Quiet Light, Sofi Paez…最近のおすすめ 5 Best Songs:2024-10
最近の新譜から厳選して5組のアーティストを紹介します。音楽ブログ「abstract pop」の「5 Best Songs」の企画では、国内の音楽メディアでは紹介されないような、海外の新進気鋭なアーティストを紹介していきます。過去に紹介したアーティストは下記にまとめてあります。
Spotifyのプレイリストも更新してます。
Quiet Light
テキサス・オースティンを拠点に活動するシンガー・ソングライターRiya Maheshによるソロプロジェクト、Quiet Lightが新作EP『Contact』をリリース。2023年だけでEPやアルバム含む作品を3枚を発表しているという、とんでもないスピード感で楽曲をリリース。2020年ごろのデビューEPの時の作品を聴くと、ベッドルーム・ポップやインディー・ポップを軸とした、Ethel Cainを彷彿とさせるシンプルな宅録作品でしたが、徐々にアコースティック・ギターを取り入れたフォークなどのオーガニックな弾き語りに。ポップサウンドにマッチした甘美ではりのある美声から、時折見せるダウナーでダークな歌声という幅にも虜になってしまいます。
去年あたりからそのフォークに、エレクトロニックやアンビエント、 ニューエイジなどを取り入れた実験的な試みをするようになったそう。淡く煌びやかな電子サウンドに、ナチュラルでフォーキーなメロディーが絡み合う音楽性は、とても奇妙で美しいです。DijonやHovvdyが試みてきたことでもあり、最近のML BurchやJockstrapなどとも重なる感じもあって、彼女の奇才さが滲み出ています。
Sofi Paez
コスタリカのサンホセ出身で現在はドイツ・ベルリンを拠点に活動する現代音楽家、Sofi Paezがデビューアルバム『Silent Stories』を、ポスト・クラシカルのシーンで有名なアイスランドの音楽家Ólafur Arnalds主宰するレーベル〈OPIA Community〉からリリース。幼少期からピアノとバレエに励んでいたようで、そこから著名なプロデューサーAskjellのDiscordを参加したことをきっかけに作曲を始めたそう。そのプロデューサーきっかけにÓlafur ArnaldsやNils Frahmなどとも知り合い、どんどん彼女の世界が広がっていき今に至るそうです。
そんな数々の著名なアーティストに認められただけのある才気溢れる作品に仕上がっています。一度彼女の作品に入ると、荘厳で幽玄なピアノの旋律の世界が雄大に広がっており、清らかで透明感漂う音に包まれていくよう。曲によっては優美で幻想的な美声も溶け合っており、作品を聞き終えるころには心が洗われているよう。細部まで洗練された作品で、2023年がGia Margaret の『Romantic Piano』であれば、今年はSofi Paezの『Silent Stories』でしょう。
Dan Whitlam
サウスロンドンを拠点に活動するポエトリーラッパー/アーティスト、Dan WhitlamがデビューEP『Own Mind』をリリース。頭に轟く渋く低い声が印象的なDan Whitlamは、鋭いスポークンワードからグライム的なラップをブレンドさせた独特なフロウを武器に、メロウでジャジーなトラックの上で縦横無尽に行き交い、陶酔的な作品に仕上げています。
彼の作り上げるトラックも非常に心地よく、ジャジーなものから、R&Bやソウルなどを組み合わせた鮮やかなものまであり、特筆すべきはところどころ入ってくるボーカルのサンプリングも素晴らしいです。UKラップシーンの新たな才能だと感じていますが、BERWYNからLoyle Carnerに通じるような今後要注目のアーティストかと思います。
Ocean LeClair
ロンドンを拠点に活動するシンガー・ソングライター、Ocean LeClairが新作EP『White Death』をリリース。Fleetwood MacやEaglesから、Lana Del ReyやFlorence + The Machineなどから影響を受けたという彼女。
ダークさが滲むメランコリックな曲調の世界観をベースに、ダウナーで凛とした歌声によって、シネマティックでロマンティックな音楽性へと色付く作品に仕上がっています。叙情的で色鮮やかな曲からモノトーンの物静かな曲まで、その幅広さも魅力です。ソングライティングやその世界観など含めて、Ethel Cainにも通じるような才能を秘めているように感じます。
Sunday (1994)
イギリスとアメリカの混合バンド、Sunday (1994)がセルフデビューEP『Sunday (1994)』をリリース。バンド名から分かるように青春映画のような甘酸っぱくノスタルジックな雰囲気を纏ったアーティストで、幻想的でシネマティックなメロディーに酔いしれるようです。
初期のTaylor Swiftのポップで華やかさがありつつも、80年代のCocteau Twinsの浮遊感のあるドリーム・ポップから90年代のMazzy Starのようなインディーさも溶け合わせた音楽性は、最近のこういったバンドの中では随一かと感じます。