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20240909民主主義を手にするために

京都の商店街で仕事をしていると、毎日、色んな人が話しかけてくださる。
午前中はご高齢の方、夕方から夜は学生さんや会社帰りの方…。

少し前に話題になっていたのが、兵庫県のいわゆる「文章問題」。
「なんで辞めへんの」とか、「そんなに県民の付託がどうの言うんなら、出直し選挙したらええやんか」とか…。

この間の、世論の盛り上がりは、「半○直樹」的な楽しみ方をされている方もいらっしゃるかもしれないけれど、僕は「民主主義を取り戻すための動き」だといいなと思っている。

今まで、世の中の大きなことは自分たちの知らないところで、他の誰かが勝手に決めていた。
少子高齢化・コロナ禍・経済の低成長を経験する中、このままの社会ではくらしが良くならないと、このままでは次の世代に対し無責任ではないかと、思い始めた人たちが増えてきてるのではないか。

じゃあ、今の政治家たちと、信頼関係は結べないのか?
僕は「プラハの春」を特集したNHKスペシャルを思い出す。

東ヨーロッパの国・チェコスロバキア(現在のチェコとスロバキア)は、戦後20年以上、共産党の独裁体制による社会主義国家だった。
国民の 3 人に 1人が秘密警察の協力者と言われた「密告社会」だった。

1968年1月、新しく国のリーダーになったドプチェク氏は「人間の顔をした社会主義」を掲げ、自分の意見を恐れずに言えるような社会を目指した。
そのために、検閲の廃止・言論集会の自由・旅行や移住の自由・市場経済の導入など、さまざまな自由を復活させようとした。

しかし、これまで自由を抑圧してきた独裁体制の突然の変身に、国民は疑いの目を向けた。

方針変更を国民に信じてもらうため、政権幹部たちは全国を回り、膝を詰めて直接国民に語りかけた。
人々は様々な疑問を紙に書いて説明を求め、幹部たちは率直に答えた。
幹部がマイクを持って、会場にいる国民に語りかけるんです。「私もおかしな社会だったと思います。仲間同士で対立したり、互いに密告したり。なぜこんなことになったのか、私も皆さんと同じ答えを持っています」。
それに対し、国民が拍手する。

春になり、検閲制度は廃止され、マスコミは一斉に自由な報道を始めた。
国民はこうした変化を歓迎し、プラハの新聞の発行部数は 4 か月で 5 倍に増えた

ドプチェク氏はのちに、NHKのインタビューにこう答えている。
「一言で言えば生き返ったのです。町の至る所で人々が生き生きと話をし、笑い、勉強するのを見ました。もう、仲間に敵を探し出そうとはしなくなりました」。
こうした改革が、プラハの春音楽祭が開催された時期に花開いたので、「プラハの春」と呼ばれるようになった。

結局、8月にソ連軍が侵攻してきて、ドプチェク氏たちはとらえられ、改革はつぶされてしまうが、それまでの間、ソ連が何度も圧力をかけてくる。
そして、ドプチェク氏とソ連高官との間で会談が行われる。

ドプチェク氏の帰りを待つ間、国民は政府を支援する署名運動をする。
そのシーンで、ナレーションが入る。
「人々は、政府にこう訴えたのです。『国民は、あなたたちと共にある。あなたたちも、国民とともにあってほしい』」。

これらは、わずか数か月、半年程度の間の話です。

どんな人間同士でも、最初から信頼関係を築けている間柄なんて、そうないと思う。
そこからどれだけ関係を深められるか、お互いが顔の見える関係になれるか。
そのためには、負託を受けた人たちが誠実に行動しつづけること、そうすれば数か月の間に変化が現れると、僕は考えている。

もちろん、私たちもできることがある。
ここで、きたのま:インクルーシブまちづくり図書館にある本の中からおすすめの本をご紹介します。
文章おぎうえチキさん、イラストこぱくさんによる、「社会問題のつくり方 困った世界を直すには?」。
この本では「気づく」「つながる」「調べる」「伝える」「動かす」といった、社会運動の段階ごとのアクションについて解説されています。

自分たちの社会がどういう社会なら生きやすいか、暮らしやすいか。
それを知って・考えて・動いていく。それが「民主主義を手にする」「未来に向かって生きる」ということかなって、僕は思っています。

きたのまは、インクルーシブまちづくり会社・Vansoshaの事務所内にある図書館です(京都市上京区三軒町68番地)。毎週水曜・土曜の午後7時~午後10時に開館します。
社会課題解決を語りたい人、インクルーシブまちづくりの相談をしたい人、ぜひいらしてください。

Vansosha 株式会社くらしの伴走者 ウェブサイト
https://www.vansosha.com/

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