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最高の語学学習パートナー
語学は実際に誰かを相手にして話す練習を積めば上達が早くなる。でも最初は自信がなくて不安だし緊張するし、恥ずかしさもあってなかなか難しい。そういう時、動物と暮らしている人はその動物に話しかければいい。話半分で適当に聞き流してくれるし、会話の流れもこちらの好きにさせてくれる。 pic.twitter.com/UJdjhu8gE5
— タカサカモト@Footlingual (@grantottorino) June 3, 2021
高校時代、世界史の勉強を犬に手伝ってもらったことがあります。
当時使っていた参考書を飼い犬のコマ(柴犬系の雑種)に向かって読み聞かせ、途中「わかる?」と確認したり問題を出したりしながら、授業みたいな感覚で熱心に語りかけていたのです。もちろんコマの方はほとんど聞いちゃいなかったですが、もはや犬の散歩中すら勉強しないと受験に間に合わなそうだった高3の頃、実際にこの方法で何度か彼に「授業」を行いました。
今思うと多少クレイジーな光景だったかもしれませんが、同じ教科書を読むにしても、一人で黙々と読むより、あるいは誰にともなくただ読み上げるより、目の前の相手に説明する意識で読み聞かせることで、内容が頭にしっかり残っていく感覚がありました。
というような過去の経験も手伝って、自分が語学を教える際に、一緒に暮らしている動物を学習パートナーに採用するという方法をしばしばオススメしています。
語学学習においては、「覚えたフレーズはどんどん使おう!」「恥ずかしがらずにどんどん話そう!」みたいなことがよく言われます。まあ、完全に正しい考え方なのですが、じゃあ誰もが即座にそれを実行しまくれるかといえば、決してそんなことはないのが現実です。皆が身近な話し相手に恵まれているとは限りませんし、仮にいたとしても、恥ずかしかったり緊張したり、あるいは単純に練習不足だったりして、実際に相手を目の前にしたらうまく言葉が出てこなかったりするものです。
実際の会話をイメージしながら独り言で練習する、というのも普通にオススメしている方法ですが、それはそれでやるとしても、やはり誰かを相手に話す練習は絶対に積んだ方がいい。でもいきなり人間を相手にフリートークでは自分の語彙や表現力も足りないし、何より相手の話を聴き取れない。何とか聴き取れたとしても、すぐに言葉を返す瞬発力はまだまだ足りない。
そんな悩みを抱えている人は決して少なくないと思います。
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で、そういうジレンマに対し、まさに絶妙な存在として助けになってくれるのが、一緒に暮らしている動物達なのです。(動物がいなければ植物や、あるいはお気に入りのぬいぐるみに手伝ってもらいます)
というのも、犬であれ猫であれ他の動物であれ、基本的にそこまで忙しくないはずなので相手の時間を奪ってしまう心配は要りませんし(むしろ近くで一緒に過ごすことを喜んでくれる)、こちらの話も大抵は適当に聞き流してくれるので、気軽に話しかけられます。食事中や熟睡中に話しかけるような失礼な真似さえしなければ大抵はのんびり付き合ってくれて、もし途中で飽きたり嫌になった時にはこちらに遠慮せず席を立って離れていくので、逆に余計な気を遣わなくて済みます。
何より、こちらの発音が下手だとか文法が変だとか言い間違えたとか、そういうことを彼らは一切気にしないので、話しかける側が恥ずかしがったり緊張したりする理由そのものが完全に消失します。
同じ話を何度してもまず嫌がられませんし、相手の返答次第で自分が次に用意していた言いたいことを続けられなくなる心配も不要です。
まさに完璧な学習パートナーです。
というわけで、僕も一緒に暮らしている猫のソフィーに韓国語で話しかけたりしますし、学習者の皆さんにもそれぞれ学んでいる言語で実際にやってもらったりしています。
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例えばサッカー界きっての愛犬家である原口元気選手に英語を教え始めた時も、レッスン中によく画面に映り込んでくるラブラドール達がいたので、会話の練習パートナーとして契約することをお勧めし、実践してもらいました。
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(注:写真はそれっぽいのを僕が勝手に選んだだけです。ちなみに原口選手は普段ドイツ語でワンちゃん達に話しかけていて、彼らもそれをちゃんと理解して従っている様子。すげえ)
というわけで、「会話の練習パートナーは必要だが人間相手のフリートークはまだ難しい!恥ずかしい!緊張する!何だか申し訳ない!」と感じている皆さんは是非、共に暮らす動物たち(もしくは植物や仲良しのぬいぐるみ)を相手に、肩の力を抜いて、彼らとのコミュニケーションを楽しみながら、ミスも気にせず、どんどん練習を積んでみてください(そしてよかったら時々、時間や上達のお礼におやつなど食べさせてあげてください)。
語学習得の道のりは長いので、あまり疲れすぎないようにリラックスして力を伸ばしていきましょう。
それではまた。
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