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90年代の音楽を知らないアナタへ その32 DON'T TAKE IT PERSONAL(95)/MONICA アンドロジニーな声で歌う、10代のリアルな機微

モニカはデビューした14歳で既に大人だった。リアルな女の子の日常と心情を綴ったスイートな歌を、背伸びしたようなはにかんだ笑顔とクールな出で立ちが印象的で、ボディラインを強調したタイトなファッション、抜群な歌の上手さでパフォームし一躍トップスターの座へ。

モニカは、前年にデビューを果たしたブランディ(子役でデビューしていたので歌手デビューの年)とアリーヤに遅れる形でのデビューだったが、活躍時代はほぼ一緒。ティーンエイジャー・デビューという共通点や、個性の強いアーティスティックなR&Bシンガーということもあって、ことあるごとにライバルと取沙汰されてきた同士である。ブランディのデビュー曲は「I WANNA BE DOWN」でアナタにメロメロよと歌い、アリーヤは「BACK & FORTH」でパーティガールからのフックアップを歌った。どちらも同世代のキュートな恋愛妄想やパーティ騒ぎにおける夢見る乙女の要素が強かった一方で、モニカはというと、かなり現実的でシリアスなデビュー曲になった。それがこの「DON'T TAKE IT PERSONAL」だ。

「ひとりになりたい気分もあるけど、それはあなたのせいじゃないからね」

14歳の少女が歌ってみせるこのクールで突き放す感じ。実は一番リアルなんじゃないかと思った。気分屋でも、恋愛には没頭したい。だけどちゃんと自分の時間も欲しいのが現代の女の子。そんなあらゆる感情を持った複雑な女の子の心情をリアルに再現するにはモニカのハスキーな声がぴったりだった。

当然少女の声であるが、聞きようによっては変声期途中の男の子だと勘違いを起こしてしまうような特異な声質でもある。このユニセックスな声質がモニカの魅力で、歌そのものをリアルにしてしまう。

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