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音楽世迷い言(仮) その7 FEELS SO GOOD(95)/XSCAPE エロと歌ものヒップホップの金字塔
ジャーメインデュプリが手がけてきた中で、もっとも好きなのがエクスケイプ。類似アーティストとしてTLCがいるが、彼女たちはストリートを意識していたのに対し、「歌えるヴォーカルグループ」を想定して結成させたのがこのエクスケイプだった。
ラップは客演にまかせ、4人が4人ともに個性的な歌声とトップレベルの歌唱力を披露できるという、奇蹟のようなメンバーが結集。そういう意味ではアンヴォーグの妹分といえる。アンヴォーグとの違いを見つけるとすれば、エクスケイプの方が若い分、よりヒップホップ色が濃い。
この「FEELS SO GOOD」はセカンドアルバム「OFF THE HOOK」からのファーストシングル。何がびっくりしたって、ストリートファッションを身にまとっていたファースト・エラから一転、ぐっとスタイリッシュに変貌してきたこと。まるでコレクションモデルみたいに。あか抜けない子があるときから急に洗練されてきた衝撃。ちと寂しい気持ちもするけど、女性としての大人の色気が止まらない成長期のこんな感じも嫌いじゃない。男心がキュンキュしちゃうギャップともいうのか。ファンとしてこういう驚きはまじめに大歓迎なスタンスである。
アダルトな雰囲気を漂わせて、「あなたがしてくれること、すべて気もちい〜!」と歌うこの曲は、ファースト以上の成功をおさめ、ポップチャートでも大ヒットした。
分かりやすいメロディとストレートな歌詞。サビのループが多いので、クラブ狙いな曲作りになっているけど、ポップチャートでしっかりヒット曲として存在をみせつけてたところに、当時のエクスケイプの勢いと人気がブラックコミュニティだけでなく、広く定着していたことがわかる。
90年代のブラックミュージックで何を聴いたらいいのか分からない人には必ず聴いてほしいと思っているグループである。