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夢の匂いで目を覚まし、幻臭に怯える

夢を見ました。亡くなった父がまだ生きていて湯治場の施設で療養しています。母と姉の姿は見当たりませんが一緒に訪れているようです。実際に亡くなった年齢より若く見える父は起きあがってウロウロしています。なにか言っています。あれだとかそれだとかしか聞き取れません。広い和室の畳の上を覆うように布団が敷かれています。父が寝転がっていたと思しきあたりが汚れています。見ると父の患者衣のステテコの部分にも汚れが。これをどうにかしろと言っているんだな。

納得した瞬間、強烈な匂いが鼻に突き刺さりました。饐えた胃酸と黄色い下痢の刺激臭。吐きそう。母と姉はこの臭いを知っていたからこっちに来なかったのか。父もこの臭いをなんとかしろと言っていたのか。でもこんな臭いをどうしたらいいのか。敷布を剥ぎ取って職員に渡すとか、そういうことをしたほうがいいのか、それとも職員を呼んでおまかせすべきなのか。

迷っている間にも臭いはひどくなっていきます。鼻に、鼻に直接くっついてしまったのではないかというぐらい強烈な臭いが。これはひどい。いくらなんでもこれはひどい。さすがにこれは

目が覚めました。

夢か。ひどい夢だったな。

てか、臭いんだけど、なんで?

夢の中で臭かったんじゃないのかよ。

マジ臭いって。どういうことだよッ。

鼻に臭いがまとわりつきます。

もしかして、寝ている間に下痢便を放出してしまったとか。

……さすがにそれはないな。大丈夫だ。自分が信用できないけど、さすがにそれは大丈夫。布団も、汚れてない。

でも臭いよ。なんでだよ。身体の向き変えたら臭いおさまったりする?

おさまんねえな。なんだよ、これ。身体の中が腐ってるのか。違うか。

起き上がってあたりを見回します。臭いの元となるようなものや変化は見当たりません。

気のせい?

違うよ、本当に臭うよ。

ひょっとして幻聴とか幻視みたいな幻臭ってやつ?

え、マジそんなのやばくない?

しない臭いを感じるとか本気でヤバいじゃん!

一気に目が覚めました。

臭い、するよ。幻じゃないよ、多分、きっと。

動悸が高まります。

あー、なんか水飲んで落ち着くか。

キッチンに向かいます。

シンクには昨日の夜に食べたカレーの皿が洗わずに置いてありました。洗い物しないとな。

ん。

臭い。

ここ?

洗っていないカレーの皿には水が溜まっています。そこに蛇口の水を流すとモワッと臭気が。

これだッッ。

臭気の素はレトルトカレー(大辛)の皿でした。面倒くさがらずに昨夜のうちに最低でも汚れだけ残らないように流しておくべきだったのか。でもこんなに臭うとは。気温とか湿気とかもあるのかもなあ。いやもう、たまらんな。

急いで洗剤を付けたスポンジでカレーを洗い流します。あとで食洗機でさらに念入りに洗うとしよう。

まさかあんなに臭うとは。そして夢の中で実際のひどい臭いを感じ取っているというのもなんだかかんだか。

夢に登場した父は冤罪だな。なんかすまんことした。ごめん。

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