頭の中【創作者である私の混沌】
「おい、俺を書け。」
「いいや、今日こそ僕を書いてもらおう。」
「何言ってんだい、私の番だよ。」
「いやいやいやいや…今日こそ僕だな!」
「「「いいや私だ!!」」」
「「「俺だよ!!」」」
ああー。
今日もずいぶん頭の中がうるさいな。
私の頭の中で、物語の欠片どもが騒がしいのなんの。
皆口々に自分という物語を書けとはやし立てている。
あのね。
物語は1個づつしか書けないんだってば。
混じったらわけわかんない物語になっちゃうじゃん。
今厳選してんだからさ、ちょっとは落ち着け。
このところ魂系が幅利かせてたから、そろそろ現実系行くか…?
いやしかしこのところ現実系もやや魂系に引っ張られててだね。
この前は短い話を繋げたら微妙に一本の話としてつながり悪くてだね。
「短いのは短いまんま仕上げたらよかったんだよ。無理すっから違和感が出るのさ。」
そうだねえ、このところつらつらと言いたい言葉繋げる方式取ってたからなあ。
物語を書くことを主軸としないとだめなのに、魅せる文章ばかり書こうと必死になっちゃって自爆してたもんなあ。
物語を書かなきゃいけないのに、文章を書くようになっちゃあ、おしまいよ。
私の中の美学は、ちゃんと物語になっているものを発表すると言うこと。
私は、多少…いや、ずいぶんみっともなくてもいいから、物語を書くと決めている。
「じゃあさ、そろそろ私を書いてみませんか。」
むむ、この物語は…。ずいぶん昔の、壮大なやつじゃん。
頭の中で広がりすぎて、どうにも収拾がつかなくなってるやつだ。
こいつの中のキャラクターが単品で飛び出して…勝手に物語を生み出すくらいこんがらがってるんだよねえ。
悩むな…。
長い話は一気に書き上げることができないからな。
非常に飽きっぽい私にとって、長編を書くという事はかなりの集中力をね?
いや、集中力はたぶん大丈夫なんだよ、結構没頭するとひたすら書くタイプだから。
ただ、短編が書けなくなるというか、増えていくというか。
もともとすぐに思考が横道にそれるタイプでね、1個の話が生まれたらすぐに小さな物語の芽が生まれちゃってどんどん頭の中に溜まっていっちゃうのさ。
毎日物語を発表し続けると決めたあの日から、毎日頭の中の物語を文字にして発表し続けてきたんだけれども。
頭の中の物語が減っていかないんだよねえ。
おかしいぞ、頭の中が全然すっきりしてこない。
むしろ発表前よりも増えているのでは?
こんな状態で長編に手を出したら、間違いなく頭の中が今以上に大混乱するに違いない。
「細かいのをどんどん出していった方がすっきりするんだって!」
たしかに。
細かいのをざぶざぶ仕上げて、頭の中をスッキリさせる方が効率良さそうだ。
細かいのを全部出し切ってスッキリしたところで長編に取り掛かって…。
「そんなこと言って!!長編を短編にして発表したやつだって何本もあるじゃん!!」
「あれはもう別作品化してるだろ!!」
…長編をさっくり縮めて短編にしてもスッキリするか。
そういえば長編のボリュームを押さえて濃縮したのも、けっこう書いてるな。
でも、長編は長編として書かれたいと願うもんなんじゃあるまいか。
「頭の中に埋もれる方が嫌だよ!!」
「頭ン中で残ってるならいざ知らず、いきなり希薄になって消える可能性もあるんだ!」
「消える前にかいてもらわなきゃ困る!!!」
おうふ。
めっちゃ怒られてるよ!!
一応思いついた時点で文字にしてメモってるから忘れることはないと思われる…。
「嘘つけ!!〈灼熱に耳あり〉ってなんだっけッてめっちゃ頭抱えてたじゃん!」
「完全に忘れてるじゃん!!」
「メモ書きの曖昧さにすがるんじゃない!!」
おうふ。
めっちゃ怒られてるよ!!
なんだ皆さんずいぶん血の気が多いじゃありませんか。
「自分という物語の存在が!!消えるか世界に飛び出すかの違いはでかいんだよ!!」
「生まれたからにはたった一人の頭ン中の物語じゃなく、万人の心に訴えかける物語になりたいと願うのは当たり前だろ!!」
たった一本の抜け毛で終わるのか、頭皮に生えてみつあみになるのか、長く伸びてヘアドネーションされて誰かに届くのか。それぐらいの違いがあるという事でよろしいか。
「わかりにく!!!」
「相変わらず物のたとえが独創的でおかしな考え方だ!!」
「しかしこのおかしな考え方が我々を生み出す源となっていることは事実で…フム。」
なんだ、けなされてんだか褒められてんだかさっぱりわかんないな。
…よくわかんないことは文字にしてみたらよろしいがな!!
私はキーボードを叩き始める…カチャカチャカチャカチャ。
「ああー!まだ書いてもらえてないのに!!」
「こんなやり取りしてるから新しい物語が生まれちゃったじゃん!」
「書きながら生まれるとかどんだけだよ…。」
頭の中の騒がしさを文字にしてみたら、案外面白い話に…。
「そらそうよ、おもしろい物語である俺たちが騒いでるんだからな!!」
「こんな状況めったな頭じゃ見かけねえよ!!」
「めっちゃ詰まってますからねえ。」
「はよ書かんかい!」
今の状況を?ええと、頭の中がうるさいです・・・。
「「「「状況を書くんじゃない!物語を書けと言っている!!」」」」
ああ、状況書いたら物語になったな、じゃあこれ、発表するか。
一応、頭の中の皆さん総出演という事で勘弁してちょうだい。
「「「「ふざけんな!!」」」」
「「「「こんなんガヤやんけ!!!」」」
「「「一つ一つを仕上げろっての!!」」」
≪≪≪わいのわいの≫≫≫
あかん…頭の中がエライ事に!!
と、とりあえずこれアップしよう、うん。
という事で、私の頭の中には、ずいぶん強気な物語の皆さんが、書かれることを今か今かと待ち構えておりましてですね。
「「「言い訳はいいからさっさと書け―!!!」」」
はい、すみません、許してください。
ずいぶん弱気な私は…頭をかきかき、物語を書き始めるので、あった。
なんで肉の塊にデータが詰まってるんだかさっぱりわからない。