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住宅ローン審査で年収を盛ったらどうなる?現役銀行員に審査の裏話を聞いてみた
どうも、モゲ澤です! 先日、私のYouTubeチャンネルに現役銀行員の小林さんにお越しいただきました(YouTubeはこちら)。
普段からYouTubeやnote、Xなどで私から住宅ローン審査の話をお届けしていますが、今回は銀行に勤務していらっしゃる方の視点から「ぶっちゃけ」な話をしていただきます! ぜひ最後までお読みください!
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年収を盛るのは絶対NGな理由
――(モゲ澤)今回は小林さんに住宅ローン審査の裏話を伺えるということで楽しみにしていました。よろしくお願いします。
(小林)銀行に勤めて35年になりますが、今回は言いすぎない程度にお話しできればと思います(笑)。よろしくお願いします。
――最初の質問ですが、銀行の住宅ローンの審査ってどういった観点でどう行っているのでしょうか。
私の勤め先に関していえば、「人間が審査にかかわること」がほとんどなくなっています。
――機械が判定しているということですか?
そうです。「AI・スコアリング審査」といって、住宅ローンを申し込んだ人に点数をつけて審査をします。点数が満たなければその時点で非承認です。今は審査に必要な情報を申込者がフォームに入力することがほとんどですが、この入力した情報がスコアリング審査にそのまま使われています。
――そうなると、間違えて入力した場合にはどうなるのでしょうか。
お客様にはよく注意しておくのですが、実際の年収では審査に落ちるかもしれないと考えて「年収を盛る」のは絶対にしてはいけません。
――盛ったことが銀行にはわかってしまうのですね。
「AI・スコアリング審査」ではお客様の自己申告の内容で、全体のほぼ80%までの審査を進めます。銀行側も審査にはなるべく手間はかけたくないのです。銀行としては自己申告のデータがウソではない前提で審査を進めていくことになります。
後から健康保険証や運転免許証、源泉徴収票などの年収に関する資料を提出したときに、自己申告と違っていればそこでバレることになります。年収が足りなければただでさえ審査が厳しいところに、ウソがあると余計に心象が悪くなります。
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住宅ローンは仮審査(一次審査)・本審査(二次審査)がありますが、仮審査がAI・スコアリング審査で行い、本審査のときに初めて私たち銀行員がお客様の自己申告が本当かを見るのです。
年収では、10万~50万円程度のブレはそれほど気にしませんが、年収400万円の人が800万円と申告していたら・・・。気持ちはわかりますが、実際にそういった例はあるのです。「年収を高くしないと仮審査に通らない」と誰かに入れ知恵されたか、不正確なネット記事を見たかだと思いますが、仮審査に通ればあとは何とかなるだろうと考えたのでしょう。
申込みフォームに必ず「後で銀行から連絡が来る場合がある」と書かれているのはこのようなことがあるためです。
――連絡をすると、ウソをついている人は「すみません」といった感じなのですか?
バレたか、という感じですね(笑)。落とすならどうぞという感じで、「そうですか」と言われることが多いです。
――最初から銀行を騙すつもりで、通ればラッキーという考え方なのかもしれないですね。
仕事柄、私も住宅ローンに関する記事を見るのですが、中には「年収を盛れ」と無責任に書いてあるものすらあります。あれはやめてほしいです。
――きちんと申告していれば、他の材料で融資承認を取れていたかもしれないのに。ウソをついていたらその時点でアウトとなり、もったいないです。
「年間返済額が年収の3割を超えるとダメ」とか「年収は◯百万円以上ないとアウト」みたいな情報にもふれると思いますが、まずは正直に申告してきてほしいです。一律に「年収800万円ならOKで、300万円だとダメ」というものではないのです。
――読者の皆さま、申告は正確に、正直に書きましょう! これは非常に大切です。
住宅ローン審査で見ている個人信用情報とは?
――では、次の質問ですが、住宅ローン審査で他に見ているポイントは何ですか?
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AIによる仮審査では、蓄積されたビッグデータを踏まえながら審査が進められ、30分くらいで承認・非承認の結果が出てきます。
しかし、個人信用情報や団体信用生命保険(団信)の確認が必要なため、回答までには少し時間がかかります。物件の担保評価などは後回しになります。
――仮審査ではお客様の属性をメインで見て、本審査で物件の評価とエビデンスとの突き合わせによって確認するという流れになるわけですね。
仮審査は通るのに本審査で落ちる人は、ほとんどがウソをついているか、物件がよほど良くないかのいずれかです。
――ちなみに、個人信用情報についてはどんな判断をしますか?
個人信用情報機関には3つあります。クレジットカード系のCIC、消費者金融系のJICC、銀行系のKSCです。
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住宅ローンの審査ではこの3つがすべて確認されます。審査の申込みの際には、「個人情報の取扱いに同意します」という確認欄があるのですが、これはご自身の個人信用情報を確認されることへの同意を意味しています。システムが自動的に確認する銀行もありますが、私どもはFAXで照会して確認する流れになっています。
個人信用情報機関からは、いわゆる「ブラックリスト情報」の異動を確認します。
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具体的には、10年間記録が残る「自己破産の法的整理」、約3か月以上の滞納で記録が残る「長期の延滞」、返済不能になった際に保証会社が立て替えた「代位弁済」があります。これらに該当するとまず融資は厳しいです。
――異動がある方は何%くらいいるのですか?
30年くらい前には100人中1人いるかいないかでした。私は現在、その現場からは離れているのですが、聞いたところでは100人中10人くらいはいるようです。
――え、そんなにいるのですか? 10%とは多いですね・・・。
昔はその時点で非承認でしたが、今は自己破産・債務整理といった方には融資が難しいものの、延滞くらいの内容であれば本人に連絡をして救済することもあります。
――近年だと、スマホの割賦販売の延滞で異動が生じることもあると思いますが、そういったものも軽微であれば通すことはありますか?
スマホの割賦販売はあるあるです。しかも、それが個人信用情報に関わることを知らない人が多いのですよね。ただ、それもその回数が重要です。3か月というのは期間ですが、個人信用情報機関には回数も載っています。なお、引き落とし当日やその月のうちに解消した場合なども、延滞は延滞として記録に残ります。
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軽微なものでも、今後不動産投資ローンやマイカーローン、教育ローン、カードローンなどを申込みたいときに、少しでも延滞があると影響があるかもしれません。
――ここは気をつけないといけませんね。
当日に引き落とし口座に入れることを当たり前にやっている方もいると思いますが、銀行員としては前日には入金しておいてほしいです。入金は24時間できますので、前日に入れておけば信用の毀損も防ぐことができます。
――皆さん、延滞には注意して前日までに入金しましょう!
家を買う前に不動産投資をするのは大丈夫?
――最近よく受けるのが、「不動産投資ローンを借りているのですが、自宅の購入のための住宅ローンの審査は通りますか?」という質問です。私は自宅の購入→不動産投資の順で行うべきというスタンスですが、ここはどうなのでしょう?
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銀行は頭の古い会社です。モゲ澤さんのおっしゃるとおりで、「自分の家を買ってから投資しなさい」という考え方はあります。お客様には言いませんが・・・(笑)。
不動産購入を無借金で行っているなら良いのですが、借入によって自己資金の何倍ものレバレッジをかけているのに自身は賃貸暮らしという状態だと、自宅がない上に不動産投資ローンの負担があるわけです。銀行からは「危うい投資をしている人」という見方になり、住宅ローンの審査のハードルはめちゃくちゃ高くなります。
――不動産投資関連の会社からの発信では、与信をより大きく使うために「まず不動産投資をやるべき」という情報もときどき見かけますが、これはおかしいと私は思っていました。マイホームを持っていても不動産投資ローンの審査にはマイナスにはなりませんので、不動産投資こそ持ち家の人がやるべきでしょう。小林さんも同じ認識ということですね。
家を購入してから不動産投資をするという順番が良いと思います。
――ちなみに、家賃収入>返済額となっていて、収支がプラスの人もいると思いますが、この場合はどう見るのでしょうか?
審査においては副収入として見ることになりますが、私どもの銀行の審査ではプラス評価をしません。不動産投資による収入は歩合給の自営業者の収入と同じようなものと捉えています。
――プラスに見ないということですが、マイナスにも見ないということですか? それとも不動産投資をしていること自体がスコアリングでマイナスになるのでしょうか。
不動産投資は直接にはマイナスにはなりませんが、借入残高に乗せられて評価されてしまいます。たとえば賃貸暮らしのサラリーマンで不動産投資による2,000万円の借金がある場合には、「賃貸暮らしで2,000万円の借金がある人」というスコアリングをかけられるため、結果的には大きなマイナスになるでしょう。
融資の成否の基準となる返済比率は公表されていませんが、年間の返済額が給与による収入の3割を超えていなければOKです。しかし不動産投資をしていると、家賃収入を除くと返済比率がそれを大幅に超えてしまうので、審査に通らなくなってしまいます。
団信の告知でウソをついたら・・・
――ここまで属性の審査についてお伺いしましたが、団信(団体信用生命保険)についてはいかがでしょうか? 審査自体は生命保険会社が行うということですが、これについてはどのようなオペレーションになっていますか?
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銀行員はお客様による申込みの前段階で、団信の告知書(病気の有無などをチェックする書類)に基づいて病歴や治療歴などをなるべく細かく書いてもらいます。もし告知事項があれば、銀行員の間では「告知事項あり」と表現されます。告知事項がなければ、告知書に「なし」と書いて終わりです。
告知事項があれば、私の勤める銀行では事前査定といって、その時点で大急ぎで幹事の保険会社に郵送するようにします。ケースによって通るか通らないかはさまざまで、1日~1週間程度の時間を要します。
――団信の審査で非承認だった場合には、ワイド団信で拾うのでしょうか?
そうですね。少しの病歴がある人でも広く対応してくれる団信もありますが、告知事項があるとわかったら、その時点でワイド団信の告知書も一緒にもらうようにしています。
――お互いにそのほうが安心ですよね。
ワイド団信は0.2~0.3%程度の金利の上乗せがありますが、その程度の違いよりも住宅ローン審査に通るかどうかのほうが重要なので、そのような流れになっていますね。
身体に関することですので、先ほどの「年収を盛る」といった話ではなく、本当に正直に言っていただければと思います。誰でも病気やケガはありますので、告知事項があるからといってダメというわけではありません。
中には、告知事項なしと伝えた人が亡くなり、実は病気があったことが判明して団信が適用されなかった例も経験しています。病歴については必ず調べられるので、団信に通らないかもしれないからと心配してウソをつくのは本当にやめてください。
――病歴がある人は、まず団信の審査を行い、それが通れば進めるとった流れも頭に入れておきましょう! 小林さんからはいろいろとお話を伺いましたが、正しく正確に申告することは本当に大切です。住宅ローンの新規借入・借り換えの際の参考にしていただければと思います!
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