
【Vol.2】ライター中村洋太さんへのインタビュー
僕にライターコンサルをしてくださっている中村洋太さんに「インタビュー記事を書く際の心構え」についてインタビューをさせていただいた。今僕は未経験から代替の効かないインタビューライターを目指している。今回のインタビューコンサルもそのために中村さんにお願いしたことだ。その結果、得たものは予想以上で、今回聞いた話の内容があまりにも濃かったので、3部連載という形で記載することにしたのが本企画である。
▼インタビュイー
中村洋太 Yota Nakamura
自転車で世界1万キロ以上を走破したトラベルライターであり、会員数400万人を超すソーシャル経済メディア「NewsPicks」の週間Like数ランキングで、かつて総合1位を獲得。さらには朝日新聞デジタルでの紀行文の連載、ユニクロやソフトバンクのWebメディアでの執筆など、ライターとして数々の実績を持つ。
▼連載内容
Vol.1 インタビューの入り方
Vol.2 インタビューに入る前の準備 ← 本記事
Vol.3 ライター中村洋太さん
前回の記事はこちら
僕と同じく、「インタビューライターを目指す人」や「人の魅力を引き出す話の聞き方」の参考になれば嬉しい。
インタビュー時の写真について
インタビューの事前準備というのか、インタビュー以外のことで気になっていたのが「写真」だった。素敵なインタビュー記事は素敵な写真が添えられていて、なんとなくだが、いいインタビューといい写真はセットだと思っていた。
ちょうど11月中旬に仲良くしている飲食店の店長にインタビューをすることにもなっていたので、個人的に気になっていたことを聞いてみた。
「実は今度、お世話になっている地元の飲食店に好意でインタビューをさせていただくことになったのですが、写真ってどうすればいいのかなと思ってて…。今回のようにZoomだと写真は気にせずにできるのですが…。」
『写真に関しては僕は自分で撮りますね。時には一眼レフを持っていきます。でもそこまでこだわらなければスマホの写真でもいいと思います。ただ相手の方が、写真を気にする場合は事前に「良いお写真ありますか」と相談してデータをもらうのもいいと思いますよ。もし現場の写真にこだわるのであれば、撮影は関係性ができたインタビュー後に撮るのがおすすめです。その場合、前もって時間配分を伝えておくとよりいいですね。「インタビューは約1時間で、その後に15分程度でお写真を撮らせていただけたらと思います」と伝えておくのは相手への配慮として大事なことです。』
インタビュイーのための準備
当たり前だがインタビューはインタビュイーのために行う。Vol.1の記事でお伝えした通り、インタビューの入り方でもっとも大切なのは、相手が出来るだけ自然体でいられて話しやすい雰囲気を作ることだ。
ただ楽しい話をしていい雰囲気にすればいいわけじゃない。前述したように写真の撮り方や用意の仕方でも、相手のことを思った準備や事前にできることがある。全ては相手が「話しやすい」雰囲気を作るための準備だ。本題の中村さんが普段されているインタビュー前の準備について伺った。
「中村さんはインタビュー前にどんな準備をされていますか?」
『インタビュー前にしていることは「(改めて)相手がどんな方なのか」、「ここ最近の活動は何をされているのか」、「過去のインタビュー記事ではどんなことが書かれているか」、「どこを掘り下げれば他にはない面白いインタビュー記事が書けるか」など、質問を考えるための準備をしています。そうすることで、実際の現場ではアドリブもきかせられるようになります。とにかく相手をよく知るということを怠りません。』
『これは大事なことですが、相手のことを調べて終わりにせず実際にインタビュー現場で本人の口からその話を直接聞きましょう。準備の段階で相手のことは調べれば調べるほど、その人のことを知り詳しくなります。ですが外部から得た知識だけで書くのではなく、インタビューで本人の言葉を直接聞いて書くことで「これが欲しかった」という良い記事が書けます。事前に「どこの(何の)情報が欲しいか」をしっかりと持っておくことが重要ですね。』
予定調和7割・現場で生まれた情報3割
インタビューのために事前の準備が必要だということはなんとなくわかっていた。いや、正確にはわかっていたつもりになっていた。
相手のことを事前に調べる際も、何のために情報を集めるのかが明確でなければ、良い質問を作ることはできない。中村さんの話を聞き、インタビューで何の情報が欲しいかを明確にしておくことは、相手の魅力を引き出すためにもっとも大事な準備だと思った。
中村さんはさらにこんなことも教えてくださった。
『記事を作る時のシナリオを予め持っておくことです。シナリオを作る際にこういうテーマで構成するという筋書きを作ります。そしてそのテーマのために、どんな言葉を引き出したいかを固めておきましょう。僕はこの予定調和の割合がだいたい7割だと思っています。実際にインタビュー現場にて1対1で話すと「おっ!こんな話もあるんだ!」と初めて聞く内容もある、そしたら「その話もっと詳しく聞かせてもらっていいですか?」とちゃんとそこは深掘りする。それが3割ぐらいですね。だから予定調和が7割、インタビューの現場で生まれた面白い言葉やテーマが3割、。ベースとなるシナリオに「現場でインタビューしなきゃ生まれなかった話」を上手に盛り込みましょう。』
Vol.2を書き終えて
インタビュー前の準備について大事なリサーチは、
・(改めて)相手がどんな方なのか
・ここ最近の活動は何をされているのか
・過去のインタビュー記事ではどんなことが書かれているか
・どこを掘り下げれば他にはない面白いインタビュー記事が書けるか
この4点を基本としておさえておくべきだとわかった。インタビューに臨む時にはこの4点をおさえ、実際の現場で「どこの情報が欲しいか」を迷いなく聞けるようにしておくことが必要だ。
インタビューというのは相手の貴重な時間をいただいて行う仕事。今回僕がいただいた時間のように、大変貴重な時間を割いてくれている。これは相手が報酬を支払っていようと、いなかろうと関係なく忘れてはいけないことだと思う。
今回中村さんにお聞きしたインタビュー前の事前準備は、実際に先輩ライターが実践されている生きた情報だ。だからこそ、全ての話に現実味があり純粋にお手本にしようと思えた。
とても経験豊富で、行動力のある中村さんの話を聞いている内に、インタビューをしながら僕自身がとても気になることが出てきた。
「中村さんの行動力の源ってなんですか?」
インタビューライターとしての実績もたくさん作った中村さんの行動基準、その源を聞くことでより良いインタビューライターになれるかもしれない。
そう思って聞いてみた。
次回は中村さんの考えを深掘りする。