ほんとうの豊かさとは
昭和31年、今の広島空港に近い集落で生まれた。
小学生の頃に一度父親と行った記憶があ る。そこは細い山道の傍らにせせらぎがあった。父は終戦の直前にこの地で原子爆弾を投下した エノラゲイを目撃したと言っていた。
日本の戦争に敗れてからの復興ぶりは目を見張るものがあり、多くの人は脇目も振らず働いた。 目指すものは何だったのか、いつか楽になれる。明日は美味いものが食べられる。家族のため に、の一心だったのだろう。裸電球一つで大方の家庭が貧乏だったが心は豊かだった。
世界で最 も幸福と言われているブータン王国がテレビで紹介されていた。そこには戦前の日本を思い起こさせる光景が広がっていてほんわかとした様子が伝わってくる。
東京、神奈川、千葉の京葉浜地域ではおよそ16年前に人口が1600万人を超えたと聞いた。人 口が一極集中し世界一の大都市となったが幸福度は向上しているのか。
首都圏では毎日のようにどこかで 人身事故のよる電車遅延が発生している。京浜急行で横浜から東京の日本橋まで通勤していたのだが、ホームの端にブルーのLED照明が設けられている。自殺抑制効果がある のだそうだ。
毎年自殺者は3万人ほど報告されているが行方不明者と自殺かどうか判断しかねるのを合わせると10万人以上にもなると言う。
都市の人口過密。何でもかんでも規則規則。またその規則を破るタワケ者 も目に余る。
自由度が低下し、あらゆる行動に厳しさを増す。本当にこれでいいんだろうか。少し くらいは緩めても良いではないか。
自分の孫が保育所に入れないと行政はどうなってるんだと文句を言う。近所に保育所を造るというと猛反対する。それこそどうなってるんだ。人口が増え続けていた当時はルール作りも必要不可欠だろうが、人口減少が進む今は逆にルールを解除していくのはどうか。本当の豊かさを求めるためにも