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90年代の音楽を知らないアナタへ その74 JUMP(92)/KRISS KROSS キュート&エロを体現するキッズHIPHOPのはじまり

アトランタ出身のクリス“マック・ダディ”ケリーと、クリス“ダディ・マック”スミスの幼馴染みによる「KRISS KROSS」というヒップホップユニットが90年代にいた。ジャーメイン・デュプリがショッピングモールでスカウトしたふたりだそうだが、まだまだ幼い盛りの顔立ちに、高いスキルのラッピングとのギャップが魅力となり92年のデビューソングで爆発的な人気を得た。その曲がこの「JUMP」である。

「JUMP! JUMP!」というフックが全編に流れ、ノーティバイネイチャーやLLクールJのようなハイプでファッショナブルなビートに彼らの快活な発音とともにフロウが絡み付いたパーティソングである。

わたしがこの歌を好きなのは彼らが披露する高速ラップが聴けるからである。ラップの才能がある人は五万といるが、高速ラップを滑舌よく、ジャストピッチで気持ちよく聴かせてくれるラッパーというのは実は少ない。彼らの他にはリサ”レフトアイ”ロペスやバスタライムス、エミネムあたりが個人的な好みである。

彼らのプロモーションビデオをみていると思うのは、「JUMP」こそ彼らの自己紹介的なビデオになっているが、その他のビデオには子供になんてエロい演出をしているんだろうという驚きの要素が多分にある。海外は日本と違い、ことアメリカのショウビズにはいろんな意味での「色気」というものがつきものであるが、彼らに明らかにお姉さん世代のビキニ美女を絡ませていたり(「WARM IT UP」)、歌詞にもセクシャルな内容を混ぜたりしながらしっかり「オス」としてのポテンシャルを与えているのが素晴らしいなと感じている。

大人が子供っぽくパフォーマンスするのはダサいが、子供が大人顔負けのパフォーマンスをするのはいつの時代もカッコイイ。90年代に10代のアーティストが次々デビューするのだが、みんな子供でありながら大人顔負けの振る舞い、フットワークの軽さで仕事をこなしている姿は、ファンやフォロワーにとっては良い手本となるし、視聴者としても見入ってしまう楽しさがある。子供心に少なからず感じる「ちょっとしたイタズラやエッチな妄想」を堂々と体現して魅せてくれるのだから、同世代は喰いつくにきまってる。かくいうわたしも当然彼らの大ファンだったし、彼らのセクシーな日常を妄想しては羨ましく思っていたひとりである。

話しは変わるが、こういう事象を目の当たりにするといつも思うのだが、アメリカは幼児ポルノ/未成年の性に対してかなり社会は厳しいが、一方でショウビズ内でのこういう遊び方はお金のためならオフィシャルでガンガン許すという傾向があると思い矛盾してないかということである。ショウビズはあくまでファンタジーであり、リアルライフではないという大人のスタンスなのであろうか。増長させるという解釈はないのだろうか。セックスはお金になるという黒い考えで、深く考えないようにしているのか。不思議な国民性だなと常々思っている。

この記事を書くにあたりプロフィールを調べたところ78年生まれと79年生まれということで、わたしよりも若干お兄さんではあるが、同年代だったことに驚いた。勝手に数個は年上だと思っていたのだが。そう考えると、やはり彼らは大人びて見えていたな。


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