セリフってどう言えばいいの?【演技レッスン】
こんにちは。
演技講師、アクティングコーチのスギウチです。
今回もワークショップでよく質問を受ける「セリフをどう言ったらいいかわかりません」という疑問について書いてみようと思います。
・台本もらってセリフは覚えたんだけど、どういう風に言えばいいかわからない
・セリフを言うと、「大げさだ」もしくは「棒読みだ」と言われる
上記のようなことに悩んでいたり、監督や演出家に言われたことがある人に参考になる内容かと思います。
簡単なぼくの自己紹介ですが
ボクは元々20代前半から俳優として活動していて、今から約7年前に俳優から演技講師、アクティングコーチに転向しました。現在も講師として活動中です。今までたくさんのプロの俳優、女優さんのコーチングやオーディション、撮影本番の準備のお手伝いをしてきました。
俳優時代は全く演技のセンスがなく、事務所の先輩から満面の笑顔で「タカシは本当に芝居が下手だなぁー」と爽やかに言われるほどでした。何とかしようと、たくさんの演技レッスンやワークショップに通って色々なメソッドを学んできて今に至ります。
セリフをどう言っていいかわからない
この悩みを持っている人は多いと思います。さっそく掘り下げていきましょう。
◼️前もってセリフをどう言おうか決めてはいけません
まず大前提として、前もってセリフをどう言おうか決めてはいけません。なぜか?みなさんは普段生活している中で誰かと会話しているときに、次の言葉は「こう言おう」「こういう言い回しをしよう」と前もって決めていますか?いませんよね。普段やってないことを演技になったからといって急にやりだすと明らかに不自然です。不自然な演技になってしまう原因のひとつがこれです。
◼️セリフに感情や気持ちを込めようとしてはいけません
よく演技をはじめたばかりの人が「セリフに気持ちを込めて」とか「セリフに感情を乗せて」とか言っていたり、ひどい場合は演技講師でもそのようなことを言っている人がいますが、結論としては
セリフに感情や気持ちを込めようとしてはいけません
こちらも同じことの繰り返しになってしまいますが、みなさんは普段生活していて、「この言葉は気持ちを込めて言おう」とか、「この言葉は悲しい感情を乗せて言おう」とか考えていますか?いませんよね。(例外として告白などの場合、乗せることもあります)普段考えていないのに演技になった途端、「気持ちを込めよう」と思ってしまうと演技が不自然になります。大事なのは、結果的に「気持ちが入ってしまった」「感情が乗ってしまった」状態を作りだすことです。
では結果として「気持ちが入ってしまった」「感情が乗ってしまった」状態をつくるためには、どうすればいいのか?
◼️大事なのは相手役をどうさせたいか
「気持ちが入ってしまった」「感情が乗ってしまった」状態をつくるためのポイントになるのが、相手役の存在です。目の前の相手をどうさせたいのか、どう変化させたいのか、そこに注意を向けることで自分のセリフをどう言おうかとか、感情を乗せようとかすることから頭が離れます。相手をどうさせたいのか(変化させたい)というのは、例えばですが、目の前の相手を「笑わせたい」「怒らせたい」「慰めたい」などです。
この相手役を「どう変化させたいのか」というのを【課題(〜させる、〜してもらう)】と言います。
※スタニスラフスキー・システムで出ている用語の【課題】とは少し意味が違うので、あくまでボクのスタジオで使っている用語だと思ってください。
この【課題】を台本の中から見つけるには【目的】や【行動】を台本から導き出さなくてはいけないんですが、そちらについてはこちらで↓
◼️相手役を変化させるためにセリフを使う
セリフ(言葉)は、この【課題(〜させる、〜してもらう)】を達成する為に使います。その【課題】を達成する為に、どのような言い方、ニュアンスで伝えればいいのか、ということを前もって言い方を決めるのではなく、今目の前の相手をよく観察してその場、その場で判断することが重要です。
この今目の前の相手をよく観察する、というのがポイントです。
次はよく注意を受ける、セリフが「大げさ」「棒読み」ということについて掘り下げてみたいと思います。
セリフが「大げさ」「棒読み」と言われる
◼️自分に意識が向いていないか
セリフが「大げさ」もしくは「棒読み」になってしまう多くの原因として考えられるのが、自分に意識が向いているということがあると思います。相手をよく観察しないで「ここで抑揚をつけよう」とか「もっとナチュラルに喋ろう」と考えてしまうと演技が内向的になり、相手役とのやり取りができていない、チグハグな演技になってしまいます。
◼️やっぱり大事なのは相手
演技が「大げさ」になってしまったり「棒読み」を解決するには、先ほどの繰り返しになりますが、相手役への【課題】をキチンと持ち、相手をよく観察して【課題】を達成するにはどうしたらいいか、その場で考えて判断していくことで解消していきます。それでもなかなかうまくいかないという人は演技の仕方にクセがついている可能性が高いので、こちらの記事を参考に練習してみてください。↓
まとめ
セリフをどう言えばいいかというと
①事前に言い方を決めない、感情、気持ちを込めず
②相手役をどうしたいか【課題】を決め
③目の前の相手をよく観察して【課題】を達成する為にどう言えばいいか、その場で判断しながら
④セリフを言う(結果として感情が出てくる)
セリフのやり取りはこれの繰り返しです。
補足
はじめのうちは、ゆっくりと意識しながら練習してみると良いと思います。段々とスピードを上げていって、通常の会話のスピードになってくると思います。
今回はここまでです。
では
スギウチ タカシ
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