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CHICANO SOULと私

まるで夢のようだったBobby Oroza with Tiny Step "Southside" Trioのライブが終わり、今思うと「ボビー・ロス」状態だったのか?しばらくダメ〜な感じに陥ってましたが、色んな意味で寒すぎた冬を越えて早5ヶ月…気がつけば季節はすっかり春。みなさまいかがお過ごしでしょうか?

当日はたいへん僭越ながら、カオリーニョ藤原さんのライブ終わりからボビーのライブ開始までのDJという大役も務めさせていただきまして、20分程度でしたけど、そりゃもうむちゃくちゃ緊張しましたよ…せっかくなのでその時のトラックリストて言うんですかね?選曲した曲も順番に載せておきます。

▼El Chicano「Sabor A Mi」

▼THE NONFICTIONS「大阪レイニーブルース」

▼El Haru Kuroi「Invenciones」

▼Gilberto Rodriguez y Los Intocables「Ale Ale」

▼Baby Bash, The Bashtones ft. Kid Frost「Midnight Cruise」


と、ずいぶんと時間が経ってしまいましたが、今更ながらそん時のこぼれ話をひとつ。打ち上げでボビーに「あなたの音楽はスウィートソウルと言われるけど、甘いだけじゃないところが刺さるんです」というようなことを(かなり拙い英語で…)伝えるとちょっと考えてから彼はこんな話をしてくれました

「アメリカ西海岸をツアーをした時なんだけどね。見た目イカつい男たちが最前列でライブ観てたんだけど、その日ライブが終わったあとに彼らが近寄ってきたんだ。何を言われるのかと思ったら『今日は本当に素晴らしいライブだった!』なんて泣きながら言うんだ。それで彼らとハグし合ったよ」

打ち上げ会場の居酒屋で、たこ焼きを頬張りながらそんなちょっとイイ話をしてくれたボビー。想像するに、そのイカつい男たちってのはそれこそアメリカのギャング映画なんかに出てくるような屈強なタイプの人だったんでしょう。この話がなんかアタマにこびりついていて、今でもフッと思い出したりします。

そういえば「チカーノ・ソウル」という言葉の生みの親であり、書籍「CHICANO SOUL」の著者であるルーベン・モリーナ氏のインタビューでもこんな話がありました。

"若者にとってバリオ・ライフは時にハードなのだ。だからタフでいなければならず、そうした強迫観念から感情的であることは抑えられる。ガールフレンドが出来たとしても、正直に自分の気持ちを打ち明けることさえも困難にさせてしまう。ラブ・バラードはそんな彼らの声を代弁してくれるのだ"

ルーベン・モリーナ著/宮田信訳
『チカーノ・ソウル〜アメリカ文化に秘められたもうひとつの音楽史』より

なんというか "ホントにそうなんだなぁ" と。まどろむようなメロウネスの中からゆっくりジワーっと滲み出してくる哀愁。そのトロけるような甘いメロディーって泥水でもすするような生活の裏返しなんだろうなぁと。安っぽい言葉にきこえるかもしれないけど、それってある種の「癒し」のようなものなんじゃないのかと。

どちらかと言うと、それまであまり好きになれなかったスローで甘いタイプのソウルやレゲエといった音楽を好きになれたのは、それらがきかれる状況/きく人の心情、つまり「音楽と人との関係性」を今の自分が少し理解できたからっていうのがあって、そうゆう意味で「チカーノ・ソウル」に出会ったことは自分の中ではとても大きなことなんです。

ここで、ボビー・オローサの代表曲のひとつ「I Got Love」の歌詞の対訳の一部を載せておきます。

"強欲は美徳で
札束こそ王者
でも僕が求めているのは
愛でしか手に入れられない富
名声に飛びつきたがる世界で
この名を上げなくてもいい
そんなのどうでもいいんだ
だって 僕には愛がある"

秋山恵里菜 訳『ボビー・オローサ/ゲット・オン・ジ・アザーサイド』
日本語テキストより


『甘いだけじゃない』

と、今回はこれくらいにしておいて…次は5月に遂に来日する「ルーベン・モリーナ氏」の話になりそうかな?またボチボチと続きを書いていきますんで、よろしくお願いします。

ルーベン・モリーナ氏の来日イベントの詳細はコチラをご確認下さい(画像にリンク貼ってます↓)

ボビー・オローサのことを書いたnoteから続いている話もあるので併せて読んでもらえると嬉しいです↓

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