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良質な失敗を可視化する失敗クワドラント
失敗について思う事があります。
十分な準備ができていなかったとしても、新しい挑戦においては見切り発車で良い。後は走りながら考える、といった論があります。
それは概ね正しいと思うけれど、走り出したその先が行き止まりだったら大変ですし、ブレーキが間に合わず断崖絶壁から滑落何てこともありえます。
「やってみなければ分からないじゃないか!」
と自分を奮い立たせ、困難な事に挑戦する姿勢はかっこいい。
しかし結果が出ないどころか、周囲を巻き込んで大損害を被った、では美談で済まされません。ほれ見たことかと、周囲からの誹りを免れないでしょう。
『失敗は成功の母』
だと言いますが、恐らくそれでは言葉足らず。
『しっかり考え戦略を練った上で挑戦したのであれば、次に繋がる挑戦においては成功の確度を上げる』と言った表現に訂正させてもらいたいです。
ここで通底する概念は、
『失敗するなら質の良い失敗をすべき』と言う事です。
質の良い失敗とは何か。
それを説明するにあたり【失敗を通して成長し次に繋げる事ができるかどうか】と【失敗して失ったリソースを短期間で取り戻す事ができるかどうか】の2つで失敗を因数分解して説明します。
まずは上の2つの要素を使って4象限を下の通り図示してみました。
これを失敗クワドラントと名付けます。
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縦軸は【その失敗により成長できるかどうか】を示し、
横軸は、【その失敗からのリカバリが容易かどうか】を示しています。
ここで質の良い失敗とは、右上の事象にカテゴライズされている【①成長できるしリカバリが容易】な失敗です。
そんな①の失敗の例えは最後に譲るとして、まずはその他の事象から触れていきますね。
失敗として良質とは言えないが、まだ致命的でない失敗が②と③です。
例えば②の【成長できないけどリカバリが容易】では、
・人に勧められた個別株を買ったけど値段が下がっていった
みたいな失敗ではないでしょうか。現物で買った株なら、マーケットに晒した金融資産の毀損のみで片が付きます。しかし自分で精査して選んだ銘柄でなければ、何故その株を買って上手くいかなかったのかがフィードバックできないから、いつまでたっても自分で銘柄選定ができません。
失敗から学べず成長していない。
③の【成長できるけどリカバリが困難】なパターンとしては、
・事業計画を練り込んでいざ借り入れを起こし喫茶店を開店したが、全然上手くいかずに閉店
・十分に賃貸需要を調査して借り入れを起こし新築アパート建てたけど、想定よりだいぶ空室が埋まらない
・出来る範囲で決算短信を読み込み、確固たる自信を持って個別株を信用買いしたが、思いもかけない悪材料が出て株価が暴落してしまった
これらは、どれも避けたい失敗でしょう。しっかり準備して望んでもリスクが下振れする事はあるし、そもそも想定が甘かった、という事は往々にして起こりえます。ただ、ここでは事前にできる限りの準備をやったという点が救いです。失った信用や時間や資産を取り戻すのは生半可な事では無いですが、大失敗の裏には圧倒的知見と経験を蓄える事ができるはずで、次からはより成長したリスク管理能力で挑戦が可能となります。
一番救いが無いのが④の【成長もできないしリカバリも困難な失敗】です。まっさきに思い浮かぶ事例が、
・人の言うがままに多額の借り入れで不動産投資をスタート。ところが、空室が多数できたけど一向に埋まらないどころか想定外の出費が次々重なり、毎月のCFは赤字を垂れ流す展開。いよいよ持ちきれなくなって損切しても、人の言うがままに始めたものだから次に繋がる知見も溜まらず、多額の借金を残して退場というパターンでしょう。
こんな事態だけは避けなければいけません。
では、良質な失敗という①の【成長できるしリカバリも容易な失敗】とはどういうものでしょうか。例えばそれは、(不動産賃貸業の例えが多くて申し訳ないけど)
・金融機関さんと面談を持ったが、結局融資を断られてしまった
・小ぶりな木造アパートを買ったけどトラブル多かった
・有料noteを書いて出したけれど、反響はイマイチだった
・事業を精査した個別株を現物で購入したが、あれよあれよと値段下がってしまった
などがあると思います。
どうでしょうか、程度の差はあれど、どれも失敗のわりに失うリソースが小さいし、経験から得られる知見も多いと言えます。
金融機関さんとの面談に臨むにあたり、事業計画を立てるための物件確認や賃貸需要の調査など、いろいろと手間暇をかける事と思います。例え融資が否決となっても、調査結果はまた別の金融機関さんとの面談に活かせるし、細かい調査は次回からの物件検討の精度とスピードを上げてくれる。得るものは多く、失うものは調査や面談に費やした時間のみです。有給の2,3日を失う程度でしょうか。
小ぶりなアパートを買って多くのトラブルに見舞われる事、それは大きな経験になります。その割に、木造アパートのトラブルは急な出費があれど多くて数十万円で収まる事が多い。RC造の物件に比べれば修繕費用は格段に安くあがります。まして小さなアパートなら修繕規模も小さく、十分に日々のお家賃から賄う範囲での出費で済むのです。
そもそも手厚い保険をかけていれば火災や孤独死のリスクに対応できるし、入居者の退去時の現状回復や仲介手数料といった出費を除けば、でそこまで大きな支出は発生しないのでは無いでしょうか。
有料noteを書いたけど反響がイマイチだった場合。
失うものは執筆に費やした時間のみです。それに比べて、得るものといえば有料noteを書いた結果巻き起こる様々な感情の経験であったり、記事内容の見直しやビュー数を増やすための試行錯誤(すなわち成長)の材料です。
個別株を現物買いしていたらあれよあれよと値段下がってしまったという事もあるでしょう。しかし、そもそも現物であれば追証のリスクなどは無く、事前に十分なファンダメンタル分析があれば多少の株価増減に振り回される事もありません。さらに、株価下落の原因が想定の範囲外であったならば、それを次回から検討内容に含める事も出来るかも知れない。
①の失敗に通底して言えるのは、リスクが下振れしたとしても、生活が立ち行かなくなる、という事態は考えにくい程度の失敗であり、どれも自身の成長に繋がるという点で非常にポイントが高いです。
失敗してもいいんだ
失敗しない人生はつまらない
失敗できるのは挑戦した者だけだ
などと、失敗を美談とする言説は多くあります。
しかし、だからと言ってカジュアルに失敗してもいいという事では断じてありません。
大事な事は二つ。
始めは身の丈にあった小さな失敗を繰り返しましょう。
そして、できるだけ自分で考えて行動しましょう。さもなければ、せっかく失敗しても良いフィードバックが得られないし、また同じ失敗をしてしまうリスクが残ったままです。
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失敗をしないなんて事はありません。
だから、必要以上に失敗を恐れなくてもいい。
ただ、蛮勇であってはいけません。
一か八かのギャンブルであってもいけない。
小さな失敗をたくさんしましょう。きっと、その数に比例して小さな成功にもたくさん出会えるはずです。
失敗したって恥ずかしがらなくてもいいんです。
最後に。
このnoteが滑ったって構わないんです(笑)
僕が失ったのは2時間の睡眠時間だけですから。
そして得られたものは、ここまで読んで頂いたあなたとの出会いであり、あなたに私の事を少しでも知って頂いたという喜びに他なりません。
さああなたも、成長につながる小さな失敗を重ねましょう。
最後まで読んで頂いてありがとうございました!
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