眠れない夜とよく寝る昼と叫ぶ夜
昨夜、娘は起きていましたが、私がもう全然ダメで12時より前に寝ました。アイス枕はセットしました。朝まで熟睡する気まんまんです。
よく寝ていたはずの夜中、突然、娘の声が聞こえてきました。
幻聴?
違います。どうやら娘は和室の隣の居間で妄想独り言を喋っているようです。マジかー。
目が覚めてしまいました。トイレに行くことにします。襖を開けると娘は居間のソファベッドに転がって何か熱心に喋っていました。
「パパ、トイレ」
聞こえているのかいないのか。
私がトイレに入ると娘はソファベッドから起き上がって自分の部屋に戻りました。
それが1時ぐらい。
数時間後、私の寝ている和室の襖がガラッと開けられました。娘が立っています。仁王立ち。
「なになに」
身の危険を感じて身体を起こします。
鋭い目つきの娘は私の前を通過して押し入れに向かいました。
「あ、布団出すの? やめて」
私の声は聞こえているはずなのにガン無視です。押し入れから布団を取り出した娘、閉めようとしてうまく閉まらないのか、何度もちからずくで無理やり繰り返します。閉まったようです。ずっと無言です。
「もう、布団取りに来ないでね」
娘は無言で和室の襖を閉めました。
さらに数時間後。
また居間で喋ってやがる。全然寝てねえじゃん。マジかよ。勘弁してくれよ。
娘は居間でずっと喋っています。足音も聞こえるので歩き回っているようです。
7時頃、娘はトイレに行った後、部屋に戻ったようです。部屋で喋り続けています。
8時頃、部屋で喋っている娘に朝の薬を飲むか声をかけました。出てきません。喋ってるのに。
9時過ぎ、部屋から出てきました。なにか食べるか聞くと何も食べないと言います。
「お茶漬け食べる?」
「お茶漬け食べる」
お茶漬の素が……、ないです。切らしてたか。しょうがないのでほんだしとめんつゆと梅干しと刻み海苔とわさびでどうにかします。
「お茶漬け久しぶり。美味しい」
そうですか。よかったです。
朝の薬を飲んで娘は部屋に戻りました。部屋でまた喋っています。昨夜は一晩中起きていたはずなので、今日は日中寝るはずです。
10時半ぐらいに完全に静かになりました。寝たようです。
娘が寝ている間に私は風呂に入ったり洗濯したり。ベランダに干そうかと思ったら風が強いので断念しました。ベランダの朝顔、これぐらい風が強いと簡単に倒れてしまいます。朝のうちに直しておいたのに昼にはまた倒れていました。
今日の私の食事は冷蔵庫や冷凍庫の中にあるもので済ませるつもりです。朝食はシリアル、お昼はキャベツとジャガイモとソーセージをアルミホイルで包んで焼いて、途中で玉子も乗せてさらに焼いて最後にチーズを乗せて。味付けはマキシマムです。
娘は全然起きてきません。
2時過ぎから4時過ぎまで私も昼寝しました。娘に起こされるかとハラハラしていましたが、そういうことはありませんでした。よく寝ているようです、娘。
7時過ぎ、娘が起きてきました。朝の10時半に寝て夜の7時過ぎに起きる、完全に昼夜逆転。
娘の夕食はチャーハンのつもりでしたが、シリアルが食べたいと言います。
「え、パパ食べちゃった」
「買ってきて」
急いで買ってきました。
シリアルと桃缶。夕食なのに朝食みたいだ。
風呂は入らないそうです。相変わらず微熱。だるいだるいと言います。いつもの薬に加えて葛根湯。すぐにまた部屋に戻っていきました。寝るそうです。
30分ぐらいでしょうか、絶叫が始まりました。
「シケエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエ」
「シケエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエ」
「シケエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエ」
何度か繰り返されたあとに声をかけます。
「叫ぶのやめてね。死刑もやめて。仲良くね」
「シケッ、シケエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエ」
「シケッ、シケッ、シケッ、シケッ、シケエエエエエエエエエエエエ」
「シケエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエ」
「叫ぶのやめてね。死刑もやめてね」
「シケエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエ」
「もうそろそろ口閉じて寝てね」
「シケッ、シケエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエ」
何を話しかけても伝わらない徒労感。怖いのもありますが、色んなことに嫌気がさしてくるというかなんというか。
静かになりました。こういう時、一発で治まることはありません。しばらくしたらまた叫ぶんだろうなあ。
なんかもうイヤだな。
娘にこの気持ちが伝わらないのが悲しいです。
ちょっとぐらいは伝わるんじゃないかと思っていた時期は私にもありました。
残念ながら、気持ちが伝わることはありません。
なにも伝わりません。
◇ ◇ ◇