微生物を簡単に(ワイン、チーズ、日本酒周り)、及び真菌感染症、抗真菌薬について
ワイン、チーズ、日本酒周りの微生物を簡単にまとめてみようという話。
テストに出るくらいの深度でいいから大雑把にイメージで分類してみようという。
下で述べる大きな枠組みを抑えると、
sake diploma
ワインエキスパート
チーズプロフェッショナル
のそれぞれ一次試験対策をする上でちょっと役立つかも。あとブドウがなる病気もこの分類で分けると少し覚えやすくなるかも?
(ちなみにチープロの2次試験は落ちましたw)
先週呼吸器内科をまわったとき、一週間かけて真菌感染症、抗真菌薬を勉強していて、改めて真菌を整理してみようとなったのがきっかけ。最後、ノーベル生理学・医学賞受賞の大隅 良典先生の『酵母のすべて (系統,細胞から分子まで)』という本を図書館で手に取りかけたが思いとどまった。いつか読む(いつww)
(注)余談が長すぎて、結局何が言いたかったの?状態になっていることを否めません。自分で読み返してもイライラしてくる程なので、ご注意ください。(本論っていうところが一番重要です)
また、途中自虐ネタが極まってる箇所がございますが、お見逃し下さいませ。
その前に
自分のワイン、日本酒、チーズ歴を少し。
21歳の時にカナダのトロントで、WSET level2を取得しました。その後、日本ソムリエ協会認定ワインエキスパート、sake diploma、WSET level3を取得し、チーズプロフェッショナルの2次試験で不合格となりました笑。現在はまだ日本で100人ほどしかいないらしいWSET diplomaの取得を目指し、だらだらと勉強しています。チープロはちょっと、、笑、たぶん受かりません笑。
では本題
微生物の種類として、細菌、真菌、ウイルスという3つの分類を抑えるのが大事。
中でもウイルスが絡むのはぶどう樹がなる病気に関することだけだから、
細菌と真菌という二つを抑える。の中でもとにかく重要なのは真菌。
というか真菌の話がほとんど。
なのでまず真菌 fungi。(真菌真菌言い過ぎw )
真菌は大きく二つに別れる。
酵母様真菌(いわゆる酵母 yeast)
糸状菌(いわゆるカビ mold)
の二つ。
イメージは、表面が割と滑らかで少し光沢があるのは酵母、表面にカサカサして糸みたいなのが見えるのがカビ(パンカビをイメージ)。両方の性質を備えた2形性真菌ていうのもいるけど関係ない。(よく真菌=カビという括りが用いられるが、今回はカビ=糸状菌としての狭義のカビを用いる)
あと、ちなみにキノコ mushroomも真菌の仲間。フランス語でchampignonはカビも意味するらしい。関係ないけど白カビチーズで熟成が進んだものに対してシャンピニオンの香りというdescriptionがあるが、そのaroma compoundの方はどうなっているのでしょう?←知らん)
ちなみにこの見た目のイメージを押さえておくと役立つのはチープロの2次試験 tasting(落ちた身で何をwww)。
外皮が白いチーズは、その白さが白カビによるものなのか、酵母によるものなのか判別できる必要がある。つまり、酵母が形成した白い外皮を、これは白カビですって答えるとダメとのこと。多分、サン・マルスラン Saint-Marcellinとかはそこがポイントっぽい。ポイントはよく目を凝らしてみて、毛足があるかどうか。カビ(糸状菌)は胞子*をたくさんつけると肉眼で毛足が見える。毛足が見えない、つまり白カビじゃない方は熟成中に酵母が勝手に外皮を形成するもので、この白い外皮をジオトリカム Geotrichumという。
*カビは菌糸 hyphaと胞子 sporeからなる。菌糸がたくさん枝分かれしていって、先っぽに胞子をつける。この胞子が飛んでいって発芽してまた菌糸を伸ばして育っていくというlife cycle (図参照)。胞子といえば種麹。製麴(麹造り)作業の中で種切りといって、容器に種麹(通称もやし)を入れたものを振って、蒸米の上に胞子を投下する。動画↓(5:50~)で見たことある方も多いはず。
関係ないですけど、酒蔵に行った時のあの檜の匂い?とか展示用のスペースでよく流れてる蔵人の歌?的なやつ聞いてると、ものすごくこみあげてくる感情があるんですよね。。なんか、、いいですよねーーー。。
チープロ受かりたいよ〜〜(←関係ない)
はい、、ここでいきなり宣伝。自分のチーズの先生がチーズプロフェッショナル受験対策講座やってます↓。自分がHP作らせて頂いております。個人的に非常に良い講座だと思います。宜しければご検討くださいませ。もちろん私には一切お金入りませんw。
ブドウがなる病気
カビ(糸状菌)の形態の話になったので、もうさっそく、ブドウがなる病気に関して、糸状菌から。
というかすいません、今回は糸状菌だけ笑。他は深められそうなポイントが今んとこないです、、後で酵母様真菌のブレタノマイセスだけちょこっと触れます。
いわゆるブドウの三大病虫害のうち、フィロキセラ Phylloxera以外、
ベト病 Downy mildew
うどんこ病 Powdery mildew
の二つは糸状菌類によるもの。
mildrewってmoldと同じくカビという訳になるけど、この二つ、色で区別して使うっぽい(知らんかった、、参考はwikipediaです笑)
mildewは白色、普通部屋とかで見るような(見るか?笑)白いカビはmildewってことになる。確かにうどん粉は白いわ。
moldがそれ以外、つまりチーズの青カビとか後で述べる灰色カビ病 Gray moldとかは灰色と言ってるくらいでmold。
それぞれ、ベト病は葉の裏側とかにdownyな(まさにカビっぽいふわっとした)白い胞子、うどんこ病は果実とかに粉状の白い胞子がたくさん形成され覆われる。
ところで皆さんが最も気になっているのはやはり、限りなく存在する白い粉の中でなぜうどん粉だったのか、ということですよね。どなたかこれ、behind the scenesご存知の方いらっしゃらないですかねーー。。名付け親の思いとは?みたいな。。。はい。。
さて、、、灰色カビ病 Gray mold(or Gray rot)も糸状菌によるものですが、こちらは有名なBotrytis cinereaが病原菌なのでした。選ばれた環境(WSET level3でおなじみのdamp ~~, followed by dry ~~とかいうやつ)では逆に貴腐 Noble rotを形成してくれるんでしたね。level3を受験された方は、microscopic filamentsでgrape skinにpunctureが〜〜みたいなのも覚えたかと思いますが、このfilamentsがまさにさっき述べた菌糸 hyphaなのでした。この穴から午後水分が蒸発して色々凝縮されるんでしたね。
ちなみにこのカビはラッカーゼ laccaseという、フェノール類 phenolicsを酸化する酵素 enzymeを産生します(level4 D1で出てきます)。ワイン中のフェノール類というとアントシアニン anthocyaninとタンニン tannninでした。黒ブドウでアントシアニン色素が酸化されてしまうと赤ワインの着色不良を生じる(参照 : 日本ソムリエ協会教本)とのこと。また、このラッカーゼという酸化酵素は貴腐ワインにおいてSO2(酸化防止剤 anti-oxidant)の添加量を多くしないといけない要因の一つなのでした。(急に〜なのでした。構文が多くなるw)。以上、復習なのでした。
こっから余談!
このGray rotを防止するため、防カビ剤 fungicides(fungi 真菌 を-cide 殺すやつ)を使うが、ほとんどの抗生剤で起こるようにBotrytisの方も防カビ剤に対して耐性 resistanceを獲得するようになってくる。そこで注目されているのが、Botrytisをやっつけてくれる他の微生物に頼るというやり方(日本では微生物農薬とかいうらしい)。生物防除とも呼ばれるこの方法で、いわゆる拮抗微生物 antagonistic bacteriaとして使われるのは枯草菌 Bacillus subtilisという細菌。
枯草菌は実際、枯れ草とかにいて特に稲わらに多く存在しているらしい。
この枯草菌の一種が納豆菌 Bacillus subtilis natto!
ちょっと面白いのが、このBacillus属の細菌たちは芽胞 spore(真菌の胞子 sporeと同じだが、区別される)っていうのを形成するんです。これが納豆菌の強さの秘密で、加熱殺菌やアルコール消毒など通常の微生物が死滅するような環境でも、芽胞という状態で生き延びて、その環境を脱した後にまた発芽・増殖して一人勝ちするというとんだ生命力を持っているんです。この性質を利用したのが伝統的な納豆の製造方法で、前述した稲わらで大豆を包んで煮沸すると雑菌は死滅して納豆菌だけが生き残るので、好都合ということ。
この強さが逆に仇となるのが、酒造りにおいてでした。上述したように高温で洗浄してもアルコール消毒しても死なないので、一度汚染?されるとなかなか取り除けない。で、問題なのが、糸状菌である麹菌は納豆菌に負けてしまうので、結果的にスベリ麹というヌルヌルした麹ができてしまう。一麹、二酛、三造りの1がダメになってしまうわけです。
ちなみに、Bacillus subtilisは糸状菌類全てをやっつけるわけではなくて、相利共生関係(win-win)にある糸状菌もいるらしい。詳しくは→ 細菌は菌糸の「高速道路」を移動し「通行料」を払う を参照。めちゃくちゃ良いタイトルだなー笑。菌糸は高速道路にもなるんですねー笑。hypha highwayとか言って笑(寂しくなってくるわ)
ちなみに枯草菌は毒性はないかと思いきや、感染症例の報告が一応あるようです。
ところで、(←ちなみにって使い過ぎた)
チープロの勉強してると乳等省令っていう、乳やチーズに関して製造とか保存とか色々定めている法規があって、これがよく試験に出るので勉強しないといけないんですが、その中でポイントなのが、
リステリア・モノサイトゲネス Listeria monocytogenes。
チープロ受験された方はあーーってなったかもしれないが、これは細菌で、
ナチュラルチーズなど加熱殺菌されていないものでは1g当たり100以下
でないといけない、という風に基準が設定されている。
このリステリア、医師国家試験でもたまに出る(過去問があった)のだが、
免疫力の低下した人が感染すると稀に、髄膜炎 meningitisというかなり危険な疾患を引き起こす可能性があるので要注意というわけ。食中毒菌ということになってますが、消化管症状はあまり出ないんですね(嘔吐は起こるか、、)。初期はインフルエンザ様症状ってことになってます。高齢者や特に4ヶ月未満の乳児は注意しないといけない。妊婦さんも胎児が感染する可能性があるので、無殺菌乳製のチーズやミルクは避けた方がいいという。幸いなことにリステリアは加熱によって死滅します。75℃を数分らしいです(参考 : 株式会社 東邦微生物病研究所HP)。
この前USMLEという米国医師国家試験の勉強会で、
リステリアは感染経路としてどんなのが考えられますか、みたいな問題がちょうど出て、ingestion of unpasteurized milkという選択肢が正解でした。ちなみに症例は生後10日の新生児で発熱 febrileしてて不機嫌 irritable(←成人の場合頭痛なんだけど赤ちゃんは伝えられない)。髄液の培養でリステリアが生えたらしい。それで髄膜炎を引き起こす細菌には、上で述べたセフェム系が効くやつが多いのだが、リステリアにはペニシリン系のアンピシリンが効く。
要は何が言いたかったかというと、チープロの勉強してると他の勉強で役立つ事があるかも、、という、、(←なんでもそうだろ)(まあチープロ不合格だったんですけどね←自虐が止まらない)
また関係ない話なんですけど、「ワインの勉強してます」っていうとへーーっていう反応に大体なるんだけど、「チーズの勉強してたことがあって」って言うと大体、え??チーズ??って言って怪訝な顔されるんですよねー。世知辛い世の中だわ。
さらに言うと、「それで資格試験受けたんですけど落ちたんですよ!」って言うと爆笑されるんですねーー。。いやほんとチープロ難しいんだけどなー。まあ通学クラスで落ちたの僕だけだったんですけど。(ここら辺でやめてあげて、、、)
つらっ。
酵母とカビ
話戻ります。それぞれ関係あるのを先に列挙しとくと、
酵母は、
ワイン酵母、パン酵母、清酒酵母とか。全部 Saccharomyces cerevisiaeの一種。Saccharomycesを英語で直訳するとsugar fungus(要は糖を代謝する真菌)、cerevisiaeはビールという意味らしい(デンマークのハンセンがビール中で初めて、アルコール発酵の要因としての酵母を単離した)。
~mycesというと思いつくのが、ブレタノマイセス Brettanomyces(いわゆるBrettの原因となる)。これも酵母で、馬小屋みたいなoff-flavourにつながる可能性があるんでした。バローロとかで穏やかに感じられた場合には、contribute to complexityとしてポジティブに捉えられることもあるのでした。
ちなみにS.cerevisiaeは清酒・焼酎グループとパン・ワイン等グループにだいたい分けられるというのがSake diploma一次で出題される。(清酒酵母は、ワイン・パン酵母より焼酎・泡盛の酵母の方にDNA解析上近いよってことらしい、、まあそうなんじゃない?w)
#ソムリエ教会教本の酵母菌株の類縁関係の表っていうのを参照
補足(WSET絡み) : ワイン酵母のポイントは三つ
・low PH(high acidity)
・increasing alcohol level
・relatively high dose of SO2
にresistantであること。(流石にちょっと話がずれてきた)
カビは、
日本酒醸造における黄麹菌とか焼酎製造における黒麹菌、白麹菌とかのアスペルギルス属 Aspergillus(別名コウジカビとか呼ばれる)、
チーズの青カビ、白カビとかのペニシリウム属 Penicillium(いわゆる青カビ)。
ちなみにPenicillium属には、あの「もやしもん」で二年生達が培養して儲けようと一瞬企むP.クリソゲナムがいて、こいつからペニシリン Penicillinを見つけたのがフレミング。これがいわゆる抗菌薬とか抗生物質と呼ばれ、細菌を殺す(真菌にとっては細菌はライバル、的なイメージ)(抗菌薬はウイルスには効かない)(ペニシリンの発見以前にも抗菌薬は存在していたが、、←細かい💢)
(余談の極み)抗菌薬の話が出たので、抗生物質とか抗生剤 antibioticsって何?という話
(これでsake diplomaと医学の橋渡しをしたいというただの自己満w)
後半ちょっとsake diploma関係あるけど、ほんとに関係ないので読み飛ばしてください(そもそも誰もここまで読んでいない)
抗菌薬、抗生物質、抗生剤はほとんど同じ意味として捉えてよくて、感染症を引き起こす悪い微生物に対して、別の微生物が自己防衛のために造っている物質(抗生物質)(微生物同士も戦っている)を使って退治するという手法を人間は用いてきた。ノーベル生理・医学賞受賞の大村智先生の言い回しを拝借すれば「微生物の力を借りた」ということになる。大村先生は放線菌 Actinomycetesという細菌からエバーメクチン Avermectinという抗寄生虫抗生物質を見つけ、これから作られたイベルメクチン Ivermectinという現在コロナ界隈をいろんな意味で騒がしているお薬が、特に熱帯地域の河川で流行していたオンコセルカ症 Onchocerciasis(盲目 river blindnessを引き起こす)、およびリンパ系フィラリア症 Lymphatic filariasis (elephantiasis)に対して著効したことによってノーベル症を受賞された。
(関係ないけど、東医体とかいう貧弱の医学生同士が競い合う大会で北里大学を一回訪れたことがあるが、これが私立かっていうくらい校舎が綺麗すぎて度肝を抜いたのを今でも覚えている、、)
が、その前に大村先生は実は、日本酒と非常に関わりが深いあの抗生物質を発見されている、、、それがなんとsake diplomaでお馴染みのセルレニン cerulenin 。。セルレニンってCephalosporium caerulensという真菌から発見されたこれまた抗生物質だったんですねーー(知らんかった、、)
ん??Cephalosporium??そうです、セファロスポリンです(無視してください。抗菌薬で最初に習うのがペニシリン系とセファロスポリン(セフェム系)の二つです)。セフェム系はCephalosporium acremoniumという真菌から発見されました。ちなみに第2世代セフェムのセフメタゾール、いわゆるセフメタはセファマイシン系と言って、セフェム系とされてるくせにStreptomyces lactamduransというストレプトマイセス属(さっき出てきた放線菌の一種)から見つかった。この放線菌ってカビみたいな細菌(細菌なのに菌糸を作る)で、なかなかよく聞く機会がある。というのも同じストレプトマイセス属から見つかったストレプトマイシンは初めて結核 tuberculosisに対して有効性を示した。
他にも免疫阻害薬であるタクロリムスなど放線菌、特にストレプトマイセス属には人類は本当にお世話になってるんですねー。(この話全く関係ないですよね? by ひろゆき)
まだあります。。。チープロの皆さん。忘れてはならないのが。
ナタマイシンです。食品添加物の中でも製造用剤に分類されておりました。カビの発生を防ぐための表面処理として、と使用目的が限定されていますが、非加熱圧搾タイプ、例えばゴーダとかのコーティング剤に含まれていたりするようです。こちらはStreptomyces natalensisから生成されます。あくまで表面処理という目的で使用が許可されており、浸透圧が低いので表面に残存するようです。それで外皮にカビが生えやすいチーズに特に使われるようです。実際、使用最大量もEUでは、表面5mm以下の深さで、というふうに表面の厚さで決められています。
ただ、このナタマイシン。食品に抗生物質を添加するというイメージに対する反対の声があり、2005年に日本で初めて使用が許可された時には色々な声があったようです。なんと食品添加物として抗生物質が認可される初めてのケースだったようですね。
さて、放線菌に大変お世話になってますという話が続きましたが、今度は逆。
放線菌が原因となる病気があるんです。
過敏性肺炎 Hypersensitivity pneumonitis(HP)という病気があって(後述します)、これはある環境抗原 environmental antigenに反応(アレルギー反応の一種)して間質性肺炎 interstitial pneumoniaが起きるという病気なんですが、このHP。抗原別に分類した時、一番多いのが後でいう真菌のトリコスポロンで、次に多いのが好熱性放線菌という放線菌の一種、の胞子らしい。好熱性放線菌、、、なんかサイロの乾草に冬の間繁殖するらしいです、、で、この放線菌を抗原とするHPを農夫肺 Farmer's lungといって、日本では東北や北海道の酪農家の方にたまに見られるようです。というか、本州以南は一年中飼料確保できるくらい暖かいからサイロ必要ないんですね、、初めて知った、、
うーーーん、、
サイレージの管理って生産者に対しての健康的影響も考えないといけないんですね、、長期熟成型のハードチーズの熟成中に異常発酵を起こすリスクがあるから酪酸菌に気を付けないと、みたいなのはチープロでやりましたが、、
とまあ、放線菌にも悪い奴はいるよ(そりゃそうだろ)という話でした。一応、酪農家とかサイレージとか、チープロにちょっと関係あるんじゃないかと、、、(絶対でません)、、はい。
ちなみに、Bacillus属とか、さっき無理やり登場させたListeria属とか、ほぼカビ扱いされてる放線菌のActinomyces属とか、これら全部グラム陽性桿菌といって感染症的にいうとマイナーな分類に属するのはなんかの偶然なんでしょうか?
うーーーん、保留w
話は戻って、
セルレニンって脂肪酸合成酵素 fatty acid synthaseを阻害することで他の真菌を退治するという、いわゆる抗カビ性の抗生物質として発見されたのだが、エバーメクチンとは違って人体への副作用もすごかったため医薬品とはなれなかったという。だが、sake diplomaでお馴染みのカプロン酸エチル高生産性酵母、いわゆる香り酵母の発見につながった。仕込みの中で、脂肪酸合成を阻害するセルレニンに耐性のある酵母のみをselectionしたところ、カプロン酸エチルの濃度が上昇したという。大雑把にいうと、脂肪酸合成というのはエネルギーを貯蔵する工程のことで長い脂肪酸の鎖(Cが16個とか)を本来作っていくのだが、これが阻害されてカプロン酸(カプロン酸エチルの前駆)のような短い鎖(Cが6個)ができる、みたいなイメージでとりあえずは。(詳しくは→jstage)
とにかく、セルレニン耐性酵母によって吟醸香(カプロン酸エチルの場合、熟れたリンゴの香とか言われる)を放つ日本酒が醸造されるようになった。香り酵母が全国に普及し始めたのは1990年代中期ころで長野県の「アルプス酵母」が広く使われた。ちなみにさっき言ったカプロン酸が一緒にたくさんできるんだけど、これは逆に良くない香で、乾いた雑巾みたいな香みたいに感じるとどなたかおっしゃっていたが、長期保存した時にこのカプロン酸のコントロールが当時は難しかったみたい。熟れたリンゴと乾いた雑巾(ほこり臭?)って紙一重なんですかねー。。
大村先生は昔、山梨大学工学部発酵生産学科の研究室に所属していたようで、ワインのアルコール発酵から微生物に魅せられたという。びっくりですねーーー。
(参照 : 大村智先生のBiographyによる)
余談は以上。
本論
んー。たぶんこのセクションだけで良かったような、、簡潔化すると、とにかく覚えるべきは、
酵母 : アルコール発酵(糖 → アルコール + CO2)を担う
カビ : 酵素 enzymeというタンパク質を産生していろんなものを分解する
この2点。
これさえ整理しとけばいい気がする。(酵母も酵素を産生するし、それがチープロでポイントとなったりするが今回は省く)(えっ?チープ、、←しつこい)
カビのいろんなものを分解と言うのは、
基本的に3大栄養素の炭水化物・脂質・タンパク質で、それぞれ分解されると↓
では、具体的にそれぞれ。
例えばチーズの白カビ(Penicillium Camembertiとか)は、たんぱく質分解酵素を産生することで、外皮の方からタンパク質を分解して柔らかくしていったり、分解の過程でアンモニアを産生することで独特な風味を作り出したりする。他、たんぱく質分解の例でいうと上で述べた納豆菌もそうで、納豆菌の酵素が大豆中のタンパク質を分解してアミノ酸にすることでうま味がアップする(納豆に旨味感じたことあまりないんですが)。
脂質分解酵素の例は、チーズの青カビ(Penicillium roquefortiとか)とか。青カビが産生する酵素によって脂肪酸が産生されパイナップルみたいな青カビ特有の風味を作り出している。
炭水化物分解酵素の例は、日本酒造りにおける麹(主に黄麹)。醤油とか酵素を産生して蒸米のデンプンを分解してブドウ糖にして、アルコール発酵の原料を作ってくれる。
この麹菌、日本酒だけでなく、味噌や醤油とか広く発酵食品を生み出してきてくれたが、全て先ほど述べたアスペルギルス属のアスペルギルス ・オリゼー A.oryzaeというやつ。もやしもんの裏の主人公らしい。
疲れた。そういえばチープロの2次試験ってなんで平日なんだろ。
真菌症 Mycoses
(いきなり余談)ちなみに'myco-'がrelating to fungi(真菌)を意味することは既に述べたが、Mycoplasma pneumoniae (typicalなatypical pneumoniaの起因菌笑) は最初真菌であると勘違いされていたことに由来する。
それでは、ここからは裏テーマである真菌感染症、抗真菌薬の話。
こちらもやはり、酵母様真菌と糸状菌という分類で理解する。が、もう一つ軸を用意して、疾患がよりcommonかどうか(としかちょっと言いようがない)という基準で真菌感染症を二つに大別したい。(←ここは完全に恣意的な分類です。)(表現が稚拙すぎるが今回はここで妥協)。
ということで、よりcommonな(通常かかり得る←また語弊が生まれる)疾患からスタート。3つだけ挙げたい。
・白癬
・脂漏性湿疹
・夏型過敏性肺炎
では糸状菌の方から。
真菌といえば圧倒的これ。超common disease。
その名も白癬 Tinea。菌名もそのまま白癬菌 Trichophyton、別名、皮膚糸状菌 dermatophytes とも呼ばれるこの菌は皮膚の最外層のケラチンというprotein、いわゆる角質を餌にするという。これが足にできると足白癬 Tinea pedis、通称水虫 Athlete's foot。爪に感染すると爪白癬 Tinea unguiumで、こちらはなんと日本人に10人に1人もいるらしい。水虫の方は季節で変動する(夏に増加する)が、爪白癬より患者数が多いので、本当に有病率が高い。あと、白癬って野良犬、野良猫とかもかかってる場合が多いみたいな、、(なんかyoutubeで見たことあるような、、ソースがww)
糸状菌は白癬だけにして、今度は酵母様真菌、が起こし得るcommon diseaseを2つ。脂漏性湿疹と夏型過敏性肺炎。
脂漏性湿疹or脂漏性皮膚炎 Seborrheic dermatitis。こちらはMalassezia sppという酵母様真菌が原因とされていますが、詳しくはわかっていない様です。頭皮とか顔面など皮脂腺 sebaceous glandsが多くある部位にできます。症状が頭皮に出てフケとか痒みを生じるとフケ症といわれます。マラセチアが皮脂 sebumを栄養源とするようです。(innisfreeからNO-SEBUMという化粧品が出ています↓、、知らんけどw)。
夏型過敏性肺炎。さっき出てきましたね。Hypersensitivity pneumonitisで一番多いやつです。起因菌はトリコスポロンという酵母様真菌。日本では木造家屋が多かったことで、風通しが悪く高温多湿な環境を好むトリコスポロンが夏に繁殖しHPを引き起こします。Ⅲ/Ⅳ型アレルギーが関与します。
以上、比較的commonな真菌感染症3つを抑えたら、後はいわゆる通常の真菌感染症の話に移る。通常の、とはつまり、一般的にmycoseというのは日和見感染 opportunistic infectionといって、何らかの理由で免疫力の低下した患者さん compromised hostに起こるものである。そして、その原因菌はほとんどの場合、皮膚などに存在する常在菌である。後述するアレルギー性の疾患を除けば、真菌感染症に罹患することは基本的にほとんどないということ。
それを抑えた上で、引き続き糸状菌から。
アスペルギルス・フミガタス Aspergillus fumigatus。先ほど登場したAspergillus属でも、人間がお世話になってきたA.oryzaeとは違う。
と、ここで疲れたのでまた近いうち更新します。笑
要所要所にチープロへの思いをふんだんに詰め込んだつもりです。詰め込みすぎて、ブリア・サヴァラン並みの重厚感が出すぎてしまっていたら、1チーズファンとして謝りたく存じ上げます。(←まずこういうこと言うのやめた方がいいよ、😐ドン引きだわ)
申し訳ございませんでした。
えーーー、ワイン検定ブロンズクラス講師やっております笑
よかったらぜひ〜〜、、、
ここまでの説明読んで受講したいって方おらんやろ笑
炭素廟、つる枯れ病