小説 男岩鬼になりたくて15

こいつらは、同期のうちたった2人しかいない県外組。2人して同志というより細井のほうが一方的にシンパシーを求めるような感じに見えなくもない。

 見た目が屈強に見える男社会の野球部だけど、まだ16歳。かあちゃんのおっぱいを恋しがる年ごろでもないけど、親のすねをかじって生きているのは間違いない。だからなのか、制限の中で思い切り羽ばたきたい衝動に駆られる。バレなければ何をやってもいい、それこそ、俺たちが思う特権だ。

 せっかくの2人だけの世界を壊さないように、俺は身をすくめて反対側から出て行った。

 月夜がやけに眩しく感じる。同じ月でも、見る人によって見方がこんなにも違うんだということを知った気がする。昼間の太陽の光りは生きているんだぞという現実的な光りを放つが、月灯は妖艶な感じがして人を惑わす光りだ。だからときに狂うのも仕方がない。

「みんないろいろあるんやな。ご苦労なこったな。まあ、俺には関係ないけどな」

 そう言い聞かせながら、月夜にほのかに照らされた歩道に沿って少しだけ足取り軽く歩いていった。

 

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