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❨537❩1973.2.19.月.晴/宝石商の人の話/ボゴタ:コロンビア(Bogota:Columbia)

引間さんが上田さんの紹介で、チェックをドルのトラベルチェックに替えられる事が出来る様になったが、時間の約束を守らず、今日は、ダメになった。
全く、呑気なのには驚く。

一度上田さんの家へ行き、料理をしようとしたが、材料が揃わなく、荒屋さんという宝石 商をやっている方のマンションへ行く。

流石に、世界の宝石市場を動かしているだけあって、豪華な家だった。

約二時間かけて、俺はシューマイ、彼等はギョウザを作ったが、皮の失敗でシューマイなど、ビロビロ。

あげくの果てには、出来上りの半分を落としてしまうし、ガッカリした。

食事をし乍ら、全く新しい色々な事が聞かれた。今夜も聞き手一方で、俺の意見の入るところはあまりなかった。

宗教について、国際問題、主義について等、かなり突っ込んだ話が出た。

特に荒屋さんより、コロンビアの情勢について聞かされた事は、驚いた。

「金」、このイヤでもこの世の中で、表面的には最高の力を誇る物が、やはりここでも、非常に大きな意味をもっているという事だった。

人の命も金によって大きく作用されるとは、これ以上恐ろしい世界があるだろうか?

荒屋さんという人は、坂本竜馬が西郷に云った
「大きく打てば大きく響き、小さく打てば小さく鳴る」
この言葉にピッタリ当てはまる人物である。

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