#私の転職体験

私は中学卒業後、私立高校に数ヶ月在籍した後、学校へは次第に行かなくなり、そのままのなり行きで調理場で朝から晩まで働くという人生をスタートした。
思えばそれが人生最初の転職であったかもしれないが、その時の本人は全くそんな意識はなく、ただ「学校という行きたくない所に行かなくて済んだ」と言うような安易な感覚だったと思う。
それから25年が経ち、間もなく40歳になろうとしているが、あの時と同様に調理場で働いている事に変わりはないが、雇われるのをそろそろやめて自分で事業を起こそうと考える日々が続いている。
さて、「私の転職」と言う題名なので、勿論転職についてお話しをするのだが、はじめに言える事は、僭越ながら私ほど転職に恵まれた人も調理師業界の中ではあまりいないのではないかという事である。
調理師というジャンルの中の「和食」というカテゴリーに属する私は、中学卒業してから40歳になるまでの役22年間(20歳〜23歳までの3年間はアパレルでの販売の仕事やバックパッカーとして日本にいなかった)をその仕事に没頭してきたのだが、実に多くの転職のお話をありがたくもいただいてきたように思う。
我々の業界での転職とは、いわば同じ職種でお店を変える。雇用主が変わる。働く調理場やメンバーが変わるという事を意味する。お給料を額面で提示され、お休みや、営業形態。転職先で自身が就任するお店の中での肩書きやポストなどを紹介者から聞かされ、今の職場よりも条件が良いかを先ず判断基準として考えていたように思う。
その大体が、職場の上司か職場に出入りしている業者の方々から伺っていた。
ここで厄介な事がある。
「勉強のため」と言う理由がつきまとう話の場合だ。職人の世界では当たり前と言われている考え方である、「勉強のため」。これは給与が下がろうが、通勤時間が延びようが、お休みが今より少ないなどの諸条件が悪く感じる案件にももちろん適用され、それでも転職をする覚悟をためされた若者が、「転職したい」と言う意思を紹介者に見せようものなら、自分の思うよりもはるかに早い段取りで話が進んでいき、気づいたら今勤めているお店を辞める事になっていた。なんて事も珍しくないからだ。
この場合は必ずしも目に見えるキャリアアップではなく、経験を増やす。勉強をさせてもらう。という意味での転職になると思う。そこで大事なことは、「転職をしたいと思っても転職をしないということもひとつの答え」ということ。本人が本当にハッピーであればいい事だ。だが必ずしもそうとは限らない。いま、貴方が貴方にとってタイミングでないのなら別に転職などする必要がない。しかし、貴方が少しでも環境を変えたいと思うなら、今いるところで自分が変わり、もしかしたらしたら環境が変わるかもしれない。そうすれば転職をせずとも慣れた環境で天職を得るかもしれない、ということだ。夢を本気で叶えるために自分の夢がなんなのかハッキリさせようと思う。



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