環境が人を成長させる
『他人の手でしか行けない場所がある』という言葉がありますが、これは本当にその通りでしょう。環境が変わり、それが厳しい状況であればあるほど、人は成長する機会を得る。
だからこそ、居心地が悪く感じたり、自分には少ししんどいと感じる時こそ、成長のチャンスと捉えられる人は確実に伸びていくのではないでしょうか。
10年以上前ですが、ドバイに海外赴任していた時期があります。赴任した最初の3年間は、慣れない環境に本当に苦労しました。まず、日本で慣れ親しんだ仕事の進め方とは全く異なり、英語でコミュニケーションを取ることが求められます。さらに、これまでは事務のバックオフィスの方が段取りを組んでくれていた部分も、自分で全て管理する必要がありました。
当然ながら英語での電話対応も日常茶飯事で、慣れないうちは思い通りの言葉も出て来ません。業務的にも日本では定型的な仕事が中心でしたが、ドバイでは不定形な業務が圧倒的に多く、日本との調整も必要で、それをうまくやり遂げるのはかなりチャレンジングでした。
さらに同僚の国籍も多様で、エジプト、イラン、インド、フィリピンなど、さまざまなバックグラウンドの人たちと一緒に仕事をすることになります。それぞれの文化的な背景や宗教の違いに加え、国同士の微妙な関係性も絡んでくるため、同じチームで仕事をするのは相当にセンシティブで簡単ではない。こういった文化の違いを尊重しながら仕事をする経験は、当時の私にとって非常に大きな負荷でもありましたが、今では貴重な成長の機会だったと感じています。
そうして4年ほど経つと、業務をある程度余裕をもってこなせるようになりました。業務の半分以上は7割くらいの出力でこなせる状態で、心地良さを感じていたものの、成長が止まってしまっているのではという危機感もありました。帰国後に本社にて仕事を再開した時に、海外での経験がどれだけ自分を成長させていたかを痛感します。日本の職場は定型業務が多くほんとうに楽で、海外での厳しい環境に比べると圧倒的にぬるかった。
その後は日本での仕事と並行して、子供の留学資金を調達するために不動産投資をはじめとする副業にも挑戦を始めます。自分一人で情報を集め、さまざまな場所で新たなネットワークを構築するのは簡単なことではなく、やはりしんどいと感じる事ばかりでした。しかし、海外駐在時代の厳しい環境を乗り越えた経験があったおかげで、困難にぶつかっても、「ここを乗り越えれば成長できる」と信じる事ができた。
もし今、皆さんが仕事や副業で「つらい」「うまくいかない」と感じていることがあるなら、それは成長のチャンスです。一方で、仕事に慣れすぎて心地良さを感じるようになり、仕事が6~7割の力でこなせる状態になったなら、危機感を持つべきでしょう。そのような時は、自分が成長できていない可能性が非常に高い。
現在、私は今治で今までと全く違う仕事を任されています。テクニカルな話に加えポリティカルな駆け引きが求められる内容で、毎日が挑戦の連続です。難しいと思う状況も続いていますが、それでも成長を感じる事ができている。
新しい事に挑戦する事はしんどいし、成功なんて一つも約束されていません。それでも、まずは困難を受け入れて成長に拘りましょう。大きな結果を受け止めるには、何より自身の成長が不可欠だからです。