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2023 UPCOMING ARTISTS 50 | 2023年注目の新人アーティスト50選

このブログを始めての記念すべき5回目となる、2023年のベストEPを兼ねた期待の新人アーティスト50選をお送りしていきます。
既に2023年のベストアルバム50選は公開しているのでよかったらこちらも覗いてみてください。

ちなみに2018年はTwitterのみですがboygeniusとClairo、2019年の1位はStill Woozy2020年の1位はDijon2021年の1位はNia Archives2022年の1位はJohn Keekでした。今年は誰が1位になったか楽しみに読み進めていっていただけたら嬉しいです。かなり長くなってしまいますが、こちらはレビュー付きでご紹介できたらと思います。


50. binki 『Antennae』

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現在はNYを拠点に活動しているベッドルーム・ポップ・アーティスト、binkiが2年ぶりとなる2作目となるEP『Antennae』をレーベル〈Fader Label〉からリリース。初期からカルト的な人気を誇る彼ですが、1st EPを発表して以降、The 1975やAlex Gといったアーティストから、Gus DappertonやKing Princess、Role Modelなどと共演を重ねて、さらに人気を加速させていました。
そんな中での今作はよりbinkiワールド全開な作品で、インディー・ロックをベースにアップテンポでサイケデリックな質感を感じさせるものに。おもちゃ箱をひっくり返したようなカラフルなトイ・ポップ的なムードもいいですね。

49. Nix Northwest 『Xin's Disappearance』

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ロンドンを拠点に活動するラッパー/プロデューサー/マルチ奏者のNix Northwestがデビューアルバム『Xin's Disappearance』をリリース。今作では客演にUK注目のラッパーENNYが参加。これまでedblの作品への参加や、BBC Raidio 1やCOLORS、Complexなどでピックアップされるなど各所でも話題となっています。
彼の奏でるサウンドは、ソウルやR&B、ジャズ、ボサノヴァなどのジャンルをミックスさせたクールでメロウなトラックが特徴的。そこに滑らかだけどキレキレのラップからレイジーなフロウまでを巧みに使い分けて、楽曲に抑揚を生み出すことで、よりポップで乗りやすい音楽性に

48. Shivum Sharma 『Rivie's End』

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サウスロンドンを拠点に活動するインドとアイルランドをルーツにもつSSW/プロデューサー、Shivum Sharmaが新作EP『Rivie's End』をリリース。
前作よりもさらに洗練されて濃密で幻想的なR&B作品に仕上げています。包み込むような滑らかな美声と、幻想的で浮遊感のある電子サウンドのアレンジがたまらないですね。清々しく瑞々しいサウンドスケープの広がり方も非常に美しく、いつの天に召されてしまうほど神聖な歌声にもうっとりしてしまいます。

47. TYSON 『Sunsetters / Daybreakers』

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ロンドンを拠点に活動するシンガー・ソングライター、TYSONが新作ミックステープ『Sunsetters / Daybreakers』をリリース。彼女はこれまでにEzra Collectiveとのコラボをはじめ、Joy OrbisonやNeneh Cherry、Dean Bluntなどの作品への参加など、さまざまなところで活躍するアーティスト。
そんな名だたるアーティストと交流をもつ彼女の本作では、Coby SeyやDelilah Holidayをはじめ、rRoxymore、Albertina、James Massiahが客演で参加し、Joy Orbisonも数曲プロデュースで参加。作品自体はダウナーでダークな輝きを放つエレクトロニックサウンドに、艶やかでメロウな美声が包み込む、幽玄で厳かな仕上がりに。

46. Claudia Isaki 『More Flowers』

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コンゴにルーツを持つフランス出身で、現在はロンドンと行き来して活動するSSW/プロデューサー、Claudia Isakiが新作EP『More Flowers』をリリース。
13歳から作曲を始め、フォークからゴスペル、ルンバ、R&B、ジャズなどからインスピレーションを受けて育ってきたという彼女。透明感がありつつも深みのある優雅な美声は、オーガニックで豊かな響きからラップ的な節回しを感じさせるフロウまで巧みに使いこなす才能あふれたもの。そして幅広いバックグラウンドのある彼女の生み出すサウンドは、厳かで洗練されつつも親しみのあるメロディアスな旋律に魅了される仕上がり

45. James Ivy 『Everything Perfect』

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NYを拠点に活動するベッドルーム・ポップ・アーティスト、James Ivyのデビューシングルから追って早3年。彼の軌跡を見てきて今回の新作『Everything Perfect 』は、そのタイトル通りの全曲完璧かつ最高。全ての彼の類稀な才能と卓越したポップなメロディセンスが凝縮された1作。1975〜Roy Blairというバンドとベッドルーム・ポップの橋渡しとなる名作です。

44. dyl dion 『bad weather』

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ノースカロライナ出身のベッドルーム・ポップ・アーティスト、dyl dionがデビューEP『bad weather』をリリース。プロデューサーにはd4vdのEPに収録されてる「The Bridge」のプロデュースにも参加したMichael Harrisonが全曲参加。
彼の作り上げる音楽は、淡く儚げなサウンドスケープが特徴的なベッドルーム・ポップに仕上がっていて、Jimi SomewhereやDreamer Boyなどに通ずるような感じに。

43. Feux 『MAX MANTRA (Side A)』

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ノース・ウェスト・ロンドンを拠点に活動するマルチアーティスト、Feuxが新作EP『MAX MANTRA (Side A)』をリリース。彼はロンドンのアンダーグラウンド・シーンで注目を集めるアーティストで、Mac Whethaなどの作品に参加。
彼はダウナーで矢継ぎ早なラップから、メロウでスムースな歌声やエモーショナルな歌声まで、幅広いフロウをこなすスキルフルなアーティストで、それによって1つの作品で多面的な表現を行なっています。ジャズやソウル、インディーなどを下地にした音楽性は、UKの独特なダークでメランコリックなムードを出していてそれも最高です。

42. heka 『swan songs』

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ロンドン拠点に活動するシンガー・ソングライターFrancesca Brierlyによるソロプロジェクト、hekaが新作EP『swan songs』をリリース。彼女は以前ロンドンのアングラシーンを支えるレーベル〈Slow Dance Recordings〉のコンピレーションの2020年と2021年に参加している気鋭のアーティストです。
ダークでメランコリックなムードを絡めたサウンドに、透明感漂うシルキーな歌声が乗る特徴的な作品に。インディーやフォーク、アンビエント、ローファイなどを織り交ぜ、彼女の独特なフォークロア的なメロディーも相まって、厳かで洗練された空気感が漂っています。

41. John Keek 『Sheep』

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プロデューサーVegynの主宰するレーベル〈PLZ Make It Ruins〉の鬼才SSW、John Keekの新作EP『Sheep』。
2022年の個人的に期待の新人アーティストにもセレクトしましたが、やはり今作でも最高のものを仕上げてきましたね。正直この独特の郷愁を感じるムードのサウンドは彼にしか出せない音楽性かと思います。極めつけは記名性のある優美でとろけるような歌声。今後の活躍も楽しみです。

40. Meduulla『Oblongata』

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ジンバブエで生まれ、その後UK・マンチェスターで育ったDJ/ラッパー、MeduullaがデビューEP『Oblongata』をリリース。主に90年代のヒップホップや近年のKendrick LamarやChance The Rapper、Nonameなどに影響を受けているそう。
煙たく低音が効いた重厚なブーンバップビートに、ソウルやジャズ、ボサノヴァなどを融和させたスムースでメロウなトラックが魅力的で、そこに彼女のリズミカルでエッジのあるフロウが乗る印象的な作品に仕上がっています。Little SimzやENNYなどに通ずるような、独特な節回しを行うユニークなラップスタイルには耳を奪われてしまいますね。

39. ENIS 『E01 demo collection』

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デンマーク出身で、現在はロンドンとベルリンを行き来して活動するアーティスト、ENISがデビューEP『E01 demo collection』をリリース。彼自身で作詞作曲、エンジニアからクリエイティブディレクターまで手がけてしまうマルチクリエイター。
デビュー作でもある今作は、彼自身の今までの傷ついてきた経験や愛するものを遠ざけてしまった苦難、そんな中から希望を再発見し、この世界がもたらす美しさを表現しているそう。そんな世界観がサウンドでも描かれていて、R&Bやソウル、アンビエント、エレクトロニカなどを取り入れた、幽玄で幻想的な音楽性に。

38. Fredwave 『GOODNIGHT June』

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ロンドンのラッパーJeshiの実の兄弟でもあるプロデューサー、Fredwaveが新作EP『GOODNIGHT June』をリリース。Jeshiをはじめ、p-rallelやHarveなどサウスロンドンシーンのアーティストと多くコラボやプロデュースで関わる傍ら、ルイ・ヴィトンなどのファッションブランドやV&Aミュージアムの音楽を手掛けるなど多岐に渡って活動するアーティストです。
普段からプロデューサーをやっているのもあり、サウンドプロダクションの洗練され具合が半端ないです。エレクトロニカやアンビエント、電子音楽を組み合わせたダークで退廃的なウワモノのサウンド、そしてUKのクラブミュージックやIDMなどを駆使した豊かなビートをブレンドさせた、ユニークな音楽性に。

37. Nige 『Nigel Needs a Win』

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ロンドン拠点に活動するNiNE8コレクティヴのメンバーでもある、プロデューサー/ラッパーNiall Williamsによるソロプロジェクト、Nigeが新作EP『Nigel Needs a Win』をリリース。
そんな彼の作り上げる音楽は、バンクやパブ・ロック、ガレージ・ロック、ファンク、ダブなどを下地に、現行のヒップホップやベッドルーム・ポップ的な質感も絡めた、ロンドンのアングラ感を体いっぱいに感じるサウンドをに仕上げています。ローファイに歪んだチープなギターサウンドが特徴的で、彼のハスキーで低音の効いた歌声もめちゃくちゃクール。

36. No Guidnce『Spicy EP』

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ロンドンを拠点に活動する4人組のR&Bユニット、No Guidnceの今年2作目のEP『Spicy EP』。デビューEPもまさかのいつの間にかリリースされていて気づきませんでした。今年UKの中でもFLOとともに多くメディアにも取り上げられたアーティストで知っている方も多いかと思います。
80〜90年代のBoyz II Menなどを想起させるノスタルジックさを現代のR&Bサウンドに落とし込んだ音楽性が特徴的で、さらにメンバーそれぞれのシルキーで優美な歌声も魅惑的です。

35 Rio Rainz 『cobwebs in my room』

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ジャマイカをルーツに持つアイルランド出身で、現在はロンドンを拠点に活動するアーティスト、Rio Rainzが新作EP『cobwebs in my room』をリリース。TikTokでも人気を誇る彼は、今作でも参加しているFinn Foxwellやp-rallelなどの界隈で活躍する、ロンドンの次世代のポップスアーティストです。
インディーR&Bやボサノヴァ、ヒップホップ、ダンスミュージック、さらにはインディー・ポップなどを絡めた、カラフルだけど落ち着きのあるメロウな音楽性が魅力的な作品に。彼の優美でスムースな歌声から、キレキレのラップまでもこなしてしまうマルチぶりも素晴らしいです。

34. es.cher 『genr​.​es (let go​/​what breaks​-​1)』

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ロンドンを拠点に活動するプロデューサー/アーティスト、es.cherがデビューミックステープ『genr​.​es (let go​/​what breaks​-​1)』をリリース。彼はロンドンのアンダーグラウンドシーンでどんどん認知度が増しているそうで、Nate BrazierやdialEらと共演していたりするそう。
UKガラージや2 step、ジャージー・クラブなどダンスミュージックの多彩なビートに、グリッチやdigicore、エモやインディー・ロックを織り交ぜた、メロディアスで儚いムードが漂う作品に。Flumeやbrakence、Jim Legxacyの間を縫うような独創的な音楽性がクール。

33. Santangelo 『AdWorld』

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アメリカのフロリダ生まれ現在はLAを拠点に活動するアーティスト、Santangeloが、Pigeons & Planesのスタッフが運営するレーベル〈No Matter〉から5年以上の制作期間をかけたアルバム『AdWorld』をリリース。客演には盟友でもあるZach VillereやQuiet Lukeが参加。
アルバムのサウンド自体は、一言では表せないほどカオスな音世界が繰り広げられていて、さまざまなジャンルが緻密に交錯したSci-Fi的な音楽性にまとめ上げています。ゲーム音や環境音など数多くのサンプリングが使用され、それがスムースでスペイシーなトラックから幽玄なアンビエント、ベッドルーム・ポップ的な曲、そしてUKガラージ風のビートまでに組み込まれ、今までにない想像を超えたアルバムに仕上がっています。

32. Olive Klug 『Don't You Dare Make Me Jaded』

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LAを拠点に活動するシンガー・ソングライター、Olive Klugがデビューアルバム『Don't You Dare Make Me Jaded』をリリース。
アコースティック・ギターの温もりを感じるストロークに、Oliveの天使のように優美で透明感溢れる美声が乗る、とてもシンプルな作品に仕上がっています。そこにストリングスやシンセ、アンビエントなどが仄かに混ぜ合わせて、壮大で神々しくアレンジとして加えています。フォークやカントリー、インディーなど、60年代の牧歌的な部分と現代的なポップさを程よくミックスさせる、Oliveの才能には驚かされます。

31. muva of Earth 『align with Nature's Intelligence』

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サウスロンドンの新星アーティスト、muva of EarthがデビューEP『align with Nature's Intelligence』を最近だとKokorokoやYussef Dayesのアルバムを発表しているレーベル〈Brownswood Recordings〉からリリース。彼女のルーツでもあるアフリカカルチャーに対して敬意を表した作品であり、彼女自身は今作を"meditative punk"と表現しています。
印象的なのはハープを用いた優雅で夢見心地なサウンドで、そこにガット・ギターやウッドベース、数々のパーカッション、ノイズ、エレクトロニカなどを織り交ぜ、摩訶不思議で多幸感あふれる作品に。特にM3「your intuitions is your friend」という曲が、彼女の表現した"meditative punk"という言葉が的を得ているような、静けさから徐々に激しく、内なる情熱を秘めた1曲となっています。

30. METTE 『METTENARRATIVE』

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アメリカでダンサーから役者までマルチに活躍するアーティスト、METTEがデビューEP『METTENARRATIVE』をリリース。収録曲の「VAN GOGH」に関してはRina SawayamaやJoy Crookesの作品に関わりのあるJonny LattimerとRayeやLizzoに関わりのあるMike Sabathが共同プロデュースで参加。
彼女自身はPharrell Williamsのダンサーを務めたり、特に有名なのがN.E.R.Dの「Lemon」のMVで Rihannaが女性の髪の毛を剃っている部分やダンスシーンが印象的ですが、その人こそMETTEです。
そんな各方面で活躍する彼女の作り上げるサウンドは、アフロビートが特徴的なダークさと煌びやかさが表裏一体のM2「FOR THE PEOPLE」から、パワフルなディスコ調の「VAN GOGH」。Charli XCXやCaloline Polachekを彷彿とさせるエレクトロニックなポップスソング「CHOCOLATE CITY」など、現代のポップスシーンを包括するような力強い1枚に。

29. SOMOH 『A Plan to Get Home』

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ロンドンを拠点に活動するシンガー・ソングライター Sophia Mohanによるプロジェクト、SOMOHがデビューEP『A Plan to Get Home』をFar CaspianのJoel Johnstonによるレーベル〈Tiny Library Records〉からリリース。
たゆたうような甘美で淡い歌声にまず耳を奪われる今作。そんな記名性のある歌声と、インディー・ロックやオルタナティヴ、フォークなどを混ぜ合わせたベッドルーム・ポップのような音楽性がとてもマッチしています。ノイジーなギターと煌びやかでドラマティックなムードの配分も絶妙で、それによって彼女がリリックで伝えている「20代の時のもどかしさ」がより臨場感あふれ、その歌詞の状況がシネマティックに脳裏に浮かび上がるよう。

28. Hadji Gaviota 『wallflower』

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NYを拠点に活動するシンガー・ソングライター、Hadji Gaviotaが1stアルバム『wallflower』をリリース。客演にGao the ArsonistとChiris Patrickが参加。彼はPigeons & Planesの〈Best New Artist〉に選ばれるなど注目を集めるアーティスト。
父親のカーステレオからはThe ClashやThe JamなどのUKパンクから、The RamonesやGreen Dayなどが流れていたそうで、そのバンドサウンドに合わせてラップをして遊んでいたそう。そんなルーツからか、彼の奏でる音楽はインディー・ロックやパンクなどのアップビートなサウンドを軸に、ヒップホップやダンスミュージックを織り交ぜた、カラフルでエネルギッシュな作品に。

27. jerod 『grief science』

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LAを拠点に活動するシンガー・ソングライターJed Naranjoによるソロプロジェクト、jerodが新作EP『grief science』をリリース。個人的な2020年のベストアルバムにも挙げたアーティスト。
淡く透き通るようなアンビエントに、オーガニックで優美なアコースティックサウンドが折り重なる、ドラマティックで幻想的な仕上がりに。そこに優雅でスムースな彼の美声が溶け合い、エモーショナルで劇的な展開を見せる作品となっています。ノイズやグリッチ的なエディットを加えたビートの精巧さや、それぞれのサウンドの繊細な仕上げ方は本当に素晴らしいの一言。

26. Konyikeh 『Litany』

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ロンドン生まれで現在はエセックスを拠点に活動するR&Bシンガー、KonyikehがデビューEP『Litany』をJorja SmithやENNY、Mychelleなどを輩出するレーベル〈FAMM〉からリリース。ラッパーDaveの2022年のBRIT Awardsでのパフォーマンスのイントロのボーカルで登場し、そこから脚光を集め始めることに。
それもそのはずで、彼女の発する歌声の成熟さが本当に20代前半とは思えないほど。深みのあるハスキーボイスで、ソウルフルな迫力には圧倒されます。サウンドもクラシカルなものから現代的なものまでアレンジされたソウル/R&Bで、特にシンプルなピアノでのストリップソングやストリングスを加えた優雅な楽曲など、洗練されたものばかり。

25. parthenope 『Go Somewhere Alone』

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UKのリーズ出身のサックス奏者/マルチ奏者/シンガーであるParthenope Wald-Hardingによるプロジェクト、parthenopeがデビューEP『Go Somewhere Alone』をリリース。彼女は、UK新世代によるBlue Note作品の新解釈『Blue Note Re:imagined II』のNorah Jonesの「Don't Know Why」をカバー曲に収録。
今作ではその実力が存分に発揮されたもので、磨き抜かれたスムースでメロウなサウンドに、澄み切った温もりのある美声でが包み込むよう。ジャズやネオ・ソウル、インディーなどを盛り込んだ音楽性で、実際に彼女がめざしているようなポップで親しみやすい作品に仕上がっています。LaufeyやConor Albertに続くような逸材かと。

24. grentperez 『when we were younger』

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フィリピンをルーツに持ち、オーストラリア・シドニーを拠点に活動するベッドルーム・ポップ・アーティスト、grentperezが新作EP『when we were younger』をリリース。
両親からは70年代のフォーク、兄からはR&Bやソウルなどを教えてもらい、自身はRex Orange CountyやTyler, The Creator、Frank Oceanなどから影響を受けたという。そんな彼の奏でるサウンドは、甘酸っぱい青春を過ごしてきたような夏を想起させるような、ノスタルジックでロマンあふれるもの。優美で爽やかな歌声によるメロディアスなフレーズは身体に沁み渡るよう。これから暑い夏を迎える時期にぴったりな作品かと。

23. waterbaby 『Foam』

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スウェーデン・ストックホルムからのベッドルーム・ポップの新星、waterbabyがデビューEP『Foam』を名門レーベル〈Sub Pop〉からリリース。幻想的でたゆたうようなシンセや、レイドバックなムードが折り重なったベッドルーム・ポップ・サウンドが特徴です。何よりも一度聴いたら忘れられないような、彼女のポップなメロディーセンスも秀逸です。フォークとR&Bの中間を縫うような唯一無二な音楽性も面白いですね。可憐でビタースウィートな声質も音楽にあって最高です。

22. Giift 『Conditions』

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サウス・アフリカにルーツを持つ、デンマークを拠点に活動するシンガー・ソングライター、GiiftがデビューEP『Conditions』をリリース。全て自身でレコーディングからミックスまで手がけてしまうアーティストで、今後要注目なSSWになりそうです。ポスト・Frank OceanというようなR&Bのサウンドプロダクションで、優雅で洗練された音楽性が特徴です。そして特筆すべきは彼女の凛とした透明感漂うソウルフルな歌声。その両方が重なり合うことで、素晴らしい作品に。

21. Sekou 『Out Of Mind』

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ロンドンを拠点に活動して急激に人気を伸ばしているアーティスト、SekouがデビューEP『Out Of Mind』をリリース。まだ18歳という年齢ながらも成熟したスモーキーでソウルフルな歌声が各所で反響を呼び、Arlo Parksも称賛するほど。
もうとにかく聴いていただければわかるのですが、天賦の才を授かったと言う他にないほど、驚くべき歌声。繊細で機微のある歌い回しや、シルキーでメロウな声質から、壮大で包み込むような力強い歌声というレンジの広さも彼の才能の一つです

20. Bricknasty 『INA CRUELER』

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ダブリンを拠点に活動する5人組のソウル・ヒップホップコレクティヴ、BricknastyがデビューEP『INA CRUELER』を、Jorja SmithやENNYらを擁するレーベル〈FAMM〉からリリース。
D’AngeloやMF Doom、Timbalandなどから影響を受けたという彼らの奏でるサウンドは、ネオ・ソウルやジャズ、ヒップホップ、サイケ、UKのダンスミュージックなどを織り交ぜた、ダークだけど多幸感あふれる音楽性に仕上げています。ジャジーで陶酔的な曲から、ダンサブルなビートを駆使した曲やアコースティックの弾き語りの楽曲までとさまざまで、その幅広さも驚かされます。

19. p-rallel 『Movement』

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現在ロンドンのアンダーグラウンドのポップシーンやダンスミュージックを席巻するウェストロンドンを拠点に活動するDJ/アーティスト、p-rallelが待望のデビューミックステープ『Movement』をリリース。彼がLouis Cultureを中心としFinn Foxellなどを擁するコレクティヴ〈Elevation Meditation〉にも所属。
彼の満を持してのミックステープには、 Kam-BuやBXKS、Tamera、 Natanya、J Warner、dexter in the new sagent(ex: dexter)などが参加。彼の特徴でもある王道のハウスやテクノビートを武器に、カッティングエッジでキレキレのラップから、力強くソウルフルな歌声や妖艶でメロウな美声までを、最高のグルーヴとリズムでのせてしまう作品に。

18. Annahstasia 『Revival』

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ナイジェリアをルーツに持つLAを拠点に活動するシンガー・ソングライター、Annahstasiaが新作EP『Revival』をリリース。今作ではM2「While You Were Sleeping」にRaveenaが客演で参加。
今作はフォークをベースとした、アコースティック・ギターの滑らかな響きと、Annahstasiaのソウルフルで壮大な歌声にフォーカスしたオーガニックなEPに仕上がっています。そこに豪華絢爛なストリングスや荘厳なアンビエントなども絡ませて、耽美的で幽玄さも感じられるムードがとても素晴らしいです。フォークロア的なスタイルも垣間見られて、彼女のボーカルのストリーテリングの力強さと、繊細な歌い回しによる機微など、その技量の高さにも驚かされます。

17. Jordan Ward 『FORWARD』

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LAを拠点に活動するアーティスト、Jordan Wardがデビューアルバム『FORWARD』をリリース。作品には Joyce Wrice,やGwen Bunn、Ryan Trey、そしてLidoなどがフィーチャリングで参加。
R&Bやインディー・ソウル、ファンク、ヒップホップ、そしてエレクトロミュージックなどを横断した、カラフルでスムースなサウンドが特徴で、メロディアスな彼のボーカルも印象的です。声もピッチ・アップやダウン、トラックもチョップド&スクリュード的なアレンジもしていて、遊び心も垣間見れるサウンド作りも個人的にはツボです。AminéやElujay辺りが好きな人はハマるかもしれません。

16. feeo 『Ah, hunger』

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ロンドンを拠点に活動するシンガー・ソングライター/プロデューサーTheodora Lairdによるソロプロジェクト、feeoが新作EP『Ah, hunger』をリリース。2019年のLoraine Jamesの「For You And I」のボーカリストとして参加したり、最近ではNukulukとも共演しています。
そんな彼女の奏でる音楽はとてもミニマルで、ソウルやジャズ、ニューエイジ、アンビエント、エレクトロニカなどを織り交ぜた、ダークで幽玄な音楽に仕上げています。たゆたう優美でシルキーな歌声も格別で、荘厳なムードの中を切り分けて、華やかに彩っていくよう。

15. AntsLive 『Just A Matter Of Time』

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UKのラップシーンで期待のノースロンドン拠点に活動する新人アーティスト、AntsLiveがデビューEP『Just A Matter Of Time』をリリース。
現行の808のトラップやUK独特のグライムシーンのビート、アフロビーツなどをブレンドさせた重心低めな独特のリズムに、メロウでメロディアスなサウンドが合わさった、キャッチーなトラックに仕上がっています。そこに言葉巧みな彼の唯一無二のフロウが重なり合うことで一瞬で心を持ってかれますね。少し浮遊感がありつつも地に足付いた、エナジーあふれるフロウには圧倒されます。slowthaiのような悪ガキな感じもあるんですが、よりスマートな振る舞いがクール。

14. Lucy Tun 『Unreal』

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ミャンマーをルーツに持ちロンドンを拠点にDJ/トラックメイカーLCYTNとしても活躍するアーティスト、Lucy TunがデビューEP『Unreal』をリリース。
ベッドルーム・ポップ系のサウンドを軸としつつ、彼女がDJの面を活かしたエレクトロ・ポップやダンスミュージック、マッドチェスターなどを取り入れた煌びやかでダンサブルな音楽性が魅力的。甘美で可憐な歌声も合わさることでより華やかな作品に。

13. Lucy Blue 『Unsent Letter』

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アイルランド・ダブリンから現れた奇才SSW、Lucy Blueが3枚目となるEP『Unsent Letter』をリリース。Frank OceanやPJ Harveyなどから影響を受けている彼女。今作は故郷に対する淡い想いが綴られたという1作。
彼女の透明感漂う流麗な美声と共に、トイピアノやローズピアノなどの洗練されたサウンドと絡み合う。そこに煌びやかなアンビエントや、シネマティックで叙情的なインディー・ポップ〜ドリーム・ポップが織り交ぜったドラマティックな音楽性はやはり彼女ならでは。Billie EilishからThe Japanese House、beabadoobeeなどに通ずるような才気あふれるアーティストであることをこの作品でさらに証明したようなものかと。

12. June McDoom 『With Strings』

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NYを拠点に活動するシンガーソングライター、June McDoomが新作EP『With Strings』をレーベル〈Temporary Residence Ltd.〉からリリース。
60〜70年代のアシッド・フォークから、ジャズやソウル、ボサノヴァなどを、現代的なアンビエントを絡めた、荘厳でありながら幻想的なサウンドに仕上げた一作。彼女の甘くて瑞々しい美声は異世界に誘うようで、さらにストリングスの音の厚みが加わることで夢見心地な気分になるEPに仕上がっています。

11. Unflirt 『Bitter Sweet』

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ロンドンを拠点に活動するベッドルーム・ポップ・アーティスト、UnflirtがデビューEP『Bitter Sweet』をリリース。beabadoobeeのライブのオープニングアクトも務めたことのある実力派のアーティストでもあります。
爽やかでロマンティックなムードを内包したシネマティックなサウンドと、蜂蜜のように甘く透明感ある美声が重なり合った、「もう最高じゃん」の一言に尽きる音楽性。ほどよいテンポの疾走感ある曲や、淡く歪んだギターが心地よい曲など、それぞれの曲がドラマティックで、EPタイトル通りのビタースウィートな雰囲気を感じます。そして何より鳥肌モノの美声です。

10. Malady 『All Pressure, No Diamonds』

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ロンドンの4人組の新星バンド、Maladyがとうとう!待望の!デビューEP『All Pressure, No Diamonds』をリリース。去既にデビューシングル(2020年)のときからとんでもない存在感で、突如UKのバンドシーンに爆誕したMalady。
彼らの音楽性は、ハウスやテクノ、UKガラージといったダンスミュージックや電子音楽をベースにしたサウンドに、そこにインディー・ロックやポスト・ロックなどを織り交ぜたもの。ダンサブルだけどUK独特のダークでアングラなムードが漂っていて、さらにKing Kruleを彷彿とさせるレイジーなクールなボイスも最高にかっこいいです。

9. Slowspin 『TALISMAN』

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パキスタン出身で現在はアメリカを拠点に活動するシンガー・ソングライターZeerak Ahmedによるプロジェクト、Slowspinが新作アルバム『TALISMAN』をリリース。
東洋音楽的なサウンドに、フォークやドリーム・ポップ、アンビエント、エレクトロニカなどを編み込んでいき、幽玄で幻想的な音楽性に昇華させています。彼女の民謡的な歌い方は伸びやかでシルキーな美声で、それもあってかいつの間にかSlowspinとして作り上げる世界観に引き寄せられているよう。夢見心地なアンビエントやストリングスのアレンジ、アジアの伝統的な楽器の数々、それを現代的なサウンドの手法に違和感なくのせ、耽美な音楽に仕上げています。

8. Nate Brazier 『YSK』

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サウスロンドン出身のSSW/プロデューサー、Nate BrazierがデビューEP『YSK』をリリース。客演に現在絶賛活躍中のLouis Cultureを招いています。彼は既にKojey RadicalやJ Rickなどの作品に関わってきたようで、ロンドンのアンダーグラウンドシーンでは才気あふれる”ヤバい”アーティストで名前が広まっているそう。
それも納得というか、「デビューEPでここまで仕上げてしまうのか」というくらいハイクオリティーな出来となっています。全体的に深夜帯のダークでメランコリックな空気感が漂っていて、ロンドンのアングラさがぷんぷん匂ってきます。UKガラージやダブステップ、2ステップ、ジャングルなどのクラブカルチャーのビートを巧みに駆使したバウンシーなトラックに、R&Bやジャズ、ファンクなどを織り交ぜた音楽性には腰を抜かしました。

7. Bawo 『Legitimate Cause』

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ウェストロンドン出身のUKのグライムシーン期待の新人アーティスト、Bawoが新作EP『Legitimate Cause』をリリース。彼は今ではUK屈指のラッパーKnucksの昨年のツアーの前座を務め、またあのKojey RadicalもThe Great Escapeのイベントに彼を招き入れるなど、お墨付き感が強いアーティスト。
彼の最大の魅力は、低体温ながらもその中に密かな熱を帯びさせたメロディアスなラップです。そのクールで味わい深いフロウは唯一無二で、さらにポップなメロディーラインの歌唱まで担ってしまう幅広さにも驚いてしまいます。テクノやUKガラージなどのUK独特のダンスビートや808のトラップなど、さまざまなリズムを駆使したバウンシーなトラックから、ゴスペルやソウルなどを取り入れたしっとりとした幽玄な楽曲まで、そこのレンジの広さも最高です。

6. Bennet Coast 『Where Are You Going?』

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LAを拠点に活動するベッドルーム・ポップ・アーティストでフィルムメーカーでもあるBennet Coastが、待望のデビューEP『Where Are You Going?』を〈PIZZASLIME RECORDS〉というレーベルからリリース。
彼の奏でる音楽性は、アコースティック・ギターの温もりのある弾き語りをベースに、インディー・ロックやR&B、ヒップホップなどをミックスさせた、鮮やかで甘酸っぱい青春映画のようなサウンドスケープが魅力。彼の優美で芯のある歌声は爽やかさと気怠さを持ち合わせていて、そんなサウンドと溶け合うこと最高の極上のムードを生み出しています。

5. Mac Wetha 『Mac Wetha & Friends 2』

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ロンドンのアングラポップコレクティヴNiNE8に所属し、さらにDirty Hitとも契約に漕ぎつけたMac Wethaによる友人たちを招いたコンピ第2弾『Mac Wetha & Friends 2』。
USのspill tabやJunior Varsityから、UKの注目ラッパーBawoやFinn Foxell、盟友のBiig Piigまで、彼の交友関係と音楽のカラフルさ詰め込まれた最高な一枚。

4. Elmiene 『EL-MEAN』

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ロンドン拠点に活動するアーティスト、ElmieneがデビューEP『EL-MEAN』をリリース。彼はすでに昨年のLil Silvaの名作『Yesterday Is Heavy』のM10「About You」にフィーチャリングで参加して脚光を浴びています。それよりも前に彼のデビューシングル「Golden」は、ヴァージル・アブローが亡くなったわずか2日後にマイアミで行われたルイ・ヴィトンの最後のショーで未発表の状態でかかり、それが彼が注目されるきっかけだったそう。
それも明白で、Elmieneの洗練された壮大な美声を聴けば、圧倒されるに違いありません。天賦の才能を持ち合わせた彼の歌声は、ソウルフルで迫力あふれる声から、繊細で澄み切ったハイトーンボイスまで、機微な歌い分けをする、表情豊かなもの。

3. Searows 『End Of The World』

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USのポートランド州・オレゴンを拠点に活動するAlec Duckartによるインディー・ベッドルーム・プロジェクト、Searowsが新作EP『End Of The World』をMatt Maltese主宰のレーベル〈Last Recordings on Earth〉からリリース。
素朴で温かみのあるアコースティック・ギターのストロークに、シルキーで柔和な美しい声のみというシンプルな弾き語りで、ここまで琴線に触れることはあるだろうか。Phoebe Bridgersをはじめ、Adrianne Lenker、Skullcrusher、Etta Marcus、runo plumなどこのブログを通してさまざまなインディー・フォーク系のアーティストを紹介してきましたが、Phoebe Bridgersを肩を並べるほどの新人が現れたと感じています。

2. King Isis 『scales』

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USのオークランド生まれ、現在はLAを拠点に活動するシンガー・ソングライター、King IsisがデビューEP『scales』をPigeons & Planesのスタッフが運営するレーベル〈No Matter〉と最高のアーティストを輩出し続けるレーベル〈Dirty Hit〉からの共同リリース。
今作ではインディーロックやグランジ、オルタナ、ジャズやR&Bなどのそれぞれの要素が美しく溶け合った作品に。タイトなビートともに疾走感あふれる爽やかな楽曲「in my ways」から、インディーR&Bのような陶酔的なムードとオルタナなサウンドが合わさった「taste of u」など、独創的で鮮やかなサウンドが展開されています。Isisの歌声はソウルフルで芯がありつつも、流麗で透明感のある声質も兼ね備えていることで、作品全体的に淡く神々しいムードが漂っていますね。

1. Ray Laurél 『TEMPTRESS』

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Frank OceanやJai Paulの意志を受け継ぐロンドンのシンガー・ソングライター/プロデューサー、Ray Laurélが新作EP『TEMPTRESS』をリリース。ラッパーJeshiを1曲客演に招いています。
Rayのベッドルーム・ポップのスター確固たる位置を築いた作品に。前作より緻密に練り上げられ、磨き抜かれたサウンドプロダクション。そして圧倒的な歌声。これが2作目のEPってやばいです。


いかがでしたでしょうか?2023年もいろんなアーティストに出会えた年でした。来年もこのブログでは新進気鋭のアーティストを紹介していくのでお楽しみに〜今回のリストをまとめたプレイリストも下記にまとめてますのでぜひ。

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