abstract pop | ginla, umru, Jon Waltz...5 Best Songs:2022-12
「abstract pop」では、国内の音楽メディアでは紹介されないような、海外の新進気鋭なアーティストを紹介していきます。過去に紹介したアーティストは下記にまとめてあります。
Spotify更新しています〜
ginla
トロントとNYで活動するJoe ManzoliとJon Nellenデュオ、ginlaが2ndアルバム『Everything』をリリース。作品には、Big ThiefのAdrianne Lenkerが「Carousel」で参加して話題にもなりました。彼らはNick Hakimの作品のレコーディングにも参加しているそうで、今作は彼のスタジオで録られたんだとか。そして作品全曲通して全ていい。マジでいい、驚きの連続。
インディー・フォークを基調としつつも、アンビエントやフォークトロニカ、IDMといったエレクトロニック・ミュージックを織り交ぜた、流麗で幽玄な作品に仕上げています。James Blakeの荘厳さ、Bon Iverの牧歌的な面もありつつ、少しOPN的な電子音も取り入れた実験性も感じられる、彼らの才能の豊かさに触れられる音楽でした。
Nick HakimのフォークとR&Bを接近させた音楽性は、そのあとDijonやHovvdyなどによってさらに昇華されたイメージがあって、その延長線上の文脈にginlaの音楽もあるのかなと個人的に感じています。
Manta
マンチェスター拠点に活動するシンガー・ソングライター、MantaがデビューEP『Confined Spaces』をリリース。4月のリーズのRejjie Snowのライブでサポートアクトにも選ばれています。もともと日本生まれらしいのですが、そのあとすぐにUKのヨークシャーで育ったそうです。
疾走感ある爽やかなインディー・ポップ調の楽曲から、ドリーミーでメロウなポップソングなどなど、インディーからR&B、ヒップホップを混ぜ合わせたベッドルーム・ポップ・サウンドが特徴的です。甘美でソフトな独特の歌声がアクセントになって、より楽曲をカラフルに彩っています。
umru
NY拠点に活動するプロデューサー、umruが新作アルバム『comfort noise』をPC Musicからリリース。作品には、Tommy Cashや645AR、Cecile Believe、Rebecca Black、Tony Velour、Hannah Diamond、Aj simonsなどが客演で参加しています。
参加メンバーももちろんですが、全体的にバキバキの電子音で最高でしたね。ゴリゴリにひび割れる程のグリッチ音や、バードなベース音、淡くたゆたうようなトランシーな電子音などなど、ノイジーだけど心地良いシルキーにまとめあげたエレクトロニック・サウンドはさすがです。
Jon Waltz
BROCKHAMPTONやHealyともコラボして注目を集めるメンフィス拠点のアーティスト、Jon Waltzが、新作EP『My Golden Horse』をリリース。2019年アルバムもBROCKHAMPTON周辺含めて話題となっていました。彼は他にもJimi Somewhereの1stアルバムの「Confidence」に客演で参加したりもしています。ちなみに今作EPはフィーチャリングでVerzacheが参加、その他にHealyやMONEYPHONEなどが作品に関わっているとのこと。
音楽性は、ローファイなテイストを基調に、インディー・R&Bやヒップホップ、エレクトロなどを織り交ぜたベッドルーム・ポップ・サウンドに仕上げています。彼の声質のバリエーションも素晴らしくて、温もりのある優美な歌声、スムースなフロウでのラップパートも非常に心地良いです。個人的には、Frank Oceanのテクスチャーを継承したような非常に綿密に練り込まれた音像で、そこにKevin AbstractやRyan Beattyのようなアブストラクトなサウンドが加わった作品と感じました。
前作のアルバムより遥かにアーティスト性の厚みが増していて、これからの活躍もめちゃくちゃ楽しみですね。
Lexie Carroll
ロンドン拠点に活動するシンガー・ソングライター、Lexie Carrollが4/22リリース予定の新作アルバム『when the sun came up』から「familiar strangers」をリリース。
アコースティックの優雅な響きに、可憐で浮遊感のあるシンセやアンビエントを散りばめた、繊細で淡いサウンドに仕上げています。彼女の1番の魅力は、そのボーカルにあります。いまにでも消え入りそうなほど脆く、線の細いウィスパー・ボイスは素晴らしく、その中の微弱なビブラートを入れる歌い方も非常に独特です。またほろ苦くメランコリックなフロウでありながら、希望も与えてくれる二面性を持った歌声もとてもいいですね。Billie Eilish的なボーカルの側面を持ちつつも、フォーキーで伸びやかな心地良さも魅力です。
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