90年代の音楽を知らないアナタへ その38 KILLING ME SOFTLY(96)/FUGEES ローリンの声あってこその名カバー。HIPHOPで蘇るクラシックソウルの名曲
ローリンヒルの声はとにかく不思議だ。分厚いベースラインに乗せてラップをすればギャンスグタさながらのハードな声にきこえるし、ソウルをカバーすれば慣れ親しんだ、ヴィンテージなムードが漂う。曲によって表情を変えて聞こえてくるから奥が深く、ファンをやめられない。次はどんな曲を歌ってくれるのか。常に期待を抱いてしまうのがローリンヒルというシーンガーでありMCである。
数多くのアーティストがカバーしているソウルクラシックバラードの名曲を、まさかのHIPHOPにアレンジしたのがフージーズの「KILLING ME SOFTLY」だ。
オリジナルはロバータフラックで、73年に全米1位になった。日本ではネスカフェ?かなにか、コーヒー系のCMで流れていたことがあるので耳馴染みの人も多いかもしれない。
「STRUMMING MY PAIN WITH HIS FINGER.SIGING MY LIFE WITH HIS WORDS〜」と始まるこの曲は出だしこそスローでオリジナルに忠実だが、ワンフレーズ終わったところで途端にHIPHOPへと一変する。ワイクレフとプラズのアドリブMCが代わる代わる入り、レゲエ要素強めなフージーズらしい世界へと、こちらの体が自然に揺れてしまうダウンテンポのダンスホールミュージックに変貌するのだ。
70年代を代表するゴールデンミュージックを、新世代のHIPHOPユニットが華麗に蘇らせた名カバーとして世界的なヒットとなり、いま聴いてもちゃんとカッコイイ。タイムレスな曲を書いたロバータフラックも素晴らしいが、この曲を選んだフージーズのセンスもまた素晴らしい。こちらもまた90年代を代表するゴールデンミュージックとして記憶されている。