
条理もセリフもないショートムービー
日曜日から火曜日までかけて完走した『未来少年コナン』、面白かったなあ。登場人物の考え方や感じ方だけでなく細かいエピソードに至るまで今に通じるものがあるという。子供の頃に見てもよくわからなかったストーリーが年寄りになってからグッと来るというのも不思議。とにかく宝物のような物語でした。ありがたい。そう、この年齢になってくると「ありがたい」という気持ちが湧いてきます。なぜなんだ。
途中で娘にも見るか聞いてちょっとだけ見ていました。でも長くは見ていられませんでした。物語は娘には負荷が高すぎます。『ちいかわ』ぐらい短くて不条理じゃないと無理です。整合性のあるストーリーは少なくなっているワーキングメモリーを圧迫します。脈絡も合理性も起承転結もないショートムービーが限界です。以前は『ひつじのショーン』とかも見ていました。『ニャッキ』も大丈夫だったはず。ゼロ歳児向けの『テレタビーズ』もいけました。そのあたりはセリフなしです。セリフがあるとワーキングメモリーがパンクするようです。『ちいかわ』はハチワレ以外は喋らないしハチワレもわりと論理性おかまいなしで雰囲気で喋っているのでギリギリです。
娘と似たような感じの方は子供でも大人でも意外と多いんじゃないかなあ。YouTubeでもTikTokでも特にオチもストーリーもないショート動画が受けているのって整合性のある物語だと疲れてしまったりキャパオーバーになってしまうヒトが多いからなのかもしれません。わかりませんが。
娘の場合はセリフだけでなく字幕もキツイです。パッと出てくる字幕を読むのは途轍もなく頭が疲れるそうです。文字が書いてあると読んでしまうようなんだよな。文字を見ることも文章として処理することも画面の表示に追いつかないからますます疲れてしまい、しまいには破裂してしまうようです。
娘の感覚そのものは私にはよくわからない点も多いのですが、外国語の字幕を追っている時の感覚が似ているのではないかと思っています。外国語の字幕と言ってもまったく読めない文字の字幕は模様になります。そこまでだと読もうとしなくなるはず。微妙に読めるけど処理が追いつかないぐらいの感じが近そうです。私の場合は英語字幕がまさにそれです。追いつけそうで追いつけないけどちょっとだけ追いつける時もあるみたいな状態から「あ〜追いつけない〜」みたいな脱落する時の感覚。TOEICやTOEFLのリスニングで一所懸命に付いていっていたはずなのに瞬間転んで追いつけなくなった時の感覚。
日本語のセリフや字幕でそれだとキツイだろうなと。外国語なら「大量に聞いたり読んだりして慣れたらしっかり追いつけるようになる」ということもあるかもしれませんが、娘の場合は日本語がわからないからそうなるのではなくワーキングメモリーがあふれるとか処理速度が追いつかないとかの問題なので練習しても無理そうです。というか、現状は無理です。練習と称して大量に聞いたり読んだりしてもただ意味もなく疲れるだけです。本人はそれで困っているわけではありません。むしろ無理に聞いたり読んだりさせると疲れるのを超えて爆発したりするので要注意です。そういうヒトもけっこういそうなんだよな、世の中には。病気だからとかではなく病気とは言えないぐらいであっても。
みんな、そんな状態で自分や周囲をだましだまし生きているのかもしれません。私の父もテレビドラマも見ていられないというか見てもわからないヒトでした。全然わかってないのにわかってるようなふりしているヒトもいっぱいいるんだろうな。なんかそう思うとちょっと絶望的な気持ちになりますが、それはそれで気のせいかもしれません。
いいなと思ったら応援しよう!
