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HALはALSの福音になるか
自分の意思に合わせて、下肢の動きをアシストする装着型サイボーグです。Hybrid Assist Limbの頭文字をとってHALと言い、国も多額の研究費をだしました。脳梗塞や下肢切断だけでなく、ALSをはじめ、神経難病にも保険適応があります。個人で使えるのか、調べてみました。
日本神経治療学会が発表している、適正使用ガイドです。医療保険が通ると、発表されるものです。
https://www.jsnt.gr.jp/img/hal.pdf
内容は、治験の結果、使うための条件です。国が保険適応になるか(税金を投入するか)決める前に患者で試すことを、治験と言います。適正使用ガイドに沿わないと、医者にはペナルティーが科せられます。長い文章ですが、適応の項目と施設基準を読むと、個人では使えないことが分かりました。
まず治験にエントリーした患者の内訳です。ALSは1例しかありません。筋ジスの患者さんが多いですね。でも治療効果があったのは、筋肉疾患よりも神経難病のALSら患者です。だからALSにも保険適応になりました。
患者の健康状態に制限があります。10mの距離を自分で歩けないが、介助か補装具を使えば10m以上歩ける人に限られます。この条件で治験をしたので、保険で認められるのは、「10mを自分で歩けない人」になりました。しかも介助が必要なので、HALを使うためには、4時間の安全講習を受けた医師、看護師か理学療法士が必要です。使う場所も、認可を得た施設に限られます。要するに、HALを購入した個人病院のリハビリ室で、医師の立ち会いの元、リハビリを行う時にだけ、保険適応になるという意味です。自宅には持ってゆけません。そもそも重くて、介助なしに1人では装着できなそうです。
多くの個人病院に導入されています。公的病院には少ないです。初期投資をして、「リハビリに力をいれている病院」宣伝するための、広告塔の使われ方とも言えます。
https://www.kyototakeda.jp/department/rehabilicenter/pdf/pdf_hal_01.pdf
製造販売している筑波の会社は、腰タイプ、単関節タイプの「レンタル」に力をいれています。保険適応ではなく、医者を介さずに患者個人と結ぶ契約です。ここに、ALSは入っていません。
または、介護施設で老人の上げ下げで腰を悪くする職員のために、レンタルもできます。これは患者さんでなく、介護するほうの人に使います。
ALSの生涯を考えると、杖つかって歩ける時期(数年)、10m歩くのが困難になって(数ヶ月)、そして電動車椅子(数年から10年)になります。数ヶ月のために、HALを導入するかというと、高額すぎて、ちょっと無理です。補装具としては、HALは認められていません。個人で購入するかレンタルで高額です。「補う道具」でなく、HALは「治療器」ですから。
電動車椅子は補装具として認められていて、100万円も補助されます。もっと高額な高機能製品を選んでも、補助からはみ出る差額を自分で出して購入できます。少し早めに、電動車椅子を準備するのが良いと、私は考えます。
https://www.mhlw.go.jp/content/12200000/000957689.pdf
補装具の代金は税金投入です。耳鼻科では、補聴器購入のために、よく申請します。補聴器はたったの5万円ですが、1度補助を使うと、その次は5年たたないと、市町村はお金を出してくれません。老人は補聴器をよく紛失するので、1年後にもう1度買う人もいます。しかし、市町村の「税金の使い道を考える会議」で、「この間あげたばかり」と却下されます。なくしたら自費で買い直しています。100万円の電動車椅子の補助金なら、生涯に1度しか使えないと思うので、よく考えて、早いうちに機種を選定するべきです。