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【敷地】用途上可分? 不可分? なにそれ?【素敵な建築確認申請書】

(3065文字)

おはようございます!

 今回は「用途上不可分ふかぶん」の説明をしながら「敷地」についてお話します。

 前々回「道路」についての話をしましたが、それは「接道」が建築基準法において大事だったからなのですが、その「接道」についての説明をしようと思った時に、「用途上ようとじょう不可分ふかぶん」について先に話しておかなければと思いました。

 なので今回は、「用途上不可分」についてのお話です。
 なるべくわかりやすく説明しますので、最後までお付き合いよろしくお願いします。

 音声配信の方が良いという方、もしくは聞きながら読みたいという方はこちらをご利用してください。


【素敵な建築確認申請書】シリーズ「敷地編」

 まずは、「用途上不可分」って何?ですよね(^^;
 聞きなれない単語ですが、これって建築基準法ではとても大切な単語で「用語の定義」として載っております。

敷地とは、「一の建築物」又は「用途上不可分の関係にある2以上の建築物」のある一団の土地をいう。

建築基準法施行令1条一号

 分かりやすく書くと、ある土地の中に一つの建築物があってはじめて敷地っていいます。これが基本的な考え方です。建築基準法上は、建築物がない土地は、敷地とは言わないんです。

 そして、問題は後半の内容「用途上不可分の関係にある2以上の建築物」とは?ですよね。

 これは。建築物が2つ以上あった場合、さっき説明した「一つの土地に一つの建物」と矛盾が生じます。その矛盾が解消されるような「2つ以上の建築物」なら、それも認めましょうということなんです。

 次に

 「用途上」の「用途」とは、一戸建ての住宅、共同住宅、学校、倉庫、店舗などの用途をいいます。

 「不可分」とは「分けることができない」もの。逆に
 「可分」とは「分けることができる」もの。

 以上を併せると、

 「一戸建ての住宅」で「分けることができない」2つ以上の建築物となります。

 これで何がわかるかというと。

 今住んでいる自宅で想像してみてください。土地の中にふたつ以上の建築物がありますか? 


建築物

 大原則である「建築物」についての説明をしておりませんでした。

 建築物ともいいますが、普通は「建物たてもの」って言いますよね。もちろん間違いではないのですが、建築基準法では「建築物けんちくぶつ」といいます。

6/21追加箇所※(不動産登記法では「建物」の定義が定められております。建築基準法とはニュアンスが違うので混乱しますので、今回は省略します。)※

建築物とは、土地に定着している工作物のうち、屋根及び柱若しくは壁を有するもの

建築基準法2条一号

 用語を解説していきますね。 

 まずは「工作物」。これは「人工的に作られた物」と解釈していいと思います。というのも、建築基準法では「工作物」についての定義はないのです。

 なので、建築物の定義を砕いて言うと「土地にくっついている」「人工的に作られた物」で、屋根と柱があるもの or 屋根と壁があるもの。これらを建築物と呼びます。


用途上可分不可分

 ここで質問に戻ります(^^;

 「一戸建ての住宅で分けることができない2つ以上の建築物」とは?
 そして、あなたが住んでいるお家の敷地内で、2つ以上の建築物がありますか?でしたね。

 はい、なかったらすみません。

 可能性があるとすれば、それは「車庫」です。「ガレージ」と呼んだりもしますが、建築基準法上は「自動車車庫」といいます。「駐輪場」でも解釈は同じです。

 例えばアルミカーポートを例にあげると
➀まずは、建築物かどうかの確認

  • 土地に定着している → くっついてますよね。

  • 工作物       → はい。人工的に作られてます。

  • 屋根        → 屋根はありますよね。

  • 柱か壁か      → 壁はないけど、柱はありますよね。

 以上から、これは「建築物」ということになります。

②今度な用途上不可分ふかぶんかどうかです。

 この車庫はどのような用途で使いますか?

 もちろん、その敷地内にある住宅に住んでいる方が使いますよね。ということは、その2つの建築物は、用途上不可分の関係にあるといいます。住宅と車庫は切れない関係となります。

 ちょっと説明がピンときませんね(^^;

 これがもし、隣に事務所があって、その事務所の駐車場として利用している場合。それは、住宅に住んでいる方がたとえ隣の事務所の経営者や関係者であったとしても、不可分にはならないのです。住宅と事務所の駐車場は、完全に切れますよね。(公私混同はOKとかそういう話ではないです(^^;)

 なので用途上可分として敷地を分ける必要が出てきます。

 これが原則の話です。

 でもね、実際には敷地を一緒にしたいってケースがあったりするんですよね。

 例えは診療所と院長の住宅が隣接している場合。病院だと規模が大きいイメージがするので、「@@医院」のような病床数が少ない診療所で考えてください。

 同じ建築物の上の階にある場合は何も心配する必要はありません。一の建築物ですから。2つになった場合でも道路が面していて敷地にも余裕があれば、それぞれ敷地を分けて、道路に面していれば分割して確認を提出することは普通にあることです。

 問題なのは、道路は1つしかなくて、どうしても一土地しかで取れない場合です。

 この場合は・・・。こうしたらいいですよ、なんて言いませんからね。だたこういう申請があると不可分で考えざるを得ないという事例をご紹介します。

 院長先生の院長室が住宅の中にある場合。もしくは病院の倉庫が住宅の中にある場合。これはもう用途上不可分の関係と見ざるをえません。審査側からすれば、疑惑を持ちますが、行政の指導ではない限り覆すのは難しいでしょう。


住宅用倉庫(物置)

 話を元に戻しますね。

 さきほどは、住宅に附属する自動車車庫について、これは用途上不可分の関係になるので、建築は可能という話をしましたが、もう一つ可能性があるもの。

 それは、倉庫です。 敷地内にありますか?

 @ナバの物置って言ったら分かりやすいでしょうか。これもさっきの形に当てはめてみると

倉庫(イ@バの物置)

建築物かどうかの確認

  • 土地に定着している → くっついてますよね。

  • 工作物       → はい、人工的に作られてます。

  • 屋根        → 屋根はありますよね。

  • 柱か壁か      → 壁はないけど、柱はありますよね。

 なので、これは建築物ということになります。

 はい、ここで終了~♪

 ってならないので注意が必要です。

6/21追加・修正中

  そうそう、大前提を忘れていました。用途上不可分の関係になるには、住宅の家財道具をいれる倉庫じゃないと用途上不可分にはなりませんので気をつけてくださいね。「農業用倉庫」は実は微妙で、場所によっては用途上可分って言われることがありますので、事前に確認をしてお客さんと用途について相談することをおすすめします。

建築物は
・土地に定着させる
・屋根がある
・柱か壁がある

 現在はコンプライアンス(法令遵守)がどの業界でも言われております。建築費用は決して安くないので大変だとは思いますが、しっかり守って良い建物を長く使っていきましょう!

 それでは今回は以上となります。
 少しでも参考になれば幸いです。

 最後まで読んでくれてありがとう!
 今日も一日お元気で!

#毎日note  #建築基準法 #建築確認 #用途上可分不可分について #住宅用車庫 #住宅用倉庫

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