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三色団子があれば大丈夫

 三色団子を見ると…思い出す。

 生まれ故郷でよく食べていた、色が薄くて、歯ごたえのある三色団子。
 毎週4と9の付く日に近所で開催される青空市で売っていた、パック入りの三色団子。

 日曜に4と9の付く日が重なった時、私はいつも親と一緒に市に出掛けていた。

 路地裏にずらりと並ぶ、卵、魚、野菜、干物、花、金物に和菓子、日用品にお好み焼き、たこ焼き、みたらし団子、焼き鳥…様々な出店。
 混みあう騒めき、生臭い匂いに香ばしいにおい、たばこの匂いに砂利と水が混じるにおい。
 老若男女、たまに飼い犬もいたりする…、活気にあふれた田舎のまちのありふれた光景。

 団子屋は青空市の通りの最後らへんに店を出していて、いつも最後に立ち寄る店だった。
 五本入りで300円…、4と9の付く日のおやつは、いつも三色団子。

 食べ慣れているからなのか、愛着があるからなのかはわからないが、私は未だに三色団子が好きだ。

 あの、ぼんやりした味。
 あの、少し華やかな色合い。
 あの、可愛らしいフォルム。
 あの、手軽に食べられる感じ。
 あの、小腹を満たす量。

 ついつい…三色団子を見かけると買ってしまう。

 スーパー、コンビニ、和菓子屋、イベントの出店。
 食べたことのあるものも、食べたことのないものも、分け隔てなく手を伸ばす。

 昔食べた団子と同じ味ではないなと思いながら、完食する。
 あの団子はうまかったなと思いながら、これもうまいけどと呟きつつ完食する。

 三色団子が好きすぎて、たまに…失敗も、する。

 岡崎城を訪れた時の事は、今でもよく覚えている。
 名物の大きすぎる三色団子を見つけた私は、喜んで購入をしたのだ。

 一つの玉が握りこぶしほどの大きさをしているジャンボ花見団子。
 最初の10口までは大はしゃぎでかじりついていたのだが、食べても食べても減っていかないという摩訶不思議な現象に翻弄され、恐れ戦き…、初めてその場で完食できないという失態を犯してしまった。

 丸二日かけて完食したものの、危うく食べものに完敗するところだった。
 ……後にも先にも、ナイフとフォークで食べた団子は、焼いたり揚げたり生クリームをのせたりしてアレンジを加えた団子は、あれだけだ。

 あの時得た教訓を噛みしめ、無茶な生き方はするまいと誓ったあの日以降…今もなお、自らを戒め続けている。

 ああ、団子、だんご、ダンゴ、三色団子、花見団子。

 モッチリしたのも、歯ごたえがあるのも、べちょっとしているのも、お高いのも、お安いのも、値下がってるのも、手作りも、頂き物も自分で買ったのも、全部…美味い。

 スーパーやコンビニ、ドラッグストアに和菓子屋さん…どこで三色の串に刺さった団子を見ても脳裏に浮かぶ、様々なエピソード。

 無意識に手を伸ばしながら、いつも私は…かつての風景を、出来事を思い浮かべる。
 何度も何度も、昔の事を…、同じ場面を思い出しては、ふふっと笑うのだ。

 ……三色団子さえあれば、この先どれほど老いたとしても…きっと、私は、大丈夫。

 無言で団子を頬張りながら、私は…間食はもうやめようと誓っていたことをふと思い出し。

 食べてしまったものは仕方がないよねと開き直って…お茶のおかわりを入れるべく、そっと席を立ったのだった。


皆さんのお住いのところは、朝市ってあります??


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たかさば
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