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古典に学ぶ
『徒然草』という名前についてはご存知だろうが、その内容をどれほど理解しているだろうか。『徒然草』には、古い時代のものながらも現代に通じる普遍的な知恵が数多く込められている。その中でも、私が特に心惹かれるのが第150段である。少々現代語訳を引用してみよう。
「これから芸を身につけようとする者は、未熟なうちは人前で披露するのが恥ずかしいと考えがちである。しかし、そんな者が芸をものにした試しは一つもない。まだ未熟な時から、ベテランに交じり、笑われても動じることなく続ければ、才能や素質がなくとも芸を極めることができるだろう。やがて、平常心で頑張り続けたその者は、無双の達人となり、人々に尊敬される境地に至るのだ。」
この教えが示しているのは、最初から完璧を目指すのではなく、未熟な自分をさらけ出しながら努力を重ねることの大切さである。人は誰しも最初は未熟であり、その過程で笑われたり批判されることがあるだろう。しかし、そうした障害にひるむことなく前に進むことで、やがて達人の域に至るという教訓である。
この考え方は、現代にも実に深く通じている。あれこれ準備を整えてから挑戦するのではなく、多少の失敗を恐れずにまず行動することが大切なのだ。準備が整うのを待つだけでは、挑戦そのものが始まらず、得られる成長も見込めない。最初は「これで大丈夫だろうか」と不安に感じながらも、人目を恐れず挑戦を続けることで、いつの間にかその道の第一人者へと成長していくのだと思う。
私自身も、5分ラジオでの発信や、Xでの情報発信を通じて、何も実績がない頃から試行錯誤し、少しずつではあるが認知を得てきた。また、不動産賃貸業も、完全な準備ができてから始めたわけではない。むしろ、最小限の準備をして始め、繰り返し経験を重ねる中で、ようやくチームができたり、ノウハウが蓄積されてきたのである。
また、最近始めた民泊事業もそうだ。物件がたまたま利用できそうな状況にあったため、万全の準備がないままとにかくオープンにこぎつけたのだが、開業してからの課題は数えきれない。しかし、こうして「フライング気味」に挑戦することこそが成長への近道であり、新しい可能性を切り拓く力を生むと感じている。
結局のところ、挑戦とは準備を重ねた後にのみ行うものではなく、不完全であっても踏み出すことで、その先に新たな道が開けるのだ。