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急にドカンと

娘、昨日の夜は起きてきませんでした。眠れたのならそれでいいです。眠らないと頭は休まりません。

朝、6時過ぎにドスドスと足音を立ててやってきました。

「血、付いたから洗って。全部着替えた」

娘は説明の言葉が常に足りません。私や(元)妻には通じるので家の中はそれでもかまいません。外では大変だったんだろうなあ。なんかこうしみじみ苦労を思います。

「シーツにもついた」

そうですか。

「昨日買っておいたパック寿司食べる?」

「食べる」

パック寿司とローストビーフで朝食です。よく食うな。

下着もパジャマも血まみれです。パンツ型のナプキンをしてこれですから、ナプキンがパンツ型でなかったらどれだけ大変なことになっていたか。ああ、でも下着は生理用のにしておいてくれたら洗うの楽だったんだけどな。まあ、しょうがない。それにしてもすごい血の量だ。

下着とパジャマを洗ってから洗濯機に入れます。タイマーで私が帰ってきたぐらいに洗い終えるようにしておきましょう。夏用の冷感シーツも手洗いです。夏用冷感シーツ、素材がナイロンなので汚れが落ちやすいんですよね。重宝しています。これはベランダに干すか。それとも浴室乾燥機か。とりあえず浴室に吊るしておいて帰ってきてから乾燥することにします。

今日はZoomでフォーラムに参加するのでノートパソコンを運びます。そろそろ会社のパソコンにもカメラとマイクをつなぐべきかもしれません。

ギリギリで少し作業などしつつ、フォーラムには無事参加。活用事例の報告もしました。第1回、なかなか盛況だったのではないでしょうか。

帰り道、今日の夕食の分は残っているのかいないのか。迷いましたが、いつもと目先を変えてコンビニの丼ものを買ってみました。娘、コンビニの丼は嫌いではないようです。

帰宅。娘の部屋からはかすかに喋る声が聞こえてきます。ごく小さい声ですが、寝言ではないです。明らかに妄想独り言。いやだなあ、調子悪いのかなあ。

トイレに起きてきたタイミングで声をかけました。牛丼、食べるそうです。ぬか漬けと味噌汁も用意しました。

「寝てた?」

娘は「寝てた」と言いかけてやめました。本人も寝ていたとは思っていないようです。

薬も飲んで娘は寝ると部屋に戻っていきました。寝ないと思うけどな。

私は風呂に入って自分の分の洗濯機を回してから夕食は軽く蕎麦で。食欲、本当にギリギリです。食器を片付けようかと思ったタイミングで娘が部屋から走って出てきました。手になにか持っています。居間を通り抜けて和室へ。ものすごく慌てています。電気をつけて、ガサゴソやってます。冬に来ていた赤いはんてんを抱えてまた走ってきました。

「これ、全部捨てるから」

えー、またかよと思っていると、キッチンのゴミ箱にはんてんと手に持っていた何かを必死で押し込んでいます。

「勝手に捨てるのやめて」

私がそう言って近づくと、丸い目で私を凝視した娘が叫びました。

「SHINEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEE」

絶叫です。

「死ねって言わないで」

「死ねッ死ねッ」

娘の丸い目はどこも見ていません。

殴りかかってきました。ものすごいチカラで。

「やめて」

「死ねッ死ねッ」

「なんで死ねって言うの」

「死ね」

「死ねって言うのやめて」

「死ねええええええええええええええええええ」

この間、何度も何度もボッコボコです。

よく寝たからでしょうか。パンチのひとつひとつに重みがあります。今日は握りしめた拳だけでなく曲げた指の関節をひねるように私の首筋に叩き込んできます。痛い。かなり痛い。

「やめて」

「死ね」

「だからなんで死ねって言うの」

「死ね」

「死ねって言わないで」

「死ね」

今日の娘は本気のようです。刃物はしまってありますが、キッチンのコップやらなんやらで殴られると大変なことになります。だからキッチンから出ていってもらいたいのです。しかし、今日の娘は引きずり出そうとしてもダメです。しょうがないのでむしろキッチンの奥にずんずん押し込んでいきます。

「あっち行け」「死ね」「出てけ」

様々叫びながら娘は私を殴り続けます。

「やめて」「死ねって言わないで」「どうして死ねって言うの」

私も色々言いながら娘をキッチンの奥に押し込みつつ殴られっぱなしです。

娘はゴミ箱の中身に触れられるのが嫌なようです。

物を勝手に捨てないでと言っても今日のようにスパークしていると通じません。捨てられる時は捨てられると思っていたほうがいいです。家の中のものはそのうち全部娘に勝手に捨てられるのです。なんかそれが苛立たしい。腹立つ。

それにしても今日の娘の拳はひねりが効いて痛いです。

散々私のことを殴ったあと、「今日はこっちで寝る」と言って娘は和室に向かいました。その途中でも振り向いて「死ね」と言っています。追いかけて「どうして死ねって言うの」「死ねって言わないで」と繰り返します。

「死ねええええええええええええええええええええええ」

また叫んで殴られます。ものすごい勢いです。いつもの娘は私の頭を狙って拳を振り下ろします。今日は私の首筋を狙って、しかも拳にひねりを効かせて叩きつけてきます。痛い。痛い。やめて。やめて。

この間、非常に悲しいです。

見ると娘も泣きそうです。

これは娘ではなく妄想の誰かが娘の喉を使って「死ね」と言っているやつだ。

「誰か知らないけど娘に「死ね」って言わせないで」

「娘から出てって」

こういうのが劇的に効いたりということはないです。今日もダメでした。

散々殴って気が済んだのか、娘は急に自分の部屋に走っていきました。そっちで寝るのかな。

出てきました。

「パパ、こっちで寝て」

娘は和室で寝るそうです。

久々にドカンと来ました。生理が来たら少し落ち着くみたいな時期もあったんですが、ここ数年は逆に生理中にひどい爆発があったりします。今日のは多分それでしょう。

それにしても、勝手に物を捨てるのはやめてほしいなあ。まあ、言っても無駄なんだけど。

◇ ◇ ◇


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高島利行
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