものでもあります。誰かが1人でやろうとすると、容易にパンクします。
UZABASEのプロダクト(=エンジニア)チームには「自己組織化」が一つキーワードとしてあり、(育成以外の観点で見ても)非常に良い取り組みだなと改めて感じています。
シェアドリーダーシップ(Shared leadership. メンバー全員がリーダーシップを発揮すること)により、人が増えても・流体的に組織形態が変わっても、自分たちでトラブルシューティングしながら自走していける。
100名を超える組織にも関わらずしっかり機能している様子を見ると、スケール観点から見てもお手本だなと感じます(宣伝のようになってしまいましたが、事実、参考になることばかりです)。
【注目ポイント②】 シナジー(施策の掛け算)を意識できているか
<ゲーム内での例>
・あるミニオンが召喚されると聖なる盾(相手の攻撃を1回無効化)が得られる。聖なる盾が外れた時には攻撃力や体力に+nする。ミニオンの組み合わせ次第で数回繰り返す
・通常1度きりの断末魔(死亡時に発動する効果)を2回発動させる、ミニオンの組み合わせ次第で×n回発動させる
・仲間のミニオンが攻撃あるいは死亡する度、別ミニオンが追加で攻撃する
他にも様々なシナジーがありますが、組み合わせ次第で聖なる盾が途切れなくなり「お前いつまで無敵なんだよ...」と文句を言いたくなる布陣を目の当たりにしたり、ひたすら終わらない断末魔を眺め最後は蹴散らされる事になったりと、本当にトッププレイヤーはえげつないです。
これを、また自分のリアルな仕事に当てはめてみると、例えば・・・
プロダクトマネジメント観点で奇しくも近しい内容をプレゼンしたこともあり、感覚的には分かっていました。単体の施策(開発)では少し弱くても、施策を掛け合わせることで価値を大きくできると。
この時はまだバトルグラウンドやっておらず、後日ゲームをやり始め別角度から身を以て体感したことで、施策の掛け算の重要性をさらに意識するようになりました。
一部を伏せ字にしていますが、こちらは自社内で今後の開発方向性を提案する際に書いた図です。
オブジェクトAを、範囲Xに絞って通知できる仕組みを作る(MVP)。
これだけでも価値を出せるが、そこにBやCを乗せていく。
さらに業務上重要なシステムと連携し範囲Yも指定できるようにすることで、必要なアップデート情報を必要な範囲で知ることができるようになる。
これができれば、業務上手放せなくなるのではないか。
そういう事を言いたい図になるのですが、これを描いているとき頭の中にあったのはバトルグラウンドでした笑
笑いつつも個人的にはけっこう真面目で、ひとつひとつの開発が重いからこそ研ぎ澄まされたユースケースをMVPとしてプロダクトに落とす必要があるし、その仕組みが単発で終わらず掛け算でどんなふうに発展するかが考えられていることは重要だと思っています。
【注目ポイント③】 長期施策と短期施策のバランスを意識できているか
<ゲーム内での例>
(コストをかけ、酒場と呼ばれる場をグレードアップすることで、より強力なミニオンが手に入るのだが)
・場のグレードアップをせず短期施策(目の前の盤面強化)のみ講じていると、終盤で長期施策を成功させスケールアップした相手にやられる
・長期施策を早期に実らせようと場のグレードアップにばかり投資していると、目の前の戦闘で生き残れず死ぬ
このバランスが非常におもしろい。基本は長期施策を睨んで投資を試みるのですが、目の前の壁を超えられず死んでは意味がないのでーーいかにギリギリのところを攻められるか。
これも自分のリアルな仕事に当てはめてみると、例えば・・・
▼短期施策
・小中規模改善
・バグ対応
・解約懸念に対応した開発など
▼長期施策
・大規模開発(MVPで最初は小さな価値)
・デザインシステムづくりなど
あたりでしょうか。
最近自分たちが陥りそうになったのは、費用対効果を想像しやすい短期施策(開発)ばかり開発計画に入れてしまうことです。
セールストークしやすくなったり目下の売上は立ちやすいでしょうが、こればかり続けていると数年後、長期を睨んで投資を続け大きな施策を花咲かせた競合に置き去りにされるでしょう。
いわゆる「重要だが緊急でない」系に分類されがちな長期施策をどれだけ意識して育てられるかで後々の結果が大きく変わると思うと、日々の意思決定は本当に重いし大事なだと感じます。
個人的に好きな話です。
表現してるものは違えど、大事なものほど先に考え瓶(開発計画)に入れていくことが大事だと気付かされます。こちらも肝に銘じなければです。
おわりに
いかがでしたでしょうか。実際にゲームをやってみないと想像しづらいところも多かったかもしれません。
冒頭にも書いたようにすこし前の自分はやることいっぱいでストレスも溜まり...その反動でゲームに手が伸びました。それがたまたまバトルグラウンドでした。
意図せず猛烈にハマり、ちょっとした休憩時間や休日もひたすらプレイする日々。止められないバトグラ...。
レート4,500を超えたあたりでふと「何でこんなに楽しいんだろう? 仕事と何が違うんだろう?」と。そうして考えていると「...いや待て、仕事と何も変わらないぞ...?」と。
その瞬間、仕事のあらゆる面がゲームシーンに重なり、猛烈にハマっているゲームと同じことを、実は仕事でもやっていたことに気付きました。
そう考えると今このチャンスの、なんと貴重なことか。プロダクトをマネジメントする機会も、仲間とともにプロダクト開発できることも、こんなチャンス2度とない。もっと今この瞬間を楽しもうと、俄然ワクワクしてきたのです。
きっとプロダクト開発に限らず、多くの仕事で重なる部分も多いのではないかと思います。皆さんもぜひバトルグラウンドをプレイしてみてください。きっと、多くの発見があると思います。
cover design: Kurumi Fujiwara