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圧倒的に儲からない本屋

「本屋は止めといたほうがいい。」

書店を開業したいと思って各方面に相談し、幾度となく耳にした言葉。

「本はもう売れない」

出版業界に精通していなくてもイメージできるかと思います。

業界に携わっていない人からは斜陽産業だから厳しいと色々言われてきましたが、実は本屋さんからもあまりお勧めできないと言われました。

本は儲からない

業界を知らない人は「本は売れないから止めておけ」、業界人は「本は儲からないから止めておけ」と言うわけです。

なぜ本屋は儲からないのか、その大きな理由の一つが圧倒的に利益率が悪いからです。


大雑把ではありますが、定価1000円の本だと仕入れ値は800円ぐらいが一般的みたいです。

単純に考えると、この差額が利益になるので

定価1000円ー仕入れ値800円=利益200円 となります。


1冊の本を売って200円。

本屋のテナントは小規模なところでも40坪程度はあり、大型書店になれば100坪を超えるなんて当たり前です。

仮に一坪辺り1万円だとすれば、40坪のテナントで賃料は1ヶ月40万円。

40坪の店舗なのでそんなに人員もいないとは思いますが、わかりやすくするため正社員2人で回していると仮定します。

正社員2人がそれぞれ月給20万円とすると、合計40万円。

家賃40万円+人件費40万円=80万円 光熱費やその他の経費を抜いてもこれだけかかってきます。

80万円の利益を捻出しようとすると、一体何冊の本を売らなければならないのでしょうか?


必要経費80万円÷1冊辺りの利益200円=4000冊 と理論上の数字が出てきました。

トントンでは商売にならないので、少しでも儲けを出そうとするのなら上の計算だと1ヶ月に5000冊は必要でしょう。


週1回の定休日があって営業日25日で考えると

1ヶ月5000冊÷営業日25日=1日200冊 これだけ売れてようやく経営が成り立つ計算になります。


「1日200冊もどうやったら売れるの?」

人通りの多い、好立地のテナント。

それならまだ何とかなるような気もしますが、あくまで少し手狭な、それも坪単価1万円のテナントで計算してこの冊数がデッドラインです。


駅構内や駅近くは坪単価が跳ね上がり、敷地面積が広い大型店舗になれば書店員2人なんてことはありえません。

そうなれば1日200冊どころか、もっともっと本を売らなければ本屋は潰れてしまうのです。


本の種類によっても仕入れの掛け率は異なってきます。

しかし、上の例だけでいかに本屋の経営が難しいか、そして先人たちが書店開業を簡単にお勧めできないか、お分かりいただけましたでしょうか。


この記事を読んで本屋さんの経営難にご理解いただけた方、近くの本屋さん存続のために、是非書店で本を購入してもらえたら嬉しいです。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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