宮崎県、独自の緊急事態宣言を発令!新型コロナで酪農はどう変わる?
新型コロナウイルス『COVID-19』が中国武漢で発見されてからもう一年が経った。
酪農・乳業だけでなく、全業界で大きな打撃を現在進行形で受けている。COVID-19と戦って勝つと言っていた世界の国々も、その驚異的な感染力を前に、戦争から共存へとシフトした。
企業や農家を含む事業主たちもそれに応じて、変革を迫られることになる。
ただここで注釈しておきたいのは、政府・行政→事業者という指示や要望で動いているという勘違いをしてはいけないということだ。
全てにおいて、政府・行政は事業者よりも楽観的で危機感が薄い。そして、9割の政治家、役人、職員はそれに気づいていない。それは今般の政府・行政のイデオロギー(体系や考え方)に由来する。担当者レベルで言えば、仕事のやり方と言ってもいいだろう。
理由は2つ。
1.申請や調査の後、判断を行うこと
2.自分たちの給料は保証されていること
ゆえに、危機感が薄い。事業者は危機に直面している。今!この1分1秒だ!
アンケートを集計した後に大変だなどうしようと考える。◯◯セミナーで講師から2、3時間話を聞いたからその問題に詳しくなった気になる。座談会という限られた人しか発言しない発表会を元に傾向と対策を練る。
そういう仕事をしているから、肌で危機を感じている現場と話が噛み合わない。見通しの方向性がずれる、結果、対策のポイントがずれる。
例えば、緊急事態宣言中、主要な仕事だけ残し、7~8割程の人員を休みにして、休んだ日は給料カットにすれば、ほんの少しは事業者の気持ちが分かるかもしれない。しかし、やはり分かり合うことはない。期間限定で、給料がもらえないことと店が潰れて収入がゼロ、いやマイナスになってしまうかもしれない恐怖の大きさがまるで違うからだ。それにいきなり行政の機能を制限するのは現実的でもない。
どうしてこんなに政府や行政のことを話しているのか。それは酪農・乳業界が他業界より、密接に、深く政府や行政と関わっているからだ。
関係の土台となっているものがある。
『学校給食』だ。
これまでの飲用乳消費量を見ると、7才~15才がダントツの1位。つまり小中学校の学校給食が酪農・乳業界を担っているといっても過言ではない。
学校給食の牛乳は入札制で、より安い牛乳が子供たちに届く。しかしいくら安くとも品質は保証しなければならない。運搬と検査を国の補助を受けながら行い、乳業メーカーに卸す生乳の品質保証する。その大半を担うのが農協だ。
政府・行政と農協。この2つの組織が学校給食という『伝家の宝刀』を振るって酪農・乳業界を守ってきた巨大なガーディアンだ。
その強烈な守護は、酪農に安定をもたらした。一方で、一切の反発も許さない独裁的なものだった。
新しい事業や牛乳のあり方を問う(このブログのような内容)の書籍やブログ記事までガーディアンの顔色を伺いながら、時に縮小し、転換し、諦めさせられた歴史が作られてきた。
何を言っても、このガーディアンたちが酪農・乳業界を守ってきたという事実は揺るぎないが、その存在はさながら『毒親』のようなもの。
親は守ろうとしているだけだが、親の価値観でのみ判断し、その顔色を子供が伺う。
明日、◯◯に行こうよ
そんな簡単な友達(他業種)の問いにさえ、親の許可を得なければ前に進めない。
それが70年以上続いているのだから、どう考えても歪んでいる。人間だったら親はすでに他界し、墓石に明日◯◯に行っていいかな?と聞いても何も返事が帰って来ないが、いかんせん、この二人のパパとママは生き続けているのだ。
その守護が、酪農・乳業界の弱体化を招いてしまった。今では、学校給食なしでは酪農が成り立っていかないまでに。
今、必死で学校給食を続けようとしている。しかし、学校給食なんていうのは公然の会食だ。すでに学校からも感染が広がっている今、これまでのような学校給食、牛乳の消費が続けられるとは思えない。
さらに、学校で牛乳を飲ませたくない親も増えている。医者の診断書を持ってくるように言う学校もあるらしい。それが宗教や思想を否定するようなことだと気づいていないところが恐ろしい。
農協も、丑年だからたくさん牛乳を飲もうとか、わけの分からない宣伝をしている場合ではない。学校給食が安定をもたらさなくなった今、無理やりに上げてきた生産量を減らし、乳質を上げて牛乳の値段を正常にしないと、酪農家の経営は立ち行かない。
そんな中でタクト(指揮)を振るのは危機感の薄い、政府や行政、農協の職員たち。彼らに、痛みを伴う施策が出来るだろうか。もし、やれなければ、酪農はいずれ破滅してしまう。
大きくなりすぎた市場、力を持ちすぎた組織を是正し、要らないものは削ぎ、AIやロボットを活用して本当に必要なものだけを残していかなければならない。