❨607❩1973.4.29.日/朝市の人間観察/サント・ドミンゴ:ドミニカ共和国
眠られぬ夜だった。
むし暑く、蚊が多く、ちょっと寝ついたかと思う頃、隣の屋根でクソ猫のケンカ。
それに続いて、犬のほえ声。
とうとう三時に起きて、ケンカの仲裁に屋上に上がった。
結極、朝までそこにシーツをしいて寝た。
今朝は、そこから下の朝市の様子をばらくボヤ~~とした頭で眺めていた。
六時、人々はいかにも気忙しそうに、自分の小屋から少ない野菜を出して、台の上に、およそ自分達の生活の中にはないほどの几帳面さで、それ等を並べていた。
思えばコッケイな連中だコト。
雑踏も 卓に置かれた品々に
目を輝かす 朝の市かな
五時から六時まで補強。服を四枚着て、汗を出す。
頭にもフードを付け、頑張った。
全く、運動不足のしわ寄せは、こうでもしないと取れない。
しみじみ、ボクサーの苦しみを感じ取る。
テレビで陸上選手の記録をやっていた。
黙々と広いスタンドで練習に励む奴。
苦しそうだったが、俺は、たまらなく羨ましく思った。
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