鳥の声、水の音、そして私はなにも言わずに立ち去る。
チュン、チュン……。
ピィ、ピッ、ピーッ……。
朝の公園のほとりで、冷たいベンチに腰掛ける私の耳を楽しませるのは、小鳥のさえずり。
ピ、ピピピ……。
ピチチ、チッチ、キーッ……。
鳥の種類までは分からない、しかしいろんな鳴き声が、聞こえてくる。
ピュイ、ピュイ、ピュピュピュピュピュ……。
ピー、ホー、ピュルルルルル……。
歌を奏でるというよりは、朝が来たことを空の住人同士で確認しあっているような、声。
カア、カア、カア……。
曇り空の遠くで響いているのは、カラスの声だな。
ンガー!
ガー!!
ゴゲー!!!
ギャー!!!
近くで響いているのも、カラスの声だな。
くるっく、くーくーくっくー……。
テンションの低い、地面を這うような声の持ち主は、鳩か。
ジャン、バシャン、バチャチャッ……!!
四万平方メートルもある大きな池のど真ん中に、鳥が舞い降りた。
チャプ…チャプ……。
耳を澄ませば水面をゆくカモたちの足音が心を和ませ、目を向ければ優雅に進む姿に癒され。
ブルルッ、ガブッ、バシャ、バシャッ……!!!
餌を探すサギが、水の中に顔を突っ込んで騒がしく音を立てた。
ポクン、プクッ……。
小さな水泡がひとつふたつ浮き上がって割れた音は…亀の浮き上がった音かな?
さ――――……。
小さな音に気がついてしまうと、浄水所の水の流れる音まで気になってしまうな。
とく、とく、とく、とく……。
段差のある池だからか、水が移動する音がずいぶん聞こえる。
ちゃぷん!
……魚の跳ねた音かな?
確かここはヘラブナが釣れるだの、ブラックバスがいるだの、聞いたことがあるような。
ひんよよひんよよ、ひよひよ、ぷるる……。
……この音は、なんだろう。
ちょっと聞いたことのない音だ。
…誰かがスマホでも落として、アラームでもなってるのかしらん。
私は座っていたベンチから立ち上がり、音の出所を探ろうと、池のほとりに近づく。
ひんよよひんよよ、ひよひよ、ぷるる~!!
一歩踏み出すたびに近くなる、不可解な音。
ひんよよひんよよ~~?
ひよ~~~~!
ひよ~~~!
ぷるる~!
聞いたことのない、音なのか波動なのか振動なのか…まったく見当もつかない…電波?
……なんだ、これは。
いぶかしげに、池の周りに生えているアベリアの向こう側を、そっとのぞきこむ……。
ひんよよ~!!
ひんよ~~?!
よ、ひよ~~~~☆
ひよ、ぷるる……。
ひんよよ~~?!
ひんよよ~、ひよひよ~、ぷるる~!!
……。
ひんよよ!!
ひんよ~!!
…………。
銀色ににぶく光る、見たことのない物体など、私は、見ていない!!!!
ぬめぬめとした、一見粘液質に見えない事もないおかしなひも状の物体など、私は見てませんってば!!
……ハイ、休憩は終わり!!
う~ん、しまった、ちょっとベンチでマッタリしすぎたわ!
さーて、ウォーキングの、続き、続き!
続き、続きをぉおおおおおお!!
~!!
~~?!
~~~~☆
ひんよよひんよよ、ひよひよ、ぷるる……。
~~?!
~~~!!
ひんよよひんよよ、ひよひよ、ぷるる……。
ひんよよひんよ~!!
……しゅばっ!!!
……ウォーキングコースを歩き始めた私の目の端っこに、眩しい光を感じたような気もするけど、うん、今日はいい天気だからね!!!
ぽつ、ぽつ……。
おかしいな!!!
いい天気のはずなのに、空は曇ってるし雨が降ってきやがった、ねえこれなんて天変地異!!!
ひんよ――――――――――!!!!
ああ、どこかで鳥が鳴いてますね、何の鳥かはわかりませんけど!!
ヂュン?!ヂュンッ!!!
ビィっ?!ビッ!!ピーッ!!!
ビィ!ビ、ビビビビ!!!
ビチチッ?!
ヂッヂビーッ!!!
ビュイ?!
ビュイィイイイイイイイ!!!
ビー?!
ボォー!!
ブュルルルルル!!!
ガガア?!
ンガア!!!
ゲー!!!
ンゴガー?!
ガー!!
ゴゲギャア!!!
ぐぐるっく?!
ぐごー!!
むーむー!!!
ジャバン!!
バチャン!!
ボババチャチャッ!!!
ザブ!!
ザザブン!!
ブルルッガブッ?!
ドバッシャ!!
バシャ!!!
ドブン!!
グボゴォッ!!!
ザーーーーーーーーーーー!!!
どぶどぶどぶどぶどぶどぶどぶ!!!
どぼんっ!!!
あらあら、本日のお池の周辺はずいぶんさわがしゅうございますわね、ウフフ!!!
私は、雨がひどくなる前に、駆け足で家に向かったということです…。
いやあ、お天気雨ってわりと怖いね!!!