abstract pop | Sophia Bel, Sindy, GRAE...5 Best Songs:2022-15
「abstract pop」では、国内の音楽メディアでは紹介されないような、海外の新進気鋭なアーティストを紹介していきます。過去に紹介したアーティストは下記にまとめてあります。
Spotify更新しています〜
Sophia Bel
モントリオール拠点に活動するSSW、Sophia Belがデビューアルバム『Anxious Avoidant』をリリース。またまたすごいスターが現れたな〜と感じています。彼女自身は、90年代のブリットポップや、2000年代のポップパンクやエモに影響を受けて音楽を制作しているとのことで、まさにヴィジュアルからも含めてY2Kのカルチャーも感じますが、奏でる音楽性もマジで最高。
カントリー/フォークといったアコースティック・ギターを基調とした煌びやかなポップソングから、グランジやポップパンクを想起させるようなエッジーなギターサウンドが印象的な楽曲、現代的なベッドルーム・ポップ的なものもあったりと、その幅の広さには驚かされます。
個人的にはAvril Lavigneはもちろん、初期のTaylor Swift、The Regrettes、さらにはbeabadoobeeまで通じる、途轍もない才能を秘めていると感じます。憂鬱なテイストでありながら、弾けるようなキラキラした音楽性には、どこかノスタルジックな気持ちにさせる要素もとてもいいですね。さらにその親しみやすいポップさの中に秘められた中毒性にもどんどんハマっていく、そんな魅力に溢れたアーティストかと思います。
Sindy
スウェーデンのストックホルム拠点に活動するTom Sernerによるソロプロジェクト、Sindyが新作アルバム『Dear Diary』をリリース。
彼はCocteau TwinsやMy Bloody Valentineなどから影響を受けているとのことですが、今作ではそのレンジをグッと広げ実験的な試みも行なった作風に感じました。広義的な意味合いでシューゲイザーやドリーム・ポップの要素は節々に感じながらも、Alex GやAmerican Pleasure ClubといったSSW系のメランコリックなムードで実験的な試みも感じる音楽性となっています。その実験的な要素としては、バブルガムポップやグリッチ、デジコアのような電子音楽のエッセンスも楽曲にはよって組み込んでおり、眩くも儚げな佇まいがかなり新鮮です。
GRAE
トロント拠点に活動するSSW/マルチ奏者、GRAEが待望のデビューアルバム『Whiplash』をリリース。2019年のデビューEP『New Girl』から個人的にも注目していましたが、気付いたらいつの間にかめちゃくちゃすごいアーティストになってました。
GRAEの一番の魅力はまずその甘美で天使のような歌声かと思います。一聴すればそのソフトで滑らかな歌声に心奪われること間違いなし。囁くような繊細なブレスや夢見心地なフロウも見事で、一瞬にして彼女の世界観に引き込まれていきますね。そしてそこに爽快で優雅なインディー・ポップ・サウンドが絡み合い、まるで青春映画のように甘酸っぱく幻想的なシーンが浮かび上がるようです。
彼女の音楽性は、最近の初期のClairoやgirl in redから続くベッドルーム・ポップ・シーンのアーティストたち、spill tabやKALI、girlhouseにも続くようなもので、そのシーンの中でもこのアルバムで一つ抜けでたような印象があります。全曲通して捨て曲なしなくらいマジでいいです。
Casey Dubie
ナッシュビル拠点に活動するSSW、Casey Dubieが新作アルバム『Half-Hearted』をリリース。
今作では爽やかな微風を感じるような美しく牧歌的な作品に仕上げています。土臭さを感じるようなフォークサウンドを下地に、インディーやアンビエント、ポップスを織り交ぜた音楽性が、Phoebe BridgersやAdrianne Lenkerに通ずる繊細さもありつつ、HAIMのような跳ねるようなポップさも感じます。また何層も重なり合ったサウンドの奥行きも素晴らしいですし、何より彼女の味わい深く透明感のある歌声も非常に趣があってグッときます。
Overmono
早耳リスナーの中でも既に話題となっているサウス・イースト・ロンドンのダンスミュージック・デュオ、Overmonoが前作と同様〈XL Recording〉から新作EP『Cash Romantic』をリリース。
UKのダンスミュージックの界隈も騒つかせる彼らの新作は、1曲目から体の中枢部にまでに染み渡るような、力強い生音のドラムっぽいブレイクビーツが最高です。作品全体的にUKガラージやハウス/テクノ、レイヴ的なビートに、インダストリアルやSci-Fi風のシンセ、アンビエント/IDMなどが絡み合った、不穏でアンダーグランドなサウンドが、逆に脳の奥底にある多幸感を呼び起こすような仕上がりに。この異質なダンスミュージックは彼らにしかできないのではというくらいで、これからも楽しみです。